【グリペン】(ぐりぺん)
JAS39 "Gripen".
スウェーデンのサーブ社が中心となって結成されたJASグループにより、ドラケン及びビゲンの後継として設計されたマルチロールファイター。
スウェーデンの国防状況を考慮して造られた機体は、同世代の戦闘機と比較すると比較的保守的な設計と小型なサイズゆえに搭載能力・航続距離こそ少ないが、高いSTOL能力と整備性を持ち、補強なしの高速道路からでも離着陸できるようになっている。また、初期・運用経費などが他の戦闘機のおよそ1/2~3/4程度に抑えられるとしている。
上記の特徴により、グリペンに興味を寄せている国は非常に多く、売り込みも活発に行われており、いくつかの国が採用を決定している。
最近ではプローブアンドドローグ式空中給油装置の追加やデータリンクおよびIFFなどを換装したNATO標準仕様のJAS39C/Dが実用化されており、さらには推力を増したF414エンジンや、アビオニクスを強化した「グリペンNG」の開発も行われている。
過去にはアクティブフェイズドアレイレーダー、IRST、曳航式デコイ、コンフォーマルタンクなどを追加し、殆ど別の機と言っても過言では無い"SUPER-GRIPEN"が計画されていた。
スペックデータ
乗員 | 1名/2名(B/D型) |
全長 | 14.1m/14.8m(B型) |
全高 | 4.5m |
全幅 | 8.4m |
主翼面積 | 56.5㎡ |
空虚重量 | 6,620kg |
最大離陸重量 | 8,500kg(クリーン時)/13,000kg(兵装最大時) |
エンジン | ボルボ・フリーグモーター RM12 ターボファン×1基 |
推力 | 54kN/80.5kN(A/B使用時) |
最高速度 | Mach2.0 |
実用上昇限度 | 20,000m |
航続距離 | 1,620nm(増槽使用時) |
戦闘行動半径 | 432nm |
武装 | 固定武装: マウザーBK27 27mm機関砲×1門 兵装: 翼端にRb74AAM2発、翼下4箇所の武装搭載点にRb99、Rbs15FASM、Rb75、 DWS39ディスペンサー兵器、通常爆弾、ロケット弾ポッド等、最大5,300kgの兵装を搭載可能。 |
主な採用国
南アフリカ共和国(チーターC/Dの代替。28機を購入。)
ハンガリー(MiG-29A/UBの代替として14機リース。)
チェコ(MiG-21MF/MFN/UMの代替で24機購入。2005年8月に機体納入完了。)
タイ王国(F-5の代替として12機購入。2011年から配備開始。)
イギリス(テスト・パイロット学校での練習機として採用。)
スイス(F-5E/Fの代替で30機前後の導入を検討中。)
バリエーション
- JAS39A:
初期量産単座型。
- JAS39B:
機銃を持たない転換訓練用複座型。SKとも呼称される。
- JAS39C:
単座型にGPS端末を装備するなどA型の電子装置を改良したもの。
また、国外運用およびNATO軍との連携を考慮し、プローブアンドドローグ方式の空中給油装置を追加装備している。
- JAS39D:
C型同等の改良を施した複座型。
C型と比べて全長が65.5cm長く、空虚重量が約300Kg増加している。
- グリペンDemo:
複座型をベースに2008年4月23日にロールアウトしたグリペンNGの先行試験機。同5月27日に初飛行した。
既存のグリペンC/DのエンジンをRM12(F404改)からF414Gに、レーダーをエリクソン社製PS-05/Aからタレスと共同開発したAESAに換装。
さらに主脚を再設計し、格納位置を胴体部分から主翼付け根部分に移動させる事でエアフレームを流用したまま40%の燃料搭載量の大幅な増加を図った。
また主脚の格納方式の変更に伴い、胴体下のハードポイント数が1個から2個に増加している。
- JAS39E/F グリペンNG(next generation):
C/D型にさらなる近代化を施したもの。
エンジンをF414G(推力約10t)への換装、AN/APG-80等のAESAレーダーの搭載、コンピュータやアビオニクスの改良、衛星通信能力・改良型データリンク、改良型電子戦機器などの導入があげられる。
スイスが採用したほか、スウェーデンでも既存機のE/F型への改修と新造機の導入を決定した。
- シーグリペン:
グリペンNGの艦載型。
計画はスウェーデンと英国が共同で行い、着陸装置の強化、アレスティング・フックの取り付け、カタパルト射出用アタッチメントの取り付け、海水に対する腐食対策などが行われる。
参照 http://sukhoi.s7.xrea.com/gripen/ http://www.gripen.com/en/index.htm
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