《出来ません》の敬語
「出来ません」の敬語表現
「出来ません」を敬語にする場合は、「致しかねます」が適しています。「出来ません」は「ます」が入っている丁寧語ではありますが、出来ないことを断定している形になるため、失礼だと受け取られかねません。そのため、「することが難しい」という意味合いの、「出来かねる」という表現を使用することが望ましいです。「出来かねる」は、出来ないことを強く断定するのではなく、遠回しに言う表現であるため、失礼になりにくいです。そして、「出来かねます」とするだけでも、「出来ない」より丁寧な形になります。しかし、あくまでも丁寧語の表現であるため、謙譲語の「致す」を取り入れた形で「致しかねます」という表現にしましょう。謙譲語で自らを下げ、なおかつ遠回しで柔らかい表現になっているので、角が立つのを防げるでしょう。
「出来ません」の敬語の最上級の表現
「出来ません」は、一般的な敬語表現である「致しかねます」が、最上級の敬語表現も兼ねます。謙譲語の「致す」が入っているので、相手を十分に持ち上げることが出来ます。そして、「致しかねます」を、より強い敬語表現には変換することは不可能です。より強い敬意を示したいのであれば、「大変申し訳ございません。私には致しかねます」「そちらは致しかねます。謹んでお詫び申し上げます」というように、他の文章を付け足すと良いでしょう。「出来ません」という敬語表現は、大抵の場合、出来ないことを謝罪する形にしても問題はありません。そのため、謝罪の言葉と組み合わせることを考えましょう。厳密には、「申し訳ございません」は丁寧語、「お詫び申し上げます」は謙譲語の表現であるため、強い敬意を示すのであれば、「お詫び申し上げます」を使用すると良いです。ただ、「申し訳ございません」を付け足したとしても、「致しかねます」の敬意は十分強められます。
「出来ません」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「出来ません」の敬語表現である「致しかねます」を、ビジネスメールや手紙で使用する場合、「お客様がご指定なされた時間帯は、あいにく予約が全て埋まっておりますので、対応致しかねます」「せっかくのご依頼ですが、スケジュールの都合上、来年以降でなければお受けいたしかねます」という風になります。最上級の敬語表現にする場合は、「お問い合わせいただきましたキャンペーンの期間は、すでに終了しておりますので、チケットの交換は致しかねます。大変申し訳ございません」といった形です。自らに非がない場合でも、謝罪の言葉を付け足しておいた方が、波風の立ちにくい無難な表現になります。「出来ません」を上司に伝える際の敬語表現
上司に対して「出来ません」を敬語で表現する場合、「致しかねます」を使用して特に問題はありません。特に、立場の離れている上司が相手であれば、かしこまった表現の「致しかねます」の使用が最適でしょう。ただ、身近な上司に対しては、「致しかねます」では堅苦しい印象を与えかねません。そのため、丁寧な表現の「出来かねます」を使用することも考えましょう。相手との関係性を考慮した上で、「致しかねます」「出来かねます」を使い分けると良いです。また、場合によっては、「出来かねます」でも堅苦しいと思われる恐れがあります。その場合は、「難しいです」と言い換えましょう。「出来ません」とは細かな意味合いが異なりますが、不可能の意味も伝えられる表現です。程良く砕けた表現であり、なおかつ「出来ません」のように、失礼な印象を与えにくいです。
「出来ません」の敬語での誤用表現・注意事項
「出来ません」の敬語表現である「致しかねます」は、謙譲語「致す」が入っていて、強い敬意を示すことが出来ます。丁寧なだけの表現である「出来かねます」より、尊敬の度合いは上です。ただ、全ての場合において、「致しかねます」の方が最適というわけではありません。「致しかねます」には、何らかの事情があって、出来ないという意味合いが含まれます。そのため、状況が変われば、出来るようになる可能性があると捉えられかねません。それを防ぎたいのであれば、「出来かねます」を使用した方が良いでしょう。「出来かねます」には、どうしても不可能という意味合いがあります。したがって、相手に「もしかしたら出来るのかもしれない」と思わせたくない場合は、「出来かねます」が適しています。そのように、「致しかねます」と「出来かねます」は、尊敬の度合いだけではなく、出来ない理由や状況に応じて使い分けることも大切です。
「出来ません」の敬語での言い換え表現
「出来ません」の敬語表現である「致しかねます」は、「承りかねます」という表現に変えることも可能です。目上の相手から依頼や命令をされた時に、それを断るために使用出来る表現です。「致しかねます」と同様に、「出来かねます」を「承りかねます」と変化させた形です。「承る」は、「致す」と同様に謙譲語であり、相手を持ち上げることが出来ます。また、「お断りせざるを得ません」という表現にも言い換えられます。相手からの依頼に対応出来ない場合の表現です。「致しかねます」のような謙譲語は含まれていない、あくまでも丁寧な形の敬語ですが、「本当はしたいけれども出来ない」という意味合いを含んでいます。そのため、「出来ません」よりは丁寧な形です。「本当はしたい」という気持ちを伝えたい場合は、「致しかねます」よりも、「お断りせざるを得ません」の方が適している可能性もあります。
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