援助の方針
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介護者には、認知症の介護はもどかしく非常にストレスになることを心理教育し、ネグレクトにならないよう陰性感情を認識させる。介護者についてもうつ病を罹患している可能性を診察する。 介護保険、障害年金、デイケア通所など社会資源の利用も有用である。専門医(老年内科、精神科、神経内科など)、介護職(介護福祉士等)の協力・連携の元にチーム医療を行う事が望ましい。
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援助の方針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 08:59 UTC 版)
全般的に罰するような態度は避ける必要があるとされている。また、接している者が感情的に混乱するとか、悲しくなるとか、軽蔑してしまうとか、身体の反応としてめまいや興奮、心拍の増加を感じることがあり、それは「正常な反応」であるが、自傷行為を抑制する点では役に立たないため、冷静さを取り戻す必要がある。強い反応は、大人を騒がせたい思春期の子どもなど強い反応を期待している行為者にとっては、自傷行為を強化することになる。あるいは、自分が他者に拒否されたという体験を追認させ、自傷行為の原因となりえる体験をまたひとつ作り出してしまう。そうして否定的感情による強い反応を避ける必要がある。 共感的に接する必要はあるが、支援したい・助けたいと強く感情的・肯定的に反応することもまた、逆に保護的な反応を起こすために自傷行為をするという強化を促す可能性がある。つまり、否定的であろうと肯定的であろうと、強い反応は有害であるということである。 その時になにがなんでもやめさせようとするのではなく、決めつけず、思いやりを持ち、急速な変化を求めず接するということが、良好な接点を持つのに重要であるとされている。 自傷を行わないという契約に、自傷行為の抑制効果があるという証拠はなく、『自傷行為治療ガイド』の著者は危険の方が多いため推奨していない。実際に自傷行為に替わる方法を身につける前の段階での契約では自傷行為を行わないことは難しく、それにもかかわらず「していないと言う」ようになる可能性がある。 『自傷行為治療ガイド』に、特に救急医療の医療従事者に向けての「自傷する人々のための権利章典」が掲載されている。自傷者には、叱責されず思いやりのある治療を受ける権利があることが記されており、他に傷がないか強制的に検査することは発見されにくい部位に傷を隠すようになるため禁じられるとともに、決めつけをもった態度で接しないよう注意が促されている。
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援助の方針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 01:48 UTC 版)
全ての専門家が同意する標準的な治療手法はない。共依存からの回復のための手法には様々なものがある。認知行動的な心理療法が選ばれることもあれば、抑うつ症状に対して薬物療法が選ばれることもある。 共依存関係に陥っている場合、当事者は共依存関係について自ら判断するのではなく、第三者である専門家を交えて共依存について対処が望まれる。 対策は、アルコール依存症やアダルトチルドレン、それにパーソナリティ障害などの対策と重なるところがある。正確には共依存への対策は存在せず、それから派生する精神病理への対策が行われる。ただし、その依存性の問題を正面から取り組む場合には、個別のいくつかの対策がカウンセリングなどを通して行われる場合がある。 集団精神療法、自助グループなども活用できる。共依存アノニマス(英語版)(CoDA)、アラノン(アラティーン)、ナラノン(英語版)、アダルトチルドレン・アルコホーリクス(英語版)などの自助グループは、アルコホーリクス・アノニマスが開発した12ステップのプログラムをベースとしている。また共依存を対象とした多くのセルフヘルプ書籍がある。 共依存者については、何が最善の結果なのか、自らが本来の援助の目的と異なった依存関係を必要としていないか、依存関係が自らの生きる目的となっていないかを再確認する必要がある。イネーブラーの立場から降り、パートナーに暴力を振るわれたら家を出る、警察に通報するといった態度も必要である。 共依存の原因となるパートナー(被共依存者)への対応としては、一定の距離を置きながら援助される。被共依存者は、援助が少ないことに見捨てられた気持ちを抱く可能性もあるが、「自分の人生は自分で切り開いていくしかない」と気づかせることが、結果として被共依存者の回復につながる(底付き、直面化)。被共依存者は支援を受けることに感謝し、関係者を操作することなく、自分自身の置かれている境遇を受け入れることが、回復の第一歩である。
