2014年 - 2017年 資金難によるチーム力低下~チーム売却
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「ザウバー」の記事における「2014年 - 2017年 資金難によるチーム力低下~チーム売却」の解説
2014年 フォース・インディアからエイドリアン・スーティルが移籍。チームメイトはエステバン・グティエレスの残留が決定。リザーブドライバーがセルゲイ・シロトキンとギド・ヴァン・デル・ガルデというドライバーラインナップとなった。さらに「アフィリエイトドライバー」として前年までインディカー・シリーズで戦っていた地元スイス国籍の女性ドライバーシモーナ・デ・シルベストロと契約した。しかし、マシンの性能は低く、シーズンを通して苦戦を強いられた。最高位はスーティル11位、グティエレス12位で、参戦以来初のノーポイントシーズンとなってしまった。 2015年 ドライバーラインナップを一新。ケータハムからマーカス・エリクソンが移籍、新人フェリペ・ナッセがチームメイトとなる。 このラインナップは、金銭的理由のためであるとチームが認めている。実際にブラジル銀行のスポンサード(ナッセの持ち込みスポンサー)に伴い、車体の配色が青と黄色に変わった。また、リザーブドライバーはフェラーリ・ドライバー・アカデミーのメンバーでGP2を走るラファエレ・マルチェロが起用された。 ペイドライバー2人でのコンビになったが、開幕戦で完走11台のサバイバルレースを生き残りナッセが5位、エリクソンが8位とダブル入賞を記録。以降も散発的に入賞を記録していき、予選でもQ3進出を複数回果たすなど前年の不振が嘘のような活躍を見せた。本家フェラーリの復活に貢献した大幅パワーアップのフェラーリ製新型PUがザウバーの性能向上を後押しした。ザウバーのドライバー選択が正解だったことの証明になったが、開幕前にはこの2人の起用が原因でザウバーの存続及びF1界を揺るがす大騒動に発展してしまった(後述)。 2016年 ドライバーはエリクソン、ナッセの両者とも残留。サードドライバーのマルチェロとは契約を更新しなかった。 開幕直前にテクニカルディレクターのマーク・スミスが離脱した。さらに4月末にはトラックエンジニアのトップとしてレッドブルから加入していたティム・メイロンがわずか3ヶ月で離脱した。ここまで、カルテンボーンが代表に変わってから、チームの力としては、ペーターが指揮を執っていた頃とは全く違い、速さも覇気も感じられないほどに落ちぶれている。 前年からのドライバー契約騒動と財政難が尾を引き、ついに2月分の給料の一部が支払われない事態に陥り、続く3月分の給与支払いにも遅れが生じた。このため、早くも第3戦中国GP前には参戦自体が危ぶまれたが、エリクソンのスポンサーの前払いにより参戦を継続することができた(同時に3月分までの給与も支払われた)。しかし4月分の給与支払いも遅れ、スペインGP後に行われるバルセロナでの合同テストを欠席しており、財政難が根本的に解決されたわけではなく、チームの売却先を求めることになった。7月20日、共同株主だったスイスのロングボウ・ファイナンスS.A.に所有権を譲ることが正式に発表された。これに伴い、チーム創設者のペーター・ザウバーはすべての業務から完全に引退、後任にロングボウ・ファイナンス社CEOのパスカル・ピッチが就くことが決まった。チーム代表のモニシャ・カルテンボーンは残留。チームの資金難は解消されたもののルノー勢の性能アップや去年最下位だったマノー、新参チームのハースが善戦していることもあってレースでは苦戦しており、終盤2戦を残して唯一のノーポイントチームであった。しかし第20戦ブラジルGPでナッセがチーム初ポイントをもたらす9位入賞を果たし、マノーを逆転。最終戦でもマノーがポイントを獲得できなかったためコンストラクターズランキングは10位となった。このランキング10位により獲得できる賞金は2,000万ドル(約21億円)と言われている。なおドライバーズランキングはナッセ17位、エリクソン22位となった。 2017年 ポイントを挙げたナッセはブラジル銀行からの支援打ち切りが決定したため残留を果たせず、ノーポイントだったエリクソンが残留。もう一つのシートには、メルセデスのリサーブドライバーを務めるパスカル・ウェーレインを迎える。リザーブドライバーはシャルル・ルクレール、テストドライバーはアントニオ・ジョヴィナッツィ、開発ドライバーはタチアナ・カルデロンがそれぞれ就任した。パワーユニットはフェラーリの1年落ちのスペックを使用する。この契約からも財政難の影響が見られる。 ウェーレインはROCでのクラッシュにより背中を負傷したため1回目のプレシーズンテストと開幕2戦を欠場、ジョヴィナッツィが代走した。型落ちPUのハンデに対し、他チームよりタイヤ交換を1回少なくする作戦が多くこれが成功するとウェーレインが第5戦スペインGPで8位、第8戦アゼルバイジャンGPで10位入賞を果たしたがマシン性能の低さは否めずアジアラウンド以降は決勝でもトラブルが出て余計なピットストップが多く入賞には程遠い状況であった。最終的にポイントは5と前年を上回ったものの、5~8位が終盤までコンストラクターズランキングを激しく争い9位のマクラーレンが30ポイントを獲得したのと比較してザウバーは大きく見劣りする結果となり、前年に続きランキング10位でチーム史上初の最下位に終わった。 ロシアGPにて、2018年からホンダのカスタマーパワーユニットが供給されることを正式発表した。しかし、6月21日にカルテンボーンが代表兼CEOを退任し、元ルノーのフレデリック・ヴァスールが後任となってから契約の見直しに着手し、7月27日に契約の白紙撤回、翌28日にフェラーリの最新仕様パワーユニット供給契約を発表した。ホンダとの供給契約を撤回した理由として「自社でギアボックスを製造できるリソースがないため、翌年はホンダの供給先であったマクラーレンのギアボックスを提供してもらうつもりであったが、そのマクラーレンがホンダPUのパフォーマンスに対する不満が限界に達していてパートナーシップを解消する可能性が浮上し(その後実際に解消となった)、最悪の場合来年のギアボックスがなくなってしまう恐れがあった」とヴァスールは語っている。
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