ユナイテッド・ローンチ・アライアンスとは? わかりやすく解説

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ユナイテッド・ローンチ・アライアンス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/12 23:55 UTC 版)

United Launch Alliance
種類
私企業
業種 航空宇宙産業
設立 2006年12月1日
本社 センテニアル (コロラド州)
製品 アトラスV , デルタII, デルタIV, ヴァルカン
売上高 不明
従業員数
2,700 (2022年時点)[2]
親会社 ボーイング 
ウェブサイト United Launch Alliance

ユナイテッド・ローンチ・アライアンスUnited Launch Alliance, ULA)は、ロッキード・マーティン社とボーイング社の合弁事業である。2006年12月に両社の衛星打上げ部門同士が合体し設立され、アメリカ合衆国連邦政府向けに打上げサービスを提供している。政府内の顧客には、アメリカ国防総省アメリカ航空宇宙局等も含まれる。

ULAは、使い捨て型ロケットデルタIIデルタIVアトラスV等を用いて打上げを行っている。アトラスシリーズとデルタシリーズは50年以上に渡って気象衛星、通信衛星、偵察衛星等を含む様々なペイロードの運搬の他、深宇宙探査や惑星間探査等の科学研究に用いられた。また、非政府組織用の打上げサービスも提供している。なお、ロッキード・マーティン社、ボーイング社は、それぞれアトラス、デルタの商業化権を保持している[1]

ULAの本部はコロラド州センテニアルにあり、運用、技術開発、試験、ミッション支援等が行われている。製造、組立てはアラバマ州ディケーターテキサス州ハーリンジェンで行われる。また打上げはフロリダ州ケープカナベラル空軍基地カリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地で行われる[2]

歴史

コロラド州センテニアルの本社ビル

ボーイング社とロッキード・マーティン社は、2005年5月2日に合弁事業のユナイテッド・ローンチ・アライアンスを立ち上げるつもりであることを発表した[3]。ULAでは、両社の政府向け衛星打上げ事業を統合し、アラバマ州ディケーターとコロラド州リトルトンの中央工場に一本化した。Boeing Defense, Space & SecurityのデルタIVとLockheed Martin Space SystemsのアトラスVは、連邦政府向けの発展型使い捨てロケットとして価格競争していた。

ファルコン9ロケットでの事業参入を狙っていたスペースX社は、2005年10月23日に打上げサービスの独占による反トラスト法違反として提訴したが、2006年1月7日にアメリカ国防総省はユナイテッド・ローンチ・アライアンスに対して予備承認を与えた。

2006年9月、国防総省はULAに対する支援を延長し、さらに連邦取引委員会への支援も表明した。2006年10月3日、連邦取引委員会は反トラストの宣言を行い[4]、合弁会社は2006年12月1日に操業を開始した。

2022年4月、ULAは、Amazon.comと、ヴァルカンロケットで「プロジェクト・カイパー」の低軌道衛星を38回打ち上げる契約をしたことを発表した[5][6]

2023年以降、たびたび買収の可能性が報じられており、候補としては宇宙ベンチャーのブルーオリジンや投資会社のサーベラス・キャピタル・マネジメント、航空宇宙企業のシエラ・スペースなどが報じられている[7]

打上げ

ULAによって行われた初めての打上げは、2006年12月14日にヴァンデンバーグ空軍基地からデルタIIロケットで行われた[8]。このロケットでは、アメリカ国家偵察局USA 193衛星が打ち上げられたが、打上げ直後に故障し、2008年2月21日にタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦レイク・エリーから発射されたSM-3ミサイルによって意図的に破壊された[9]

2007年6月15日、ULAの打ち上げたアトラスVロケット上段のセントールのエンジンが予定していたより早く停止し、予定よりも低い軌道にアメリカ国家偵察局のL-30海洋偵察衛星を放出してしまった[10]。このため、同じタイプのRL-10上段エンジンを積むアトラスVやデルタIVの打上げが延期された。故障の原因は、生産が終了した古いバルブの替わりに用いられた新しい型のバルブであることが特定され、その対策として、古いバルブの生産が再開された。

アトラスVやデルタIVによる商業打上げは、現在でもそれぞれLockheed Martin Commercial Launch ServicesとBoeing Launch Servicesによって行われている。

関連項目

  • ユナイテッド・スペース・アライアンス英語版
  • 商業宇宙飛行連盟英語版

出典

  1. ^ Justin Ray (2009年11月23日). “Atlas 5 launches Intelsat communications satellite”. Spaceflight Now. 2011年2月16日閲覧。
  2. ^ [1]
  3. ^ About ULA”. ULA. 2011年2月16日閲覧。
  4. ^ (press release) (2006年10月3日). “FTC gives clearance to United Launch Alliance”. Spaceflight Now. 2011年2月16日閲覧。
  5. ^ アマゾン、衛星ブロードバンド計画「Project Kuiper」に向けBlue Originなどと契約”. CNET Japan (2022年4月6日). 2022年4月9日閲覧。
  6. ^ Amazon Signs Contract with United Launch Alliance for 38 Project Kuiper Launches on Vulcan Centaur”. www.ulalaunch.com. 2022年4月9日閲覧。
  7. ^ ボーイングとロッキード、宇宙合弁売却でシエラ・スペースと交渉=関係者”. ロイター (2024年8月19日). 2024年8月20日閲覧。
  8. ^ United Launch Alliance set for takeoff”. Metro Denver EDC. 2011年2月16日閲覧。
  9. ^ "DoD Succeeds In Intercepting Non-Functioning Satellite (No. 0139-08)" (Press release). U.S. Department of Defense. 20 February 2008. 2008年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年10月9日閲覧
  10. ^ NRO Shortfall May Delay Upcoming ULA Missions”. Aviation Week. 2011年2月16日閲覧。

外部リンク


ユナイテッド・ローンチ・アライアンス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/07 13:59 UTC 版)

民間宇宙飛行」の記事における「ユナイテッド・ローンチ・アライアンス」の解説

ボーイングロッキードマーティン合弁会社アメリカ政府向けのアトラスロケットデルタロケット打ち上げ担当する

※この「ユナイテッド・ローンチ・アライアンス」の解説は、「民間宇宙飛行」の解説の一部です。
「ユナイテッド・ローンチ・アライアンス」を含む「民間宇宙飛行」の記事については、「民間宇宙飛行」の概要を参照ください。

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