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援助の方針
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「精神科の治療#ケアの基本」も参照 NICE (2009) でも示されているように、治療の前提とし、治療者は、患者と信頼関係を結び、治療の基本的原則についてしっかりと説明を行い、患者が納得して治療に取り組むことが必要である。患者もわからないことは質問していくことが必要である(患者教育)。こうした医師と患者のコミュニケーションが治療の成功には不可欠である。治療の基本的原則の説明の例としては、以下のようなものがある。 うつ病の症状の一つに、将来を悲観してしまうことがある。それは症状であり、軽快するにつれ希望が持てるようになる。 以前に興味を持てたり楽しめたりした活動については、おっくうであっても、それを放棄せず可能な限り継続すべきである。 可能な限り、定期的な運動を継続すべきである。 地域活動への参加などについて、通常の範囲で可能な限り続けるべきである。 患者には利用可能な自助グループ、支援グループ、行政サービスなどの情報を伝えるべきである。 辛い自動思考(頭に浮かぶネガティブな思いやイメージ)はうつの症状であり、決してその人自身でもなければ事実でもない。治療は、そのような自動思考からの解放をサポートすることができる。 日本では、#古典的分類節に書いたように、かつての分類である内因性うつ病に対しての、うつ病は治る、薬が効き、励ましてはいけないという説明を一般化した弊害が言われている。これについては宮岡等が『うつ病医療の危機』にて取り上げている。 また、個人を取り巻く「環境」は心理に大きな影響を与えるため、所属する環境を変えられるよう支援したり、本人を適切にサポートする人や機関とのつながりを増やしたり、ストレスを与える対人関係を改善したり、支援者がより良い環境を作ったりすることを通して、本人が肯定され安心できる環境を整備する環境調整も重要である。 なお、励ましたり叱ったりすることは、本人に対し、「このままではだめ」というメッセージを伝えることになるため、自己肯定感を失わせ気分を落ち込ませてしまう。家族や周囲の人を含めた支援者は、本人が休養できる環境を作ったり、本人の話に共感的に耳を傾けたりしながら、温かく寄り添ってサポートしていくことが大切である。
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援助の方針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 01:09 UTC 版)
家族の精神障害者の保護者としての負担は大きいとされる。自らが病気であると認識できないケースも多いため、通院拒否する場合も多く、これも家族への負担を増加させている[要出典]。いろいろなことに深刻にならずに、「病気だからそう言うこともあるんだな」と受け止めることが大事である。治療の開始にあたっては、統合失調症も他の病気と同様に薬で症状をコントロールできること(特殊な病気ではないこと)を伝え、回復への見通しを持てるようにサポートする。同時に、医師や周囲の人のサポートを約束し、本人のペースを尊重しながら協同で治療に取り組んでいくことを伝え、安心感を持てるよう支援する。精神科医は、理解しようとすること、少なくともサポートしようとしている姿勢が患者に伝わることが必要となる。 患者に妄想・妄言が含まれる場合、それを否定すると孤立感が増し症状が悪化する例が多いとされ、また、逆に肯定すると妄想を補強することになり、症状が悪化する可能性がある[要出典]。話を聞かない場合においても孤立感が増すため、話を根気よく聞く必要があるが、あまりに真剣に聞きすぎると、聞き手側のストレスになり、場合によっては聞き手側にうつ病などの精神疾患をもたらすことがあるため、あまりに真剣に聞くことも推奨されない[要出典]。