シャワー・ヘッドとは? わかりやすく解説

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シャワー

(シャワー・ヘッド から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/15 05:19 UTC 版)

水を撒くシャワーヘッド

シャワー: Shower)とは、や湯[1]などを幅広く撒く、また身体に浴びるために、この幅広く水をまくための器具(シャワーヘッド、蓮口)を使用して噴出させ降下させるもの、およびこれらを組み込んだ装置を利用する行為である。

概要

シャワーは、構造としてパスカルの原理に基づいて、容器に開けられた複数の同じ大きさの穴から、同じ圧力がかけられた流体が、同程度の量に分散されて噴出するように機能する装置である。余程極端な容器の形状を除けば、流体は各々の穴から同程度の勢いで噴出する。

人間が身体を洗うためのものでは、浴室(バスルーム)の中の一設備として設置されるほか、シャワー設備専用の部屋(シャワールーム、シャワーブース、シャワーボックス等)が設けられる場合もある。浴槽による場合を浴槽入浴、シャワーによる場合をシャワー入浴という[2]

節水の効果では、独身の場合において一人だけが浴槽に湯をためて入浴するよりも、シャワーを使って体の表面を洗うほうが節水効果は高い(浴槽換算で約半分)。やや目詰まりしやすいものの、ノズルの穴をさらに細くして状の湯を出したり円周状にノズルの穴を配置した節水シャワーでは、更にこの節水効果は高い。ただし家族が複数いる家庭では、その各々がシャワーを使うと、逆に大量の水を必要とする。このほか、付加価値的に機能性を重視した入浴用シャワーでは、水の流れに変化をつけ、マッサージの機能を付与した製品も見られる。

構造

各部の機能

シャワーは流水の量や温度を調節する弁機構部、自由に曲がるホース部(ヘッド部が天井や壁に固定されるためホースがないものもある)、手に持ちあるいは壁に固定されて散水を行うヘッド部により成り立つ。

弁機構部

浴室などで一般に使われるシャワーでは、湯と水を適温に調和する弁機構が必要となる。従来は湯の流量、水の流量をそれぞれ調整するハンドルを備えた2ハンドル式が主であったが、給湯の温度変化に追従できず、操作が煩雑と言った欠点もあり、現在ではサーモスタットを備えたサーモスタット式混合水栓が主流となっている。また、後述する緊急シャワーではハンドルをつかんだり視認することも出来ない場合があることから、大型のレバーを体や足で押したり、大きな吊り輪状の金物を引き下げるだけで弁が開くものもある。パブリック向けの浴場施設では節水のため、ボタンを押すと一定量の湯が出た後自動的に止水する自閉式水栓を採用することもある。エアシャワーではエアシャワー室の出入口を分け(片方が汚染室またはクリーンルーム)人が入室して出入り口が同時に閉まってから一定時間空気を送った後に出口を開くような制御が行われる。

用途

主に体を洗浄することを目的として、体を洗う場所である浴室シャワー室などに設置される。

稀であるが、介護に特化した設計の住宅や特別支援学校(養護学校)・福祉施設老人ホームなどにおいては、排泄する場所である便所やその付近に設置されることもある。この場合、排泄時の失禁した時の洗浄に利用され、シャワーブースまたはシャワーカーテンや壁などで仕切られて設置されている。また、付帯設備として洗濯機湯沸器オストメイト(人工肛門)用の流し台が設置されていることもある。

また、湯ではなく水を出すものは、施設設備を洗浄するための機器として設置され、セントラルキッチン屠畜場では、食品を扱う設備を常に衛生的な状態に保つために利用される。

化学薬品を扱う施設では、有害な薬品を浴びるような事故が起こった際に直ちに体を洗い流せるよう、専用の室を設けず工場や研究室の中に設置されることもある。このような設備は緊急シャワー(きんきゅうシャワー)と呼ばれる。

危険で有害な微生物ないし化学物質を扱う、あるいは放射性物質の粉末が出る場では、防護服(陽圧式化学防護服放射線防護服など)の表面に付着したこれら危険物を洗い流すためにシャワー式の設備が設けられる。特に危険度の高い施設では、外部にこれらが漏れ出さないよう、上方向からだけではなく、左右から噴射される。

クリーンルームでは、水ではなく空気が噴き出すエアシャワーが設置されている。これはクリーンルーム内に体表面や着衣に付着したを持ち込まないようにするためのものであり、上の除染とは中と外の関係が逆ではあるが、出入口でこれを浴びることが義務付けられているのは一緒である。また上からだけではなく横方向からも圧縮空気が噴出する。

歴史

古代ギリシャには高度な水道技術があり腰掛シャワー施設が存在した[2]。一方、古代ローマに存在した共同浴場は後期になると風紀を乱しペストなど疫病の原因にもなっていると考えられるようになり、ローマ帝国の衰退とキリスト教の拡大により浴槽入浴による全身浴は悪とされ、欧米では入浴にたらいが使用されるようになった[2]

現代的なシャワーは19世紀後半にフランスで発明された[3]。1873年頃、仏ルーアンの刑務所の外科医Françoi Merry Delabosが、囚人用に開発したものが現代のシャワーの始まりで、時間と費用を節約するのが目的だった[4]。発明されたシャワーは軍隊の施設や監獄などで使用された[3]。初期のシャワーはパイプに等間隔に穴を開けたもので、シャワーヘッドが発明されたのは1920年代のことである[5]。欧米では入浴にたらいが使用されていたが、煩わしい方法だったため、シャワーが発明されると一気に普及した[2]

