プローブアンドドローグ方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 08:28 UTC 版)
「空中給油」の記事における「プローブアンドドローグ方式」の解説
給油機が給油ホースを垂らして飛行し、その先端に設置された漏斗状のバスケット(ドローグ)に対して、受油機に設置されたパイプ状の装置(プローブ)を挿し込んで、給油を受けるという方式である。戦間期、イギリス航空業界のパイオニアであるアラン・コブハムによって考案された。 この方式は、他の方式と比べて装置が比較的小規模かつ簡便で、また給油機側の操作要員が不要であることから、戦闘機・攻撃機などでも空中給油ポッドを装備すれば給油機として転換できる。一方、天候や気流の影響を受けやすく、また受油機側がドローグの位置にプローブをあわせる必要があるため、その実施にはある程度の機体操縦技術が求められるほか、時間あたりの給油量が比較的少ないというデメリットも指摘されている。アメリカ海軍で標準的に採用されており、同軍と共通の機体を運用する各国軍のほか、ヨーロッパ諸国で開発された機体でも広く採用された。また東側諸国でもこちらの方式が用いられている。 上記の通り、ベトナム戦争中のアメリカ空軍はヘリコプターに対する空中給油技術の開発に着手したものの、従来同軍が行っていたフライングブーム方式は機体上部にローターを備えるヘリコプターに対しては物理的に行い得ず、プローブアンドドローグ方式を用いることになった。またヘリコプターとの速度差のためにジェット機を母機とすることも難しく、1965年12月17日に行われた初の空中給油試験では、海兵隊のKC-130Fが曳航するドローグに対し、CH-3Eヘリコプターに仮設されたダミーのプローブがコンタクトを成功させた。ヘリコプターは、揚力と推進力を同時にローターで賄うという飛行原理のため後方乱気流に対し脆弱であり、そのリスクを低減しつつ空中給油を行う手法が研究されていった。また低速で安定させるため、ドローグの大型化も図られた。 HC-130Pから給油を受けようとするHH-60 KC-130から給油を受けるF-35 F/A-18E/F同士のバディ給油 トーネード IDSの空中受油プローブ NASAによる空中給油の自動化試験(2002年)
※この「プローブアンドドローグ方式」の解説は、「空中給油」の解説の一部です。
「プローブアンドドローグ方式」を含む「空中給油」の記事については、「空中給油」の概要を参照ください。
- プローブアンドドローグ方式のページへのリンク