2004年 - 2009年:『きみに読む物語』と『ハーフネルソン』
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「ライアン・ゴズリング」の記事における「2004年 - 2009年:『きみに読む物語』と『ハーフネルソン』」の解説
ゴズリングが大きく注目されるようになったのは、同じくカナダ出身のレイチェル・マクアダムスと共演したロマンティック・ドラマ映画『きみに読む物語』(2004年)後のことである。作品はニコラス・スパークスの同名作品(英語版)を映像化したもので、ニック・カサヴェテスが監督した。ゴズリングはノア・カルフーン役を演じ、役について「時代を超えて—1940年から1946年まで—役を演じる機会を得たけれど、それはとても難解で物を作るような作業だった」と述べている。ゴズリングは役柄に「静かな強さ」(英: "quiet strength")を吹き込もうとしたほか、共演者のサム・シェパードが『天国の日々』(1978年)で見せた演技に刺激を受けた。撮影は2002年後半から2003年初頭にかけてサウスカロライナ州チャールストンで行われた。この映画撮影後の2005年にゴズリングとマクアダムスは恋仲となったが、セットでは互いにいがみ合うような関係で交際に発展するとは思えなかったという。ゴズリングはこの時を振り返り、「互いにひどくけしかけ合うような関係だった。恋物語を撮っているのに、共演者と全く仲良くやれないなんて奇妙な経験だったよ」と述べている。撮影中、マクアダムスがあまり協力的でないと感じたゴズリングは、カサヴェテス監督に「自分がカメラに写らないショットでは別人を使ってほしい」と頼み込んだ。『ニューヨーク・タイムズ』紙では、主演ふたりの「無意識で敏感な」(英: spontaneous and combustible)演技を賞賛したが、「(観る人は)心ならずもこの2人が予想を覆してほしいと応援してしまう」と述べている。『ワシントン・ポスト』紙のデッソン・トムソンはゴズリングの「魅力的な気取らなさ」(英: beguiling unaffectedness)を讃え、「このふたりを好きになれなかったり、ふたりの偉大な愛を妬むようなことは難しい」と述べた。映画は世界中で1億1500万ドルあまりの興行収入を得て、インフレ率を考慮しても、2011年までゴズリングのキャリア史上で商業的に最も成功した作品の座を譲らなかった。ゴズリングはこの映画で、ティーン・チョイス・アワード5部門とMTVムービー・アワード1部門を獲得した。『エンターテインメント・ウィークリー』誌では作中のキスシーンを「映画史上最高のキスシーン」(英: The All-Time Best Movie Kiss)と評し、『ロサンゼルス・タイムズ』紙も同シーンを「映画での最高のキス50選」(英: The 50 Classic Movie Kisses)にランクインさせた。この作品は数多くの「最高のロマンティック映画」リストにランクインしている。 2005年、ゴズリングはサイコスリラー映画『ステイ』に出演し、精神障害のある若い美術学生を演じてナオミ・ワッツやユアン・マクレガーと共演した。『ニューヨーク・タイムズ』のマノーラ・ダージスは、否定的な映画評の中で、ゴズリングについて「彼のファンのように、もっと厚遇されるべきだ」と述べた。『バラエティ』誌のトッド・マッカーシーは「有能な」マクレガーとゴズリングは、「彼らが以前見せたものと比べ、目新しい物は何も届けなかった」と評した。低評価にもゴズリングは動じず、次のようなコメントを残している。 通りに10歳の男の子がいて、「『ステイ』に出てただろ?あの酷い映画は何なんだ?」って尋ねるんだ。素晴らしいことだね。こっちはただ、誰かが「やあ、あの映画に出てた君はこっちをむかつかせたぜ」って言っても、まるで向こうが自分に泣かされたと言っているように得意げでいるだけさ。 — ライアン・ゴズリング ゴズリングの次の出演作は2006年の映画『ハーフネルソン』で、若い学生と絆を作る、薬物中毒の中学教師を演じた。