メルヘン クンストメルヘン(創作メルヘン)

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メルヘン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 02:14 UTC 版)

クンストメルヘン(創作メルヘン)

いわゆる創作メルヘンは、詩人や作家など、特定できる個人の意図による作品である。彼らはしばしば伝統的な民間メルヘンを題材にして、空想的な驚異の歴史を新たに作り上げたが、驚異、非現実性という観点で民間メルヘンとの繋がりが残っている。それらの内容は、哲学と個々人のアイデアにより作られ、同時に文学思潮の影響を受ける。ロマン主義の成果として、創作メルヘンは最初の興隆を得て、決定的な衝撃を受けてさらに発展する。初期ロマン主義では人為的作品のアクセントとして、従来のメルヘンとの境界を隠し、公平な読者は簡単に増えることは無かった。しかしそれは後期ロマン派詩人には、再び単純なメルヘン調(Märchenton)が好まれた。

ゴットホルト・エフライム・レッシングの戯曲『賢者ナータン』(1779年)では、作中で語られる物語をメルヘンと呼んでいる。ゲーテは、『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』(1796年)作中の「新しいメルジーネ」などのメルヘンを残している。ノヴァーリス青い花』の作中でも、数作のメルヘンが語られている。ルートヴィヒ・ティークは民衆本やペローの童話に取材したメルヘンを書いた後、「金髪のエッグベルト」(1796年)などの独自に創案した幻想的な作品を書き、ドイツ・ロマン派創作メルヘンの創始者とも言われる。

19世紀に最もよく読まれた創作メルヘンの作家は、ヴィルヘルム・ハウフである。そのメルヘン集『隊商』(Die Karawane )、『アレッサンドリア物語』(Scheich von Alessandria und seine Sklaven)『シュペッサルトの森の宿屋』(Das Wirtshaus im Spessart)が毎年発表され、それぞれ異なる背景を舞台にしていることがタイトルからも見て取れる。最初の2冊は東洋、後の1冊は北方周辺を舞台にしている。いずれのメルヘンも、異邦の人に対して熱意を持って冒険を語るところに特徴がある。

デンマークハンス・クリスチャン・アンデルセンは、最も人気のあるおとぎ話作者の一人である。彼はグリム兄弟と、ドイツの創作メルヘンに刺激を受けた。最初はメルヘンへの分かりやすい模倣が認められるが、すぐに彼の独自のスタイルを作り出した。どことも知れない場所に描かれる民間メルヘンとは対照的に、お話の舞台を丁寧に描いて、世間から注目された。物語は単純で自然な言葉によって、力強い調子をもたらす。それゆえ、それはしばしばロマンチックなものから始まっても、日常的な現実のすばらしさが取り込まれている。ドイツでと同じように、デンマークでもアンデルセン物語は子供のためのメルヘンとして受け取られた。しかし彼がすべての年代のための作者であるという自己像には一致していなかった。

社会的背景を持つオスカー・ワイルドのメルヘンは、残酷な現実の中でのロマン主義的な理想、あるいは利己主義による搾取の犠牲者の視点、浅薄な支配への非難との対比の感覚に覆われている。

ヘルマン・ヘッセの『メルヒェン』(1919年)には、第一次世界大戦の悲惨さや、当時の妻との行き詰まった関係に影響されたメルヘンが収められている。

創作メルヘンを広義に捉えると、ずっと新しい時期に作られたファンタジー物語も含めることが出来る。またSF映画スター・ウォーズ」はメルヘンの典型的な特徴—例えばいつのどことも知れない時間と場所(「遠い昔、遥かな銀河で...」)、または貴族と一般人が対等、そしてハッピーエンド—がある。


  1. ^ a b 大野寿子 大野寿子(編)「グリムへの誘い」『グリムへの扉』勉誠出版 2015 ISBN 9784585290933 pp.13-19.
  2. ^ a b 吉原高志、吉原素子, 1993年.『グリム〈初版〉を読む』 白水社 ISBN 4560004544 p.10-15.
  3. ^ a b ヴィンフリート・フロイント『若い読者のためのメルヘン』木下康光訳 中央公論美術出版 2007年 ISBN 9784805505328 pp.10-24.
  4. ^ Link zum Erzählkunstfestival Fabelhaft
  5. ^ Festival der besten deutschsprachigen Märchen- und Geschichtenerzähler





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