2015年世界陸上落選騒動・2016年リオ五輪代表選出・2020年東京五輪選考(女子マラソン)見直し等
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「田中智美」の記事における「2015年世界陸上落選騒動・2016年リオ五輪代表選出・2020年東京五輪選考(女子マラソン)見直し等」の解説
田中智美が世界陸上北京大会・女子マラソン日本代表から落選した理由について、日本陸連は、田中がレース前半にハイペースの先頭集団を追わなかったことを消極的だと判断し、「重友選手については、前半から積極的にレースをした。また横浜での出場選手のレベルは名古屋や大阪よりも劣っていた。前田彩里、伊藤舞、重友梨佐は、日本陸連が定めた派遣設定記録の2時間22分30秒を目指す走りだった。後ろからペースを上げての2時間22・23分台なら評価するが」(酒井勝充強化副委員長)と説明した。その記者会見の席で、ロサンゼルス五輪女子マラソン日本代表・スポーツジャーナリストの増田明美は「なぜ同じ26分台で大阪で3位だった重友さんなんでしょうか?重友さんは確かに復調の兆しがあったが、後半5キロの失速を見るとまだまだのように見えた。優勝した田中さんには圧倒的な強さがあったと思う。これで本当に良いのでしょうか?重友さんの選考はすごく主観が入っているという事ですよね??」と、日本陸連関係者に猛抗議する一幕もあった。 田中の所属する第一生命の山下佐知子監督も「田中智美が世界で戦うには力不足なのは謙虚に受け止めねばと思いますが、今回の選考理由はまだ受け入れられません」「(重友の2時間26分39秒と)記録も18秒しか変わらないのに。田中自身もショックを受けている」と悔しさを露わにした。また、十種競技の日本男子元チャンピオン・タレントの武井壮もツイッターやFacebookで、「一発選考じゃないから不公平が起きる。今回の場合、名古屋ウィメンズマラソンで強くて速かった前田彩里1人だけ内定にして、あとの上位選手は決め手が無いんだから、全員補欠でナショナルチーム入り。で、ナショナルチーム内で大会2ヶ月前に最終選考一発勝負すりゃいいと思う」とコメントするなど、異議が上がった。 世界陸上男子マラソンで4回(2011年大邱大会・2013年モスクワ大会・2017年ロンドン大会・2019年ドーハ大会)日本代表選出の公務員ランナー(当時、2019年4月よりプロランナーに転向)・川内優輝は「優勝して選ばれないというのはどうなんでしょうか…他に優勝した選手がいるのなら分かりますけど。重友さんはトップに3分以上つけられたのに、笑ってゴールしたのも気になりました。ただ選ばれたことに重友さんは何も悪くないし、罪はないですよ」と田中と重友を気遣いつつも、日本陸連の選出方法に疑問を呈していた。さらに今回世界陸上北京大会・男子マラソンに初選出の今井正人は、「男女共3人目は誰になるのか微妙なのかな、と思っていました」と語り、「優勝した選手が選ばれない事に驚いた?」と尋ねると「そうですね」と答えている。そして2000年シドニー五輪女子マラソン覇者・2001年女子マラソン世界記録達成者(ベルリンマラソン)で、現在日本陸連の理事を務める高橋尚子は「田中さんが有利だと思っていた。陸連に直接意見を言ったが、返答は代表発表会見と同じ感じで憤慨した」「選ばれた側の重友さんも苦しいはず。勝っても負けても選手が前を向けるようにしなければ」「(日本陸連の)理事を辞める事も考えたが、中にいないと出来ない事がある。今後も選手達を守っていきたい」等と述べていた。 だが田中はこの無念の想いを糧にして、翌2016年3月の名古屋ウィメンズマラソンでは日本人トップの2位に入り、同年8月のリオ五輪女子マラソン日本代表入りを果たす。それでも、その記者会見の席で田中は当事者として、リオ五輪では前年8月の世界陸上北京大会で入賞者(7位)の伊藤舞(大塚製薬)が先に五輪即内定となった件に関し「伊藤さんがどうとかでは無いですが、このまま(世界陸上入賞で五輪内定)では日本人同士の争いになってしまう。世界に向かないといけないのに、入賞を目指すだけではと感じています」と意を決したような表情で私見を述べた。その上で山下監督も「今思っても1年前の事は納得していない。誰もが同意する説明の仕方を、当事者に出来るように気を付けてほしい」と改めて日本陸連に対し注文を付け、さらに五輪男女マラソン代表3枠に対し選考レースが4つも有る選考方法に「一発選考が良いかはっきり言えない処も有りますが、少なくとも分母と分子位は合わせるか、分母を少なくするかは出来る筈」等と提言している。 しかしリオ五輪本番では、田中(19位)を含め男女マラソン日本代表6人全てが、メダル及び8位入賞も届かなかった。特に女子マラソン日本代表は3大会連続してメダル・入賞を逃す不振に、日本陸連はマラソン選考について大幅な見直しを検討。リオ五輪後の2016年11月2日、山下佐知子監督は日本陸連ナショナルチーム・女子強化コーチに就任する。翌2017年4月18日、日本陸連は2020年東京オリンピック・男女マラソン日本代表選考の詳細方針を発表し、さらに同年8月23日には、当選考競技会の正式名称を「マラソングランドチャンピオンシップ(通称:MGC)」と公表した。
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