脊髄損傷の管理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 07:31 UTC 版)
頭部外傷で脳圧が高まっている場合は首を屈曲するとそれだけで脳が頭蓋骨から引き出されるので脳ヘルニアが一気に悪化する。頸髄損傷の場合は首を屈曲するとさらに障害を広げるのは当たり前である。そういった意味で、多発外傷や鎖骨より上部の損傷がある場合は頸髄損傷があるものと考え頸部を中間位で固定しネックカラーを装着する。脳浮腫が起こっている場合は急速輸液を行うと脳浮腫を助長するため禁忌である。脳圧降下剤を使うべきである。 脊髄損傷が起きると神経原性ショックが起こり、血圧が下がり徐脈傾向となる。損傷したレベルより下の神経が完全麻痺するからである。ショックの時点では患者が将来完全麻痺となるのかは全く予測ができない。ショックから離脱した時点で不完全麻痺であったら回復する可能性がある。ショックは基本的には24時間から48時間以内に離脱すると言われているが損傷部位や症状によって差異が大きい。48時間経過しても完全麻痺であれば、それは永続的な麻痺となるとは限らない。脊髄浮腫の程度と期間によっても左右される。不完全麻痺になれば大抵は4時間以内に回復することが多い。ショックから離脱したかどうか判定するには球海綿体反射を用いることが多い。指を肛門にいれて亀頭または陰核を圧迫すると肛門が絞まる。これを球海綿体反射陽性といい、ショックから離脱した時の所見である。
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