水商売
「水商売」とは、「客を楽しませて愛顧を得ることが稼ぎに直結する衰勢の激しい商売」を意味する表現である。特に「人気商売」や「ナイトワーク」を指す表現として用いられることが多い。
一般的には、単に「水商売」といえば、夜間に営業し、接客とアルコール類の提供を中心とする客商売(スナック、バー、キャバクラなどの「接待を伴う飲食店」)を指すことが多い。こうした業種で接客に従事する人を俗に「お水」という。
いわゆる「風俗業」は、体を売るという要素の有無によって水商売とは区別されるが、主に異性を接客する仕事という意味で「広義の水商売」に含めて扱われる場合も多い。
芸能人、俳優、あるいは作家た芸術家といった、いわゆる人気商売も、しばしば「水商売」と表現される。いずれも、大衆の人気を集めて「売れっ子」になれば莫大な収入が得られるが、人気が得られなければ限りなく無収入に近づくような、先行きの不安定な職業である。
「水商売」の語源・由来
「水商売」という言葉にはさまざまな含みがある。「水」には「水物」の意味がある。「水物」とは、状況や条件が移ろいやすく予想しにくい物事のことである。人気や稼ぎが水物のように不安定であるという意味合いが見いだせる。
かつては花柳界に従事する芸妓などを「泥水商売」「泥水稼業」などといった。花柳界そのものも「泥水」と通称された。芸妓は今日では「水商売」に含まれることが多い。
遊郭や料亭などでは、接客の女性が客にまず水か茶を出す。そこから「水を売る商売」という意味で「水商売」という呼び名に結びついたという説もある。江戸時代にはいわゆる茶店を「水茶屋」ともいい、そこには「笠森お仙」や「蔦屋およし」のような看板娘もいた。
「水商売」を含む熟語・言い回し
「水商売上がり」
「水商売上がり」とは、かつて水商売で働いていたことがあり、現在では別の職業に就いている人物を指す表現である。「水商売で培われた優れた洞察力、コミュ力、人の懐に飛び込む度胸や愛嬌を持っている」というポジティブな表現として用いられることが多い。他方「服やメイクがケバい」「リアクションがわざとらしい」といったネガティブな意味を込めて用いられる場合も考えられる。「日本水商売協会」とは
「日本水商売協会」とはナイトビジネス・ナイトワークに従事する人々のサポート等を目的とする一般社団法人の名称である。文京区水道に事務局があり、銀座8丁目に中央支部がある。水商売に関する相談業務、コンサルティング業務、斡旋業務、等々を通じて、水商売の健全化や活性化を目指している。水商売
- 娼妓、芸者、妓楼待合などの、ういた商売をいふ。
- 遊廓、待合、料理店、興業の如く、利益収入の確定せない職業をいふ。〔花柳語〕
- 待合、遊廓、料理屋のやうな収入の不確定な商売のこと。〔花柳界〕
- 待合、芸妓屋、料理店のやうな商売のことをいふ。
- 待合、遊廓、料理店のような収入の不確実な商売のこと水のように不安定な意。
- 待合、芸妓屋料理店等の業態。江戸末期東京西両国の河岸縁に水茶屋が並び夏冷水を売るを表看板で実は無座敷で女に秘密の商売をさせたので水商売といい始め、後には冷水を売ることとは全く違つた収入の確かでない商売、たとえば待合等の意味に用いるようになつた。〔俗〕
- 江戸末期東京西両国の河岸縁に水茶屋が並び、夏冷水を売るを表看板で実は奥座敷で女に秘密の商売をさせたので水商売といい始め、後には冷水を売ることとは全く違った収入の確かでない商売、たとえば待合等の意味に用いるようになった。
水商売
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/09 02:52 UTC 版)
水商売(みずしょうばい)とは、利用者の遊興を目的とし、客のひいきによって成り立つ盛衰の激しい商売。例として、待合・貸座敷・料理店・バーなど酒場・キャバレーなどに客からの人気によって収入が大きく上下する商売。水稼業とも言われる[1][2]。似た言葉である夜職の場合は、キャバクラやホストクラブのような接待飲食店[3]から、風俗店に至るまで含む。夜職の対義語は昼職[4][5]。水商売の由来は江戸時代の「水茶屋」に起因する[6]。なお日雇い労働者、農家、漁師などは遊興と無関係な職は、水商売に含まない。現在では夜職と同じ意味で使われている。
概要
「水商売」と表される業種は、飲食業や花柳界、性風俗業のような業種のほかに、相撲や歌舞伎、演劇などの興行ものや人気商売(芸能人、スポーツ選手など)、作家、クリエイター、インフルエンサー、YouTuberといったものを含む言葉。夜間営業で酒を出す飲食店(主にバーや接待クラブ)や風俗営業、ホスト・ホステス、風俗嬢などに限定して指す接待飲食等営業の場合は「お水」とも呼ばれている。
風俗商売としての「水商売」においては、経営母体やいわゆる「ケツ持ち」として、暴力団が介在するケースがテレビでの報道などを通してしばしば見受けられる。
なお、金品などのプレゼントは、本来は申告しなくてはならないものであるが、ほとんどの人間は申告をしていない。扱っているものがものなので脱税をしやすく、実際に脱税している店も多い。お店によっては、働いていないことにして税金を払わずに給与を払っているような悪質な店も中にはある。
また、「水商売」は、賃貸物件の契約等も断られるケースが多く、水商売専門の不動産業者によるあっせんが行われている。
語源
「水」は収入が不確定な状態を指している[7]。飲食店、風俗店は景気の良し悪し、天候、客の気まぐれなどによって収益が大きく左右されるものである。
また、芸妓が「泥水稼業」と言われていたからという説、江戸時代、街路にあった「水茶屋」からという説もある[8]。
脚注
- ^ 日本国語大辞典, デジタル大辞泉,精選版. “水商売(ミズショウバイ)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2025年1月6日閲覧。
- ^ “マナーうんちく話939《なぜ飲食業を「水商売」と言うの?》”. マイベストプロ岡山 (2015年4月14日). 2025年1月6日閲覧。
- ^ “不当なツケ、恋愛感情に乗じ依存……規制対象に検討 悪質ホスト問題:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2024年10月2日). 2025年1月6日閲覧。
- ^ “「《夜職》の正しい読み方」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書”. www.weblio.jp. 2025年1月6日閲覧。
- ^ リスタートジョブ (2020年4月6日). “夜職から転職(夜卒)する前に必読!昼職のメリットとデメリット”. リスタートジョブ. 2025年1月6日閲覧。
- ^ “マナーうんちく話939《なぜ飲食業を「水商売」と言うの?》”. マイベストプロ岡山 (2015年4月14日). 2025年1月6日閲覧。
- ^ 前田富祺(編)『日本語源大辞典』(小学館)ISBN 4095011815参照。
- ^ 米川明彦(編)『日本俗語大辞典』(東京堂出版)ISBN 4490106386参照。
関連項目
外部リンク
- 一般社団法人日本水商売協会
- 水商売ウォッチングLIVE!とはなにか(大阪大学サイバーメディアセンター)
水商売
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 22:55 UTC 版)
合法、違法、それらの境界を含む全ての娯楽産業を指す幅広い用語である。
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