役作りのため、ゴズリングは撮影の1ヶ月前にニューヨークへ転居した。彼はブルックリンの小さなアパートに住み、8年生(日本の中学2年生)の教師をシャドウイングする生活を行った。『ロサンゼルス・タイムズ』のケネス・テュランは、「催眠術のような演技で、[中略]人物に関する深い理解のようなものを見せており、物に出来る役者はほとんどいない」と評した。『サンフランシスコ・クロニクル』のルース・ステインはマーロン・ブランドとゴズリングを比較し、更に「偉大な演技に関心がある人で、彼の演技を見落とそうとする人などいない」と述べた。ロジャー・イーバートは、「(ゴズリングの演技は)現代映画で働く最も素晴らしい俳優のひとりだと証明した」と評した。この映画により、ゴズリングは史上7番目の若さ(当時)でアカデミー主演男優賞にノミネートされた。2007年には映画芸術科学アカデミーの会員に招待された。 2007年の映画『ラースと、その彼女』では、ラブドールと恋に落ちる内向的な人物を演じた。彼は『ハーヴェイ』でのジェームズ・ステュアートの演技に刺激を受けた。ロジャー・イーバートは、「言葉に出来ないことを語るライアン・ゴズリングの演技」で、「等身大のラブドールに関する映画」が「生きる勇気を与える希望の言葉」に変わったと述べた。『ワシントン・ポスト』紙のアン・ホーナデイは、「(彼の演技は)小さな奇跡だ—(中略)—彼は私たちの目の前で、いつの間にか変わっていて成長しているのだから」と述べた。一方で、『ニューヨーク・タイムズ』紙のマノーラ・ダージスは、「ほとんど素晴らしいキャリアの中で、この演技は珍しい計算違いだ」と述べた。この映画で、ゴズリングはゴールデングローブ賞 映画部門 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされた。 同じ年、ゴズリングはアンソニー・ホプキンスの相手役として、法廷スリラー映画『フラクチャー(英語版)』に出演した。当初ゴズリングは役を断ったが、ホプキンスの出演決定を聞いて出演することにした。自身の演じたウィリーについて、欠点をいくつも持つなど実在の人物のように思え、自分に引きつけて考えていたと語っている。役作りのため、ゴズリングは実際の審理を見学したり、弁護士たちに会ってインタビューしたりした。『USAトゥデイ』のクローディア・プイグは、「ホプキンスのようなベテランが、ハリウッドいちの若手俳優としのぎを削る姿は、それだけで映画代の価値がある」と述べた。『ニューヨーク・タイムズ』紙のマノーラ・ダージスは、「巧みな場面泥棒のアンソニー・ホプキンスと、同じくらい狡猾で場面を食い物にしてしまうライアン・ゴズリングとの共演という見物」と評価し、「どちらの俳優も、完全に役作りされた個人というより流動的な性格を演じているが、専門家的・個人的なカリスマ性が錬金術のように混ざり合って、互いに穴を埋めている」と述べた。 2007年、ゴズリングは『ラブリーボーン』(2009年)の撮影に参加する予定だったが、「創作上の不一致」(英: "creative differences")から撮影開始の2日前に降板し、役はマーク・ウォールバーグに引き継がれた。ウォールバーグが引き継いだ役はティーンエイジャーの娘が殺害された父親役で、ゴズリングは役には若すぎると考えられたのである。監督のピーター・ジャクソンとプロデューサーのフラン・ウォルシュは、髪や化粧次第で見かけを老けさせられると説得した。撮影が始まる前、ゴズリングは体重を60ポンド(27kg)増やし、老けて見えるよう髭を蓄えたが、この外見はジャクソンの求めるものではなかった。ゴズリングは後に、「撮影前の段階でよく話し合わなかったのが大きな問題だった。(中略)僕はセットに行ったけれど、間違った方法だったんだ。それで僕は太って、解雇されたというわけ」と述べている。この時の経験については、「うぬぼれを外に出すべきじゃないという、自分にとって重要な悟りだった。役より若過ぎたって構わないんだよ」と述べている。
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