日本では1988年には朝早く起きてシャンプーをしてから通勤、通学する「朝シャン」が若い女性に流行した。このためシャンプーが手軽に短時間でできるような「ハンディシャワー」という商品が発売された。雑誌の広告欄には「服を着たままシャンプーができる」というキャッチコピーを掲げ、セーラー服姿の女子高生がシャワーを持って微笑んでいる写真が掲載されていた[6]

シャワーノズル

台所などで食器を洗浄する際に水道蛇口に取り付ける器具にもシャワー状の構造を有する物が搭載されており「シャワーノズル」ないし「シャワーヘッド」などという。食器洗い機シャワートイレなど、洗浄機能が取り付けられた機器にも、こういったシャワーは組み込まれている。

こういった構造が利用されるのは、主に以下の理由による。

  • 少ない水量で広い面積に湯水を当てることができる。
  • 直接蛇口から噴出する湯水では勢いが命中部分中央に集中し勢いがあり過ぎるが、それを軽減できる。
  • 各々を細いノズルから噴射すると、勢いをつけた状態で複数個所を同時に洗浄できる(そしてそれらは全体としてはそれほどの反動がない)。
  • 細い水の流れはとなって対象に当たり、連続した断続的衝突となって、その細かい衝撃が対象表面の汚れを効果的に取り去る。

脚注

  1. ^ shower(シャワー)の意味”. goo国語辞書. 2019年12月1日閲覧。
  2. ^ a b c d 橋田規子「MS2-1 入浴スタイルとデザイン : -日本の入浴文化の独自性-」『人間工学』第51巻、日本人間工学会、2015年、S16-S17、doi:10.5100/jje.51.S16ISSN 0549-4974NAID 1300050924302020年10月14日閲覧 
  3. ^ a b 森 明子「けがれ、衛生管理、あるいは癒し」 国立民族学博物館 2020年10月9日閲覧。
  4. ^ Dr. Merry Delabost ≪ Un demi-siecle de prison ≫, 1917
  5. ^ アルヴ・リトル・クルーティエ 『水と温泉の文化史』武者圭子 訳、三省堂、1996年、ISBN 4385355037、pp.152-157
  6. ^ 1989年発売。商品名は、「三菱モーニングハンディシャワー 朝シャンCLUB」。

関連項目


シャワーヘッド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 12:43 UTC 版)

田中和広」の記事における「シャワーヘッド」の解説

2000年平成12年)ごろに節水コンサルタント会社からの依頼節水器具作製する節水できるシャワーヘッドは水の勢い弱まるという難点があり、その両立頭を悩ませるある日水の勢い落ちるのはシャワー噴出孔の大きさ比べ水の体積小さいためであり、空気混ぜて水の体積増やすという方法思いつく以前仕事得ていた空気混ぜる技術とこの考えを基に2001年平成13年)に「ミックスジェット」と呼ぶ技術採用したアダプター開発し他社提供するその後大手ホームセンターチェーンの依頼受けてこのアダプター組み込んだシャワーヘッドの「アリアミスト」を自社製品として開発し2005年平成17年)に商品化する。これは、シャワーヘッドを通る空気含ませることで体に心地よさを与え最大50%節水率も実現していた。 2006年平成18年)にテレビ通信販売取り上げられる個人消費者売れるようになるが、放送終了する売り上げ落ち込むうになるまた、2008年平成20年)には部品加工請け負っていた主要取り引きメーカー事業撤退その事譲渡先内製化により、大幅な債務超過陥ったこのように悪化していく状況打破するために、田中はマイクロナノバブルに注目し0.1マイクロメートル気泡混ぜる「μ-jet」(ミュージェット)を開発して特許取得。これを内蔵したシャワーヘッド「ボリーナ」を開発する価格は9,800円と同機能を持つシャワーヘッドの中では低価格であったが、ホームセンター売り込んだものの当初高額であることを理由扱ってもらえなかった。そこで田中は、売れ商品だと証明するために自ら実演販売行い東急ハンズ銀座店30本を販売するこれを機に毎週上京して実演販売するようになったことで、評判広がり実演販売依頼取り扱い店舗増加。さらに、このような社長自らの実演販売テレビ局目を付け2013年平成25年8月テレビ番組ガイアの夜明け」で取り上げられると、7月には1,000本だった売り上げ8月9月には合わせて14,000本に増加した。これにより2013年平成25年)度は20%超える利益率達成し2012年平成24年時点では8,000万円だった累積赤字一気解消した販売からの6年間(2018年12月時点)で30本を出荷一般客への販売のみならずスポーツクラブや、日本海外ホテルにも採用されている。また、山県市ふるさと納税返礼品にも採用されている。 その後も、ペット用の「ボリーナペットケア」や水道水残留塩素低減する浄水機能備えた「ボリーナプリート」、独自開発アダプター内蔵することでヘッド位置固定したままシャワー浴びることができる「ボリーナワイドプラス」も発売2019年平成31年)からは「ピュアージュ」も販売している。また、シャワーヘッドの散水板に絵柄刻印する技術有している。 現在は、アメリカ中国韓国UAE台湾香港シンガポールなどにも販路拡大している。 2020年令和2年)から始まった新型コロナウイルス影響により「巣ごもり生活でプチぜいたく志向高まった」(田中)ことで売り上げ伸ばしている。2022年1月時点で、ボリーナシリースは累計販売80本を突破している。

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「シャワーヘッド」を含む「田中和広」の記事については、「田中和広」の概要を参照ください。

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