脊髄性筋萎縮症 治療

脊髄性筋萎縮症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/16 09:14 UTC 版)

治療

根本的な治療法は確立しておらず、嚥下障害への経管栄養胃瘻呼吸不全に対する人工呼吸器[5]、関節拘縮、筋力低下緩和に向けてのリハビリテーションなどの対症療法がおこなわれている。運動ニューロンの消失に対する治療法からSMN転写産物量を増やす目的のヒストン脱アセチル化酵素阻害薬、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸、バルプロ酸などが検討されている。

ヌシネルセン

2017年7月3日、製薬会社バイオジェン・ジャパンは初の治療薬「スピンラザ」(一般名:ヌシネルセンナトリウム)について、厚生労働省は製造販売を承認したと発表した。国際共同治験では約4割の患者で症状の改善がみられ、米国やEUでは先行承認されていた[3]。ヌシネルセンはSMN2遺伝子のエクソン7のスプライシングを調節してSMN蛋白質の翻訳量を増加させる。エクソンインクルージョン法の核酸医薬のひとつである。

SMN1遺伝子には同一アミノ酸配列をコードする相同遺伝子としてSMN2遺伝子が存在する。両遺伝子間には11塩基の相違があるが、この違いによりSMN2遺伝子ではSMN1遺伝子と異なるスプライシングが起きるため、SMN2遺伝子から産出されるSMN蛋白質のほとんどは不安定な不完全長の蛋白質となる。そのためSMA患者においてSMN2遺伝子から完全長転写物の産出量を増加させれれば、不足している完全長のSMN蛋白質の量を補うことができると考えられていた[6]

ヌシネルセンはSMN2 mRNA前駆体エクソン7近傍に位置するイントロン7の特定部位と結合する。ヌシネルセン非存在下では選択的スプライシングを制御するヘテロ核リボヌクレオ蛋白質(hnRNP)がmRNA前駆体上に結合しておりエクソン7がスキップされることで不完全長のSMN蛋白質が産出される。一方、ヌシネルセンの存在下ではhnRNPのmRNA前駆体上への結合が阻害されるためエクソン7の含有が促進され、最終的に完全長のSMN蛋白質産出量が増加する。ヌシネルセンと同様のスプライシング制御を行う低分子化合物も開発されており、実用化されれば経口薬で治療可能になる可能性もある[7]

オナセムノジーンアベパルボベック

オナセムノジーンアベパルボベック(商品名:ゾルゲンスマ)は遺伝子治療薬であり、1回の投与で生涯効果が続くと考えられている。


  1. ^ J Med Genet. 1973 Sep;10(3):260-5. PMID 4774536
  2. ^ Eur J Hum Genet. 2012 Jan;20(1):27-32. PMID 21811307
  3. ^ a b “全身の筋力が低下する難病「脊髄性筋萎縮症」治療薬を初承認”. ヨミドクター (読売新聞). (2017年7月4日). https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170704-OYTET50005/ 2017年7月5日閲覧。 
  4. ^ Brain Dev. 2014 Nov;36(10):914-20. PMID 24359787
  5. ^ なかでも非侵襲型人工呼吸器(NIPPV)は有効と考えられるが乳児対応が困難である
  6. ^ Genes Dev. 2010 Aug 1;24(15):1634-44. PMID 20624852
  7. ^ J Med Chem. 2016 Nov 23;59(22):10067-10083. PMID 27490705


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