介護職の対応としては、妄想の話をしているときには、否定も肯定もせず、中立的に話を最後まで聞き、相手には真剣に聞いている態度を示しつつも、内実あまり真剣に聞かずに軽く受け流すという対応を正解としている(ただし、症例は多様であり、ケースバイケースのため専門医の指示は必須である)。実際に、本当のことを訴えている場合、あるいは利害関係から病気に仕立てられるケースが実在するので注意が必要である。 厚生労働省のウェブサイトにおいて、患者家族に対しては「病気とそのつらさを理解する」「医療チームの一員になる」「接し方を少し工夫する」「自分自身を大切にする」ことなどを推奨しており、患者に対して非難的あるいは批判的な言動を慎み、また「原因を探すのはひとまず脇に置いて、具体的な解決策を一緒に考える、という接し方が理想的」と呼びかけている。また、心配しすぎてオロオロしないようにも勧めている。 精神保健福祉法、生活保護などの公的扶助制度の活用や様々なアドバイスなど治療や社会復帰をすすめるために必要な社会的援助を、精神保健福祉士などが支援する。看護師と精神保健福祉士が協働する訪問看護などもある。
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援助の方針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 09:58 UTC 版)
「境界性パーソナリティ障害」の記事における「援助の方針」の解説
BPDの患者は、援助者に感情を転移させることがある。反対に、BPDの患者と向き合う援助者は、患者により逆転移感情を引き起こされることが知られている。例えば、患者に対し怒りや恐怖、無力感、または好意や親密感などを抱くことがある。患者と接した際、自分の中に生まれる感情(逆転移感情)は、患者の持つ投影性同一視などの病理と密接に関係しており、患者の幼児期の体験や心理の中核を理解することに役立つものである。 しかし自分の中にある逆転移感情を処理しきれない未熟な援助者は、患者から引きこもってしまったり、争い、不仲になったりと、患者と安定した関係を築くことが出来ない。処理しきれない思いを抱え、表面上穏やかに接していても、敏感な患者には見抜かれてしまう。すなわち、援助者は常に自身の逆転移感情をモニタリング出来る人物でなければ、治療はおぼつかないものとなる。 また医療・福祉従事者の中にもBPDが少なくないという点が、この問題をややこしくしており、援助者がBPDの患者に「振り回される」といった事態が往々として発生する。BPDの患者に対して義侠心を起こしたり、特別扱いしたり特例を設けるべきではなく、「けじめ」や「ルール」を持って接するべきである。援助者がBPDの患者を目の前にして、どうしても患者に過度に援助したいと思っているのならば、援助者側に問題があると考えるべきである。 なお、患者のおかれている環境・状況そのものに大きな問題(人間関係上の問題やストレスの多い環境であるという問題など)がある場合、治療者は患者とその関係者(家族など)と協力して環境的・状況的問題を解決し(環境調整)、患者がより良い環境・状況で生活できるよう、そして治療(精神療法や薬物療法)により専念できるよう支援する。 精神分析学 - 治療過程の諸現象も参照。
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援助の方針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 23:47 UTC 版)
醜形恐怖患者は、性格的に劣等感を持ちやすい。特にこの症状ゆえに、社会的活動を放棄し、ひきこもりなどで、就労や学業が思うようにはかどらず、社会的コンプレックスを強く持ちがちで、周囲と足並みをそろえられない、自らの非力さで自責の念にとらわれがちである。しかしけして怠けている訳ではないので、そのような部分を含めて神経症精神療法で広く応用されている森田療法で言う「ありのままの自分を受け入れる」精神で、自らの容姿もさることながら、無理をせず自らの生き方も許容する事が大切である。本来持っている上昇志向などの良い側面が歪んだ形として、容姿に集中してしまっている状態であり、その向上心をたとえば仕事、学業、趣味・特技等良い方向へ生かしきるのも大切である。この障害は、性格的な要素が大きいため、完治を期待するよりは、いかに良い方向へ利用していくかが鍵となる。「こだわり」は短所でもあり、長所でもあるという認識が大切である。
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援助の方針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 17:12 UTC 版)
