高市大臣の電波停止発言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 09:08 UTC 版)
「放送法遵守を求める視聴者の会」の記事における「高市大臣の電波停止発言」の解説
2016年2月8日に衆議院の予算委員会で、民主党の奥野総一郎が視聴者の会が総務省に送付した公開質問状の内容を取り上げて、放送局における放送法の解釈について国会質問を行った。委員会では、放送法第4条に対する従来の総務省の見解である「1つの番組ではなく事業者の番組全体を見て判断すること」という解釈を「個々の番組内で放送法第4条を十分尊重すること」に改めるべきであるという視聴者の会からの提言に関して議論が行われた。放送局の政治的公平性についてNHKの籾井勝人会長は 「私が着任する前の国会において、前会長の松本会長が、『これはそれぞれの番組の中でバランスを取っていく。これが実際の具体的な方法だ』と答えてるんです。もとより、年間を通じて、全体の中でバランスを取るということは、理屈としては正しいんですが、やはり我々が実態としてバランスを取るためには、一つひとつの番組の中で極力バランスを取りながら放送をしていく必要があると、我々は認識いたしております。」 と答弁した。また、誰が放送局による政治的公平性を判断するのかという質問に対して籾井は 「明らかに会長が判断するわけではございません。これについては放送法というものがきちんとございますので、その放送法に則って判断をする。この判断する人が誰かと言えば、放送法に基づいて判断するので最終的には視聴者になるんだろうと私は考えております。」 と答弁した。総務大臣の高市早苗は、政党の党首を順繰りに日を変えてインタビューしていくような場合など、1つの番組のみで政治的公平性を確保することが物理的に困難な場合があることは認めながらも、視聴者の会の公開質問状への返答と同じく、選挙前に特定の政党や支持者のみを取り上げたり、国論を二分するような政治問題を一方の主張ばかり繰り返して放送した場合は政治的な公平を確保しているとは認められないとした。その上で、 「放送法上、放送事業者は放送番組の編集の基準を定めて、これに従って放送番組の編集をすることになっております。そして、放送事業者は放送番組審議機関を設置して、放送番組の適正を図るために必要な審議を実行することが規定されていて、放送事業者の自主自律によって放送番組の適正を図るということになっております。しかし、このような取り組みにもかかわらず、放送事業者が放送法の規定を遵守しないという場合には、放送事業者からの事実関係をふくめた報告をふまえて、昨年私が行ったような行政指導を、放送法を所管する総務大臣が行うという場合もございます。」 と答弁した。また、偏向的な放送が続いた場合に電波法に基づいた電波停止という措置は行うのかという質問に対しては 「私のときにするとは思いませんけれども、将来にわたってよっぽど極端な例、放送法の、それも法規範性があるものについて、何度も行政のほうから要請をしても、まったく遵守しないという場合には、その可能性がまったくないとは言えません。やはり放送法というものをしっかりと機能させるために、電波法においてそのようなことも担保されているということでございます。実際にそれが使われるか、使われないかは、その事実に照らしてその時の大臣が判断することになるかと思います。」 と答弁した。 2016年2月15日に視聴者の会は記者会見を開き、高市大臣の発言をめぐる放送局の報道に関する検証結果を報告した。報道ステーションは2月9日、高市大臣が政治的公平性を欠いた放送を繰り返した放送局に対し、電波法に基づき電波停止を命じる可能性について国会答弁したことを報じた。これに対し、視聴者の会の調査によると高市発言に対する賛成的内容の放送時間が106秒、反対的内容が299秒、中立的内容が192秒であったと発表した。その上で、番組で「政権批判で“電波停止”も? 高市大臣 再び発言に波紋」というテロップが表示され続けたと主張し、視聴者の会は 「高市氏は『政権批判によって』とは言っておらず、法律の規定を答弁した。それを『政権批判によって』とすり替えている」 と述べた。また、会見では2月13日付読売新聞朝刊に、会の目的などを記した意見広告を出稿したことを報告。小川は朝日新聞にも意見広告の出稿を申し入れたことを明かし 「3週間近く検討してもらったが、現状、掲載も拒否も『いずれの結論も出ない』という結論になったとの回答をいただいた」「長期にわたってまじめに考えていただいたと思う。ただ、広告というものは、社論と関係なくとも社会的公平性に則り、必要な場合には出すものではないか。社説で(視聴者の会を)批判するのは結構だが、正規のルートで申し入れた広告を出すか出さないか決められないのは、言論機関としていかがなものか」 と述べた。
※この「高市大臣の電波停止発言」の解説は、「放送法遵守を求める視聴者の会」の解説の一部です。
「高市大臣の電波停止発言」を含む「放送法遵守を求める視聴者の会」の記事については、「放送法遵守を求める視聴者の会」の概要を参照ください。
- 高市大臣の電波停止発言のページへのリンク