2004年 - 2012年
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「肥薩おれんじ鉄道」の記事における「2004年 - 2012年」の解説
2004年3月にJR九州から経営分離され、第三セクター鉄道として再出発した肥薩おれんじ鉄道だが、八代 - 川内間は開業前の国鉄、JR時代から営業距離が長い割に沿線人口が少ない地域が多く沿線道路も発達していたため、特急列車が運行がメインの路線で普通列車は区間によって1〜3時間に1本程度と少なく、水俣 - 川内間に至っては普通列車は朝7時代から昼過ぎまで5時間近くも運転していなかった時期もあり、また区間列車の水俣、出水などでの接続が悪い、終列車も早いなど利便性が非常に悪かった。そのため、開業時に列車の運行本数を大きく増発して終列車を繰り下げ、区間列車どうしの接続を取るようにして沿線の利便性を高めているが、開業14年目の2018年現在も依然として経営は厳しい状況である。開業当初の計画では初代社長の嶋津忠裕の陣頭指揮の下で初期投資費用や人件費を極力抑えるためにJR九州時代の線路や施設をなるべくそのまま使い、社員も自社社員を必要最小限にとどめてJR九州の出向社員や特定非営利活動法人(NPO法人)等の起用を中心とした「徹底した節約と現状維持」の運営方式で2013年度中に黒字決算にする予定であった。 しかし、開業2年目の2005年度決算で大幅な赤字に転落して早々に経営安定基金の切り崩しを行うなど、早くも経営危機を迎えている。さらに沿線産業の空洞化、少子高齢化による沿線人口の減少、自動車の普及や国道3号線、南九州西回り自動車道日奈久IC - 芦北IC間の部分開通など高速道路の整備が進み、2004年の開業時には年間188万人(収入額5億2300万円)だった利用者数が、6年後の2010年には37万人減の年間151万人(収入額3億9200万円)にまで落ち込んでしまい、収入全体も8億円に対して支出額は10億円と2億円もの赤字を抱えて経営悪化に繋がっている。2010年の収入の内訳は定期が78.8%、定期外が21.2%で通学客が約7割、観光客が2割を占めており、沿線住民の利用客はわずか1割程度と通学客や観光客に依存せざるを得ない状況になっている。 2009年7月には2代目社長に古木圭介が就任。2011年10月には本社内に営業部を新設して鉄道利用客以外の収入としてイベント開催の強化、沿線の豊富な観光資源を有効活用するための台湾や韓国などアジア地域を中心とした外国人向けの国内旅行「九州西海岸ウエストコーストツアー」の宣伝と実施、携帯電話専用アプリの「コロニーな生活☆PLUS(コロプラ)」や「おれんじ鉄道で行こう!」への参入、鉄道ファンへの鉄道関連グッズの販売強化、メディアへのプレスリリースの活用、「銀河鉄道999」や「くまモン」、「ぐりぶー」などといった数々のラッピング列車、観光列車おれんじ食堂の運行などの地元誘致活動を頻繁に行って積極的な経営に乗り出しており、2011年度決算からはこれらの鉄道利用客外収入が一般利用客の収入よりも上回って開業以来悪化を辿っていた業績は徐々にだが持ち直し始めている。また、こうした地道な経営努力の結果、2011年度決算には開業7年目にして初めて純利益が1億5700万円の黒字を計上し、おれんじ食堂についても2013年4月と5月の運輸収入は1200万円と好評で、1年間で1万4千人が乗車した。さらにおれんじ食堂の導入で2013年度の輸送人員が139万人と6年ぶりに増加に転じ、売上高も過去最高となる14億6600万円に達した。このため定期外収入が前年比で22.8 - 38%に増加した。しかし、2011年の黒字決算は国の援助強化やJR貨物からの線路使用料の大幅増額によるものが大きく、慢性的な赤字体質から完全に抜けたものとは言えない。2013年6月27日の株主総会において2012年度決算を発表したが、運行支援補助金の減額や人件費、設備投資費などへの投資が影響して前年の黒字から一転して1億8600万円の赤字に転落したことを明らかにした。 また、2014年度には鹿児島県が設置した経営安定基金が底を着くのが確実になるなど問題も多く、開業の2004年度から2013年末までの10年間で輸送人員は26.1%、運賃収入も18.1%の減少となって損失額が累計12億5200万円に達し、さらに車両や施設の老朽化による大掛かりな補修費用が必要になった事なども加わり、今後2013年度から2022年度までの10年間で収支見込みで33億円の資金不足が見込まれている。
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