断酒の三本柱 通院 抗酒剤 自助グループへの参加 HALTの法則(飲酒欲求を生じる要因) H - ハングリー(hungry、お腹を減らさない) A - アングリー(angry、怒らない) L - ロンリー(lonely、独りにならない) T - タイアード(tired、疲れない) アルコール依存症の治療でまず肝心なことは「本人の認識」である。多くのケースでは依存を認めてしまうと飲酒ができなくなるため、患者は自分がアルコール依存症であることを認めたがらない。何よりもまず、本人に疾患の自覚(病識)と治療の意志を持たせることが大切であり、回復への第一歩となる。心身や生活への影響をなるべく抑えるためには、早期の治療開始が望ましい。 アルコール依存症の人の過剰な飲酒は「意志が弱いから」「道徳感が低いから」と言われたり、不幸な心理的・社会的問題が原因であると考えられたりしがちだが実際はそうではなく、多くの場合この病気の結果であることが多い。つまり、アルコールによって病的な変化が身体や精神に生じ、そのために過剰な飲酒行動が起こるということである。このことをまず本人や周囲の者が理解し、認めることが、この病気から回復する上での欠かせない第一歩となる。しかし援助者は、治療という名目で処罰を与えてはならない。 アルコール離脱症候群までに至っていなければ、飲酒量を減らす減酒もある程度有効であるが、一度アルコール依存症になってしまうと、基本的な対処は酒を一切飲まない断酒しかない。しかし本人の意志だけでは解決することが難しいため、周囲の理解や協力が求められる。重度の場合は入院治療が必要な場合もある。しかし完治することはない不治の疾患とも呼ばれる事があり、断酒をして何年、十何年と長期間経過した後でも、たった一口酒を飲んだだけで、遅かれ早かれまた以前の状態に逆戻りしてしまうケースが多い。そのため、治療によって回復した場合であっても、アルコール依存症者が一生涯断酒を続けることは大変な努力を要する。
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援助の方針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 11:23 UTC 版)
アスペルガー症候群は、特定の分野については驚異的なまでの集中力と知識を持ち、「空気を読む」行為が苦手、細かい部分にこだわる、感情表現が困難といった特徴を持つ。新聞のスポーツ欄にある野球選手の打率を毎日覚えてしまうなどの驚異的な記憶力を示すこともあるが「電話をかけながらメモが取れない」「券売機で切符が買えない」など一般人ができる普通の行為ができない障害を持つこともある。コミュニケーションの特異性(空気を読むことができない、会話が一方通行になりがち、あいまいな指示が理解できない、白黒はっきりつけたがる、一般人の持つ常識が備わっていない)、同時並行に複数の業務をこなすことができない、急な変更にうまく対応できない、細部に注意が集中し全体像把握が苦手等のためである。以上の性質からアスペルガー症候群を持つ成人は、接客やチームワークを必要とする仕事には元来向いていない。アメリカの大部分の調査結果によると、アスペルガー症候群の成人の75-80%はフルタイムの仕事に就いていない。アスペルガー症候群を持つ成人に必要な職場での支援は、スケジュールや手順を明示する、指示代名詞を使わない、複数のことを同時に頼まない、ジョブコーチをつけるなどである。 アスペルガー症候群の人は、現代社会に対し、非常に適応しにくい困難さをかかえている。あちこちで衝突が起こり、引きこもりになっていることも少なくない。自分自身に強いコンプレックスを抱え、二次障害でうつ病を発病したり、自殺志願を持つ人も決して少なくない。そういうアスペルガー症候群の人に援助をする必要が急がれている。発達障害者支援センターなどをはじめ、少しでもアスペルガー症候群の人が社会で暮らしやすいよう、地域活動支援センターやデイケアなどの設備を整える必要が早急に問われている。最も必要なことがこの障害を理解し、受け入れる環境的素地を作り上げることである。 2019年現在、関連書籍が多数発売されたり、主にNHKでアスペルガー症候群についての番組や特集が組まれることが増え、社会認知はある程度は進んだと言える。