鐵とは? わかりやすく解説

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【鉄】(てつ)

元素記号Fe原子番号26番、比重7.9の金属元素

鉄器時代から現代に至るまでの長い間工業製品材料してあらゆる分野広く普及してきた。
最も一般的に利用されているため加工技術幅広く存在し飲料の缶から生活用具家具鉄道自動車産業機械建材装甲に至るまであらゆる分野活用される
しかも強磁性を持つため回収・リサイクルが容易である。

純粋な鉄は柔らかく脆いため、強度求められる場合炭素などを添加して合金として利用する事が多い。
それらの鉄合金総称して「鋼(Steel)」と呼ばれる
また、酸化しやすく重量大きいという欠点もあるが、この性質もクロム・ニッケルとの合金にする事で克服できるステンレス鋼)。

その歴史的側面

鉄が人類にとって重要な資産として利用され始めたのは、旧石器時代だと推定されている。
製鉄技術のなかった当時にも、鉄には人類黎明期決定的な変革もたらす2つ特性があった。

一つには、「酸化鉄は赤い」という事である。
それもただ赤いのではない。鮮やかに鮮血のように赤いのである
酸化鉄やそれを含む赤土は「大地血液」とみなされ葬送狩猟儀礼広く用いられた。
古く40万年前から酸化鉄クレヨン使われており、鉄は人類最初塗料最初化粧品であった

第二重要な特性は、「結晶化した鉄鉱石美しく、しかも希少である」という事である。
旧石器時代から人々はすでに宝石魅せられていたらしく、15万年前にはすでに採鉱さえ始まっていた。
当時まだ炉は発明されておらず、鉄鉱石は単に宝飾品として飾り立てられに過ぎない
しかし、「宝物」を追い求めて旅をし、知恵振り絞っていたという事実には実用性上の味がある

とはいえ、鉄が道具として生産されるうになるまでには長い間隙がある。
最初に工業用途利用された鉄は「天の神々からの贈り物」、つまり隕石であったといわれる
これは当時技術では他の追随を許さない耐久性と、最高峰煌びやかな美術性を兼ね備えていた。
隕鉄の剣は手にした男を無類戦士変え、天に掲げられたそれは光を反射して眩く輝く。
それが神々恩寵権力の証明みなされたのは自然な事だろう。
実際現代でもほとんどの文化金属の刀剣類には宗教的文化的価値認められる

時代大きく飛んで紀元前2000年頃、炉が発明され、それによって鉄や銅の精錬始まった
しかし、「大地血液」を炎に放り込んで溶かす、という発想はどうしても涜神的なものを伴う。
採鉱地母神への陵辱であり、炉は人工の子宮であり、赤熱した鉄はまるで太陽の化身であった
未発達技術ゆえの事故失敗も「神の怒り」と解釈されその事はこの信仰をさらに強く補強した

必然鍛冶(blacksmith)は黒魔術(blackart)であった
古代鍛冶師厳格な戒律守り礼拝を欠かさなかった。
錬金術」という言葉通り古代鍛冶師金属錬成する魔術師自負し社会そのように扱った
採鉱必要な地質学駆使し助言者・シャーマンとして権威得た鍛冶師歴史上少なくない

ところで、一般に母権社会鍛冶悪鬼の類とされ、父権社会鍛冶芸術的創造として敬意を受ける傾向にあった
この事と現代文明の基盤として存続し文化大半父権特性を持つ事を関連付け考え向き一部ではある。

産業の発達伴って迷信無力化していったが、現代でもなお、鉄は権力色彩呪術的意味を持つ。
共産主義首魁でさえ、自ら「レーニン(鉄の人)」だの「スターリン(鋼鉄の人)」だのと名乗る次第である。



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