J-2X
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J-2Xはアメリカのエアロジェット・ロケットダイン (旧: プラット・アンド・ホイットニー・ロケットダイン) が開発した極低温液体燃料ロケットエンジンで、NASAのコンステレーション計画において打ち上げ機として開発されたアレスロケットのエンジンに採用される予定だった。J-2Xは液水/液酸エンジンで、真空中推力 1,307 kN (294,000 lbf)、比推力 (Isp) 448秒 (4.39 km/s)を発揮する[2]。エンジン重量は約2,470 kg(5,450Lb)で、原型となったJ-2よりも重くなっている[2]。
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- ^ a b “J-2X Engine”. Aerojet Rocketdyne. 2014年1月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年1月9日閲覧。
- ^ a b c d e Mark Wade (2011年11月17日). “J-2X”. Encyclopedia Astronautica. 2011年12月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年2月26日閲覧。
- ^ “The J-2X Upper Stage Engine: From Design to Hardware. Thomas Byrd, Deputy Manager, J-2X Upper Stage Engine Element Ares Projects Office Marshall Space Flight Center Huntsville, AL 35812”. 2017年7月7日閲覧。
- ^ William D Greene (2012年6月4日). “J-2X Extra: What's in a Name?”. NASA. 2012年6月11日閲覧。
- ^ “NASA Awards Upper Stage Engine Contract for Ares Rockets”. NASA (2007年7月16日). 2007年7月17日閲覧。
- ^ “NASA's Stennis Space Center Marks New Chapter in Space Exploration”. NASA (2007年8月23日). 2012年2月26日閲覧。
- ^ “NASA Successfully Completes First Series of Ares Engine Tests”. NASA (2008年5月8日). 2012年2月26日閲覧。
- ^ “Pratt & Whitney Rocketdyne Completes Successful Test of J-2X Gas Generator”. Pratt & Whitney Rocketdyne (2008年9月8日). 2009年8月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年2月26日閲覧。
- ^ “Pratt & Whitney Rocketdyne Completes Latest Round of Tests on J-2X Gas Generator” (プレスリリース), Pratt & Whitney Rocketdyne, (2010年9月21日)[リンク切れ]
- ^ Morring, Frank. “First J-2X Hot-Fire Test Could Come Next Week”. Aviation Week 2011年6月19日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “NASA Test Fires Engine for Giant New Rocket”. Space.com (2011年11月9日). 2012年2月26日閲覧。
- ^ “NASA Surpasses Test Facility Record with J-2X Powerpack Test”. National Aeronautics and Space Administration (2012年6月8日). 2012年6月10日閲覧。
- ^ “A Summer of Records for Engine Testing”. National Aeronautics and Space Administration (2012年6月26日). 2012年6月26日閲覧。
- ^ “Beating Heart of J-2X Engine Finishes Year of Successful Testing”. National Aeronautics and Space Administration (2012年12月13日). 2012年12月14日閲覧。
- ^ “NASA Set for New Round Of J-2X Testing at Stennis Space Center”. National Aeronautics and Space Administration (2013年2月11日). 2014年2月6日閲覧。
- ^ a b “J-2X Progress: November 2013 Update”. National Aeronautics and Space Administration (2013年11月15日). 2014年2月6日閲覧。
- ^ “One Final Test for J-2X Engine No. 10002”. National Aeronautics and Space Administration (2013年9月5日). 2014年2月6日閲覧。
- ^ “NASA’s J-2X Engine To Be Mothballed After Testing”. Aviation Week and Space Technology magazine (2013年10月4日). 2013年10月29日閲覧。
- ^ “NASA lines up Exploration Upper Stage workhorse for SLS”. NASASpaceflight.com. 2014年11月8日閲覧。
J-2X
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「J-2ロケットエンジン」の記事における「J-2X」の解説
詳細は「J-2X」を参照 コンステレーション計画におけるアレスI ロケットの二段目に、どのエンジンを使用するかという点については、NASAも考慮を重ねた。当初はスペースシャトルのメインエンジンであるSSMEを使うことも考えられたが、SSMEは地上で点火するように設計されている。それを宇宙空間で点火するように設計し直し、さらに燃焼試験なども一からやり直すことの手間暇を考えると、J-2を改良して推力を133トンにまで向上させたJ-2Xを使用したほうがよいとNASAは判断した。 この決定は2006年2月18日になされ、原案では地球脱出用ロケットに2基のJ-2Xが搭載されることになっていた。これにより、アレスI は2010年にシャトルが退役してから3年以内に、オリオン宇宙船は2014年までに発射が可能になると予想されていた。さらにJ-2Xを、宇宙船打ち上げ用のアレスI と貨物打ち上げ用のアレスV の両方に使うことにすれば、開発の手間はさらに省けることになる。そこで2007年8月23日にステニス宇宙センター(Stennis Space Center)に高高度環境下での燃焼試験台が建設され、J-2X開発のために2007年12月から2008年5月にかけて、旧式のJ-2エンジンの燃焼試験が行われた。 新しいJ-2Xは、アポロ計画で使用された原型のJ-2よりもはるかに効率的でシンプルな構造になっており、またコストの面においても、シャトルのSSMEよりもずっと安上がりになるように設計されている。燃料ポンプの駆動には、上記のガス発生器サイクルが使用される。 2007年7月16日、NASAはロケットダイン社と、アレスI およびアレスV ロケットの上段に使用するJ-2Xのデザイン・開発・試験・評価に関する総額12億ドルの契約を正式に交わした。同年9月8日には、ロケットダインはJ-2Xで使用されるガス発生器の試験が順調に行なわれたことを表明した。順調に進めば2010年に最初の燃焼試験を行う予定だった。 しかしその後、コンステレーション計画が中止になってアレスロケットがキャンセルされた事により、J-2Xは使い道が無くなってしまった。2014年に、開発試験が終了した後は使い道がないため倉庫入りとなる。NASAは火星ミッションが当分実現できないため、他のミッションへの転用の道を模索しているが、スペース・ローンチ・システム(SLS)はJ-2Xではなく、RL-10エンジンを上段ステージで使う方向になっており、使い道がなくなっている。J-2Xエンジンは上段ロケットとしてはパワーがありすぎ、SLSを火星ミッションに使わないのであれば、RL-10エンジンを3から4基使えば間に合うというのが理由。
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