しかしながら、身体障害やダウン症候群など、目に見える障害ではなく、またアスペルガー症候群の人と実際に話してみても、障害を持っている人間とはわからない場合も多く、外見もごくごく普通であることがほとんどなので、自らカミングアウトしない限り、「変わり者」程度の認識しか持たれないケースが多く、これが障害を抱える本人にとっての苦痛になっている。他人とのコミュニケーション能力の障害ゆえ、対人関係での衝突や確執が多く生まれることがあり、これもまた障害を持つ本人に苦痛を与える大きな要因となっている。相手が理解をしてくれない限り「変な奴」と見られ、いじめの対象になったり、周りから嫌われたり、仕事上の足手まといのような存在に思われることもあり、非常に難しい障害であると言える。また、場合によっては本人が、障害そのものに大変なコンプレックスを抱いていることもある。それゆえに定型発達者と同じように、無理矢理外に出ようとすることもある。当然ながらこれは、自分自身を肉体的・精神的に追い詰めることでもあるため、場合によっては、それがうつ病などの二次障害を発症する原因になってしまう可能性もある。 大きな問題は、この障害に対する福祉制度がまだ未熟であることにある。2005年に発達障害者支援法が制定され、障害者自立支援法に発達障害も範疇に入ることが2010年代に入って決められた。また、アスペルガー症候群の人も精神障害者保健福祉手帳を持てることにはなっているが(自治体の裁量で持てない場合もある。発行基準は一元化されていない)、働くことや他人との関わりに困難を抱えている人は多い。ただ、行政の側でも発達障害を持つ人を雇った企業へ助成金を支給するなどの取り組みは行なわれている。しかし、働く意欲のあるアスペルガー症候群の人が、対人関係や精神衛生上の問題をクリアした上で就労できる時代にはまだなっていない。 アスペルガー症候群を持つ人に対する支援の成否は人によって異なる。例えば、「この人にはこう支援して人生がうまくいくようになった」というケースがあった場合でも、それが他のアスペルガーの人に当てはまるとは限らない。人によってどういったところにハンデがあるかは千差万別だからである。「障害」だからと一律に皆を福祉で養おうとすると、働く意欲や、労働の中での他者との良好な人間関係や、収入など、実りある人生の可能性を奪ってしまう場合もあり得る。発達障害を抱えながらも、周囲のサポートを得て一般企業で働いている人たちは多い。しかし、働きたいのに働けない人、またつまずくのが怖くて社会に出られない人も多くいる。その人その人に合ったきめ細やかな対応、社会の中での居場所の確保が求められている。 アスペルガ-症候群が苦手とされる職業は、接客業、とっさの対応が大切な業務、様々な作業を担当する事務、コミュニケーションが大事な仕事、などの、人の心を理解し、器用で効率よく場の空気を読んで、想像力を働かせ、臨機応変な対応をする業務が苦手とされる。 ICD-10 の F80 から F89,F90 から F98 に 当たる発達障害が精神障害の一部として制度上併記され、市町村の保健所などで、専門医による診断書を提出の上で、症状や他の発達障害・疾患との合併など総合的な状態を熟慮し精神保健福祉手帳が交付されるケースが近年増加してきたが、保健所で所定の書式による診断書の提出で、障害者サービス受給者証、もしくは自立支援医療受給者証の交付も行われており、これにより一般的な障害者福祉サービス(家事援助、行動援護など)を受けることができる。障害者福祉サービスには就労移行支援の利用も含まれ、就労移行支援訓練所を利用することにより原則2年間まで職業訓練を受けることができる。利用に当たっては、障害者サービス受給者証、自立支援医療受給者証、精神保健福祉手帳のいずれかが必要である。 また、金銭面の管理が極めて難しく、社会生活に支障をきたしている場合、判断能力が十分でない人が地域で自立した生活を送るための日常生活自立支援事業における、各地の社会福祉協議会が行う援助事業サービスに「権利擁護」があり、利用者はそれぞれ、以下の必要な援助を受けるための契約を協議会と結ぶ。福祉サービスの利用援助、苦情解決制度の利用援助、住宅改造、住居の貸借、日常生活上の消費契約や住民票の届出ほか行政手続に関する援助など、日常的なお金の管理(預金の払い戻し・解約・預け入れなど)金銭管理などの権利擁護の制度を使用するケースもある。これらの福祉サービスは、他の発達障害においても診断の上で関係機関に申請し、認定されれば利用できるのは同様である。
※この「援助の方針」の解説は、「アスペルガー症候群」の解説の一部です。
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