BE-3
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/28 23:36 UTC 版)
![]() 試験中のBE-3エンジン | |
原開発国 | アメリカ合衆国 |
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初飛行 | 2015年 |
開発企業 | ブルーオリジン |
現況 | 運用中 |
液体燃料エンジン | |
推進薬 | LOX / LH2 |
サイクル | タップオフサイクル (BE-3PM) エキスパンダーブリードサイクル (BE-3U) |
性能 | |
推力 | 490 kN (110,000 lbf)[1] - 110 kN (25,000 lbf)(出力調整時)[2] |
使用 | |
ニューシェパード, ニューグレン(2/3段目) |
BE-3は、ブルーオリジン社によって開発された液体水素/液体酸素 (LH2/LOX) 系の液体燃料ロケットエンジンである。
エンジンの開発作業は2010年初頭に開始され、2015年初頭に受領試験が完了した。同年から、準軌道飛行ロケットのニューシェパードのエンジンとして使用されている[3]。また派生型のBE-3Uが2025年から、大型ロケットのニューグレンの2段目エンジンとして使用されている[4]。
BE-3は主燃焼室からエンジンのターボポンプを駆動する為に少量の燃焼ガスを抽出するタップオフサイクルのポンプ供給式エンジンの設計を採用する[5][1]。
歴史

2013年1月、同社は新型の液体水素/液体酸素 (LH2/LOX) を推進剤とするロケットエンジンであるBE-3の開発を発表した。原型のエンジンは推力440 kN (100,000 lbf) で初期の燃焼室の試験は2013年にNASAのステニス試験センターで実施された[6][7]。 2013年末にBE-3の実際の飛行を模した、惰性状態と"出力を下げた状態の実証、最大出力、長秒時、再着火を全て1回の試験シーケンスで実施"を伴う弾道飛行での全時間での燃焼試験は成功した[2]。
2013年12月以降、ブルーオリジンは海面高度に近い地上試験での試験に基づいて更新されたエンジンの仕様を発表した。これはエンジンが最大出力時に推力490 kN (110,000 lbf) を生み出す事を実証し、特定の打上げ機で必要かもしれない制御された垂直着陸のために110 kN (25,000 lbf) まで推力を下げる事に成功した[2]。 2015年4月に最大出力の20%というより幅の広い出力調整最小推力89 kN (20,000 lbf) を含む試験を踏まえて最終的なエンジンの仕様が発表された[8]。
2013年12月時点においてエンジンは「テキサス州バンホーン近郊のブルーオリジン社の試験施設で160回以上の始動と累計9,100秒(152分)の運転を実証した」[2][1]。 「縮小版のブースターによる実際の弾道飛行を模した」エンジンでBE-3のさらなる試験は2014年に完了した[5]。 エンジンの地上試験は2015年4月に450回以上で累計500分以上の燃焼試験を完了した[8]。同年4月29日、BE-3PMを搭載したニューシェパードが初めて飛行試験を実施して高度93.5 kmに到達した[9]。
2015年4月、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス (ULA) は2020年代の打ち上げが予定される新開発のULAのヴァルカンの2段目の先進極低温発展型上段 (ACES) でBE-3の使用を検討中と発表した。ヴァルカンは2019年に既存のセントール上段ロケットを使用して軌道飛行を開始予定で、2023年に飛行予定のACES上段では2019年以前に多様な製造会社の3種類のエンジンから選択する事が期待されていた[10](後にヴァルカンの初打ち上げは2024年まで遅延、ACESも計画未定に)。
海面高度版のBE-3PMエンジンの開発が2015年初頭に完了したことを受け、ブルーオリジンは宇宙空間で運転する真空仕様のBE-3Uの開発を発表した[11]。BE-3Uを搭載したニューグレンは、2025年1月に初打ち上げに成功した[4]。
BE-3U
BE-3Uはエキスパンダーブリードサイクル方式を採用する派生型のロケットエンジンである[12]。大型ロケットのニューグレンの2段目に2基、3段目に1基が用いられる[12]。ただし、派生型とされるが、実際にはBE-3PMとは形状もエンジンサイクルも異なるため、名前が同じだけの別のエンジンとも評される[4]。BE-3Uを搭載したニューグレンは、2025年1月に初打ち上げに成功した[4]。
出典
- ^ a b c Blue Origin Tests New Engine, Aviation Week, Guy Norris, 2013-12-09, accessed 2014-09-16.
- ^ a b c d Messier, Doug (2013年12月3日). “Blue Origin Tests New Engine in Simulated Suborbital Mission Profile”. Parabolic Arc 2013年12月5日閲覧。
- ^ Foust, Jeff (2015年4月13日). “Blue Origin’s suborbital plans are finally ready for flight” 2015年4月19日閲覧. "私達は、最近受領試験を完了してエンジンをニューシェパードでの弾道飛行用に使用予定でとても長期間のエンジンの450回の着火試験が終わり累計運転時間は500分以上に達した。これらの試験が終了してブルーオリジンは今年に西テキサスの施設で機体の飛行試験を開始する段階に入った。飛行は自動的で私達は1年で試験を飛行完了する事を期待する。"
- ^ a b Messier, Doug (2014年11月14日). “Blue Origin Commercial Crew Development Status Report”. Parabolic Arc 2014年12月24日閲覧。
- ^ “Updates on commercial crew development”. NewSpace Journal. (2013年1月17日) 2013年1月21日閲覧。
- ^ Messier, Doug (2013年12月3日). “Video of Blue Origin Engine Test”. Parabolic Arc 2013年12月5日閲覧。
- ^ a b Foust, Jeff (2015年4月7日). “Blue Origin Completes BE-3 Engine as BE-4 Work Continues”. Space News 2015年4月8日閲覧。
- ^ Foust, Jeff (2015年4月30日). “Blue Origin’s New Shepard Vehicle Makes First Test Flight”. Space News 2015年5月1日閲覧。
- ^ Gruss, Mike (2015年4月13日). “ULA’s Vulcan Rocket To be Rolled out in Stages”. SpaceNews 2015年4月18日閲覧。
- ^ “Our Approach to Technology”. Blue Origin. Blue Origin. 2015年5月1日閲覧。 “ The BE-3 engine is flying. The engine that powers the New Shepard suborbital vehicle today will be upgraded with a larger nozzle to operate in the vacuum of orbital space.”
- ^ a b https://twitter.com/blueorigin/status/1028017095643209728 BE-3 test update], Blue Origin, 10 August 2018, accessed 12 July 2024.
関連項目
外部リンク
BE-3
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 01:09 UTC 版)
詳細は「BE-3」を参照 ブルーオリジンは2013年1月にBlue Engine 3、またはBE-3エンジンの開発を公表した。 BE-3は新型の液体水素/液体酸素 (LH2/LOX) 極低温推進剤エンジンで推力は最大出力時に490 kN (110,000 lbf) で出力の加減が可能で垂直着陸のために25,000 lbf (110 kN) まで出力を下げる事が出来る。 初期の燃焼室の試験は同年NASAのステニス宇宙センターで実施された。 2013年末よりBE-3は弾道飛行中の最大出力燃焼試験に成功して、降下時を想定して出力を下げた状態で長時間燃焼と再始動の試験の段階に入った。 NASA は試験のビデオを公開した。2013年12月までに、エンジンは"160回以上の始動と 9,100秒(2.5 時間)の運転をテキサス州Van Horn近郊のブルーオリジンの試験施設で実証した。"
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