《その通りです》の敬語
「その通りです」の敬語表現
大前提として、「その通りです」には丁寧語の「です」が含まれているので、すでに敬語表現だといえるでしょう。ただ、より丁寧な形にするとすれば、「その通りでございます」「おっしゃる通りでございます」になります。「その通りです」の敬語の最上級の表現
「その通りです」の敬語の最上級は「ご明察の通りでございます」です。「その通り」とは「理解しているまま」という意味であるものの、表現としてやや平易です。人によってはなれなれしく感じるので、少し難しい言葉に変えるのが得策です。「明察」に変えたうえで接頭語の「ご」をつけ、語尾を「です」よりも丁寧な「ございます」に変えます。そのほか、「ご認識の通りでございます」も経緯が強く伝わる表現だといえるでしょう。これらの敬語をさらに強調するなら「まさにご明察の通りでございます」というフレーズもあります。ただ、おおげさになる可能性があるので、使うタイミングには注意しましょう。「その通りです」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「その通りです」の敬語表現はビジネスメールでも日常的に使用します。以下、例文を挙げていきます。「おっしゃる通りでございます。弊社としては、コンサルティング部門を設立しておりません。ただ、ご希望なら他社をご紹介いたします」
「はい、その通りでございます。もしもお問い合わせをいただいた場合、オペレーターから営業担当者にすぐ連絡する仕組みです」
「土日祝日でも対応できるのかというご質問についてですが、おっしゃる通りでございます。弊社は365日、サポートが稼働しています」
「ご指摘についてはその通りではございますが、いまだ詳細は判明しておりません。もうしばらくお時間をいただきたく存じます。まことに申し訳ございません」
また、家族や友人への手紙でも「その通りです」のさらなる敬語表現を使うことがあります。特に、催事に絡んだ文章では親しい間柄でも丁寧な言葉遣いが求められます。以下の例文を参考にしてみましょう。
「おっしゃる通りでございます。式の二次会はカフェを貸し切っておりますので、正装でお越しいただかなくてもかまいません」
「先生からいただいたアドバイス、すべてがその通りでございました。おかげさまで、今の私があると思っています」
「おっしゃる通りでございます。お怒りの理由はいずれも正しく、受け入れ、反省したいと思っています」
「集合場所についても、その通りでございます。駅まで来ていただければ、車で迎えに行きます」
「その通りです」を上司に伝える際の敬語表現
上司とのやりとりでは、「その通りでございます」というフレーズを避ける方が無難でしょう。「その通り」という言葉を失礼に感じる人もいるからです。「ご明察の通りでございます」「おっしゃる通りでございます」とするほうが、相手への敬意を示せます。また、相手の発言を受けて「ただいまご指摘いただいた通りでございます」といった表現も適切でしょう。「その通りです」の敬語での誤用表現・注意事項
「その通りです」をより丁寧な敬語表現にしたいとき、「ごもっともです」「ごもっともでございます」という言い方は避けるようにしましょう。なぜなら、「もっとも」とは「当然のこと」という意味だからです。「あなたの言っていることは当然です」と言ってしまうと、「分かり切ったことを言っていますね」との意味になりかねません。特に、目上の人相手には使わない方がいいフレーズです。そして、「その通りでございます」を使うときは、連発しないように注意しましょう。「その通りでございます」はいわゆるクッション言葉にもなり、発言の調子をやわらげることが可能です。しかし、あまりにも多く使っていると、かえって相手を馬鹿にしているような雰囲気になりかねません。相手が何か言うたびに「その通りでございます」と返すのは、上司や目上の人相手でも避けましょう。
「その通りです」の敬語での言い換え表現
「その通りです」の敬語表現には、「お察しの通りでございます」があります。「お察し」とは「推量する」「予測する」という意味です。つまり、「お察しの通りございます」は「推量されている内容が正しいです」という内容で、「その通りでございます」とほとんど同じ文脈で使えます。また、「まったくもってその通りでございます」という表現もあります。「まったくもって」は「(言っていることの)すべてが」という意味であり、相手の正しさを強く認める文脈で使用可能なフレーズです。「その通りです」と似た意味の言葉に「左様です」もあります。そのため、より丁寧な言い回しでは「左様でございます」になります。ただし、「左様です」は「言っていることが正しいです」という意味であり、相手への賛同を示す表現です。「その通りです」は共感のニュアンスが強く、「相手の発言内容を全面的に肯定する」という意図は含まれません。文脈によって、「左様でございます」と「その通りでございます」は使い分けるべきフレーズです。
謙譲語を使った敬語なら、「完全に同意いたします」も押さえておきましょう。「いたす」というへりくだった表現を使うことで、相手への敬意を示している表現です。「完全に同意いたします」も、相手のすべてを肯定するニュアンスです。
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