音無響子の縁者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 17:34 UTC 版)
音無 惣一郎(おとなし そういちろう) 声 - 田中秀幸 響子の亡夫。響子より10歳ほど年上(「配達された一枚の葉書」より)。下戸である。響子の通っていた女子高の地学の非常勤講師(響子とこずえの会話で「講師のバイトしてたんです」とある)をしていた。響子が高校を卒業した後に結婚。しかし結婚して半年も経たない桜の季節に突然亡くなってしまった(死因は明らかにされていない)。 ストーリー開始時点ですでに故人であり、その姿は常にシルエットの描写でなされ、人格の表象である顔を意図的に隠すことで物語に強い輪郭を与えている。これは、音無家を訪問した五代が仏前の遺影をのぞき見ようとしたら額が壊れていて表情が分からない、高校の卒業アルバムの写真で確認しようとしたらインクで汚れていて判明できず、などといったコメディにまで昇華されるほど徹底しており、結局、結婚直前に響子の惣一郎との結婚写真を見るまで五代は一度も顔を見る機会がなかった(その際も読者には見えないように描かれていており、彼の本当の顔は最後まで読者に紹介されることはなかった)。最終回前のエピソードで彼の遺品が登場するが、懐中時計や丸縁のメガネを使っていた(常時着用していたかは不明)ことが分かる。一般的にはうだつの上がらない良く食べる人物と述懐されるが、彼の存在は物語において大きな意味を持ち、五代の最大かつ最強の恋敵である。妙法寺にある音無家累代之墓に眠っており、墓前が物語にたびたび登場する。響子が墓前で思っていたのは当初は惣一郎への想いだったが、次第に自分の思いを話すようになり、五代と結婚が決まってからは「五代と会えて良かった」とまで話すようになった。「会えて良かった」は、本作品が人情ドラマからラブストーリーに転進した時点で最終話として構想していたと後日談として作者は述べている。 名前の由来は連載誌スピリッツの担当編集者だった鈴木総一郎からと言われているが、鈴木本人は「これは全くの偶然です(笑)」と話している。 音無惣一郎の父 声 - 槐柳二 名は不明。アニメでは音無老人と呼ばれている。響子の義父で、惣一郎亡き今でも響子は「お義父さん(おとうさん)」と呼んでいる。穏やかな老人で、響子が未亡人となってしまったことを気にかけており、はやく惣一郎を忘れ再婚するように勧めている。一刻館の大家で、入居契約や契約更新もその役目であるようだ。響子の母校である女子高の理事でもあり、それゆえ惣一郎が講師として教鞭をとることにもなり、五代の教育実習先にもなった。腰を痛めているために、出歩くときに孫の郁子を伴うことがある。 郁子(いくこ) 声 - 荘真由美 惣一郎の姪。明るく元気な性格で、響子を「おばさま」と慕い、五代を「おにいちゃん」と慕っている。響子の情報を聞き出すために五代が郁子に強くアプローチをしたことをきっかけとして、郁子の強い要望で中学の3年間五代が家庭教師をした。賢太郎の初恋の相手だが、郁子本人はその好意に気づいていない(原作最終話で賢太郎の背の低さを郁子がからかうシーンがある)。五代が響子を好きなことは察しており、五代との勉強中にちょくちょく響子の話をしては五代の注意をそらしてからかっていた。原作では姓が「音無」かどうか確定できないが、テレビアニメ版ではテキストに「音無郁子」の記名が確認できるシーンがある。連載開始時は12歳という設定で、1984年度に高校に入学している。五代の貧窮を救うために再び家庭教師をと考えたが、五代の学力では高校生の家庭教師は無理だと断念した。五代と響子の結婚披露宴では、賢太郎とともに受付係をした。 郁子の母 声 - 峰あつ子 惣一郎の実姉あるいは義姉。音無老人や響子への言葉遣いや、惣一郎を呼び捨てにしていることから音無老人の実子、惣一郎の実姉と考えられるが確定していない。 千草 律子(ちぐさ りつこ) 声 - 松島みのり 響子の実母で、夫ともに都内のマンションに在住。家の中では夫より発言力があり、主導権を握っている。なかなかの策略家で、響子の音無家からの離籍や再婚に執念を燃やしていた。度を超したその行動から、物語当初は惣一郎への想いを忘れないでいる響子から絶縁された状態にあった。しかし、響子の幸せを思えばこそであることがその後の展開で分かる。当初は三鷹と(結婚相手として好条件のため)早く再婚させようと画策していたが、後に響子の気持ちが五代にあることを知ると、温かく見守るようになった。五代とは彼の学生時代から面識があったが、興味がないため名前を覚えようとせず、五代がたびたび名前をアピールする描写が繰り返されていた。これも響子の気持ちに気づいて以降は解消されている。 響子の父 声 - 富田耕生 響子の実父で名は不明。一人娘の響子を溺愛しており、サングラスにマスク姿で一刻館前に張り込んだり尾行したりして、変質者と間違われることが何度かあった。響子と音無家との縁を切らせて新たな人生を歩ませたい、という点では妻の律子と同意見だが、再婚には反対。できれば響子をずっと手元に置いておきたいと思っている。年の差があった惣一郎との結婚にも大反対し、駆け落ち同然での結婚となる原因となった。響子の子供時代を思い出しては泣く。響子の再婚に反対するのも、惣一郎を亡くしたことで響子が味わった悲しみや涙をもう経験させたくないという一心からである。五代の響子へのプロポーズは父の前で行われ(酔いつぶれた父を五代が背負っていたが、プロポーズの時には寝たふりをしてしっかり聞いており、プロポーズの言葉が本当かどうか五代に念押ししている)、二度と愛する者を失いたくないとして、五代に自分より長生きすることを約束させて響子はプロポーズを受け入れた。この時の二人のやりとりから父も五代の誠実さを知り、結婚を認める気になった。なお、父は子供の頃の響子を背負いながら「将来は響子のお婿さんにおんぶしてもらおうかな」と発言しており、このプロポーズの場面でそれが実現していた。転勤で引越しすることが多く、響子も度々転校していたと話している。 上荻先生(かみおぎ せんせい) 声 - 沢田敏子 八神の担任で響子の恩師。原作では姓名不詳。五代が教育実習をしたときの指導教官も務めたが、五代が授業中に八神に質問されてペースを乱されたり、八神と腕を組んで登校したりしたため五代には説教ばかりしていた。響子のことを「五代を好きなくせにそれを必死に隠して往生際が悪い」と言う八神に対し、「亡き夫を本当に愛していて『本当のこと』が世の中に一つしかないと思い込むタイプの響子にとっては、新たな恋愛は亡夫への思いが嘘だったのかと苦しめることとなってしまうのでは」と、響子の性格を知る恩師ならではの洞察をみせる。アニメではかなり訛った口調で話す。
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