軍用機の増槽とは? わかりやすく解説

軍用機の増槽

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 08:58 UTC 版)

増槽」の記事における「軍用機の増槽」の解説

軍用機用いられる増槽には、ドロップタンクdrop tank, 落下増槽)とコンフォーマル・フューエル・タンクconformal fuel tank, CFT, 密着増槽)があり、初期ジェット戦闘機ジェット練習機などには、翼端増槽tip tank)が用いられことがあるこの他では、主フロート内部増槽設けた二式水上戦闘機や、主翼下に固定式増槽備えたC-130などの例もある。 現代外部搭載品を前提設計され軍用機大部分はあらかじめ基本装備増槽含んでいる。加えて増槽大きな容積持っていることから、機体改修風洞試験を要さず手っ取り早く大型装備品追加する手段として、増槽模したあるいはそのもの筐体流用することがある代表的なものがドローグホース、ポンプ巻取機を追加しタンク内の燃料を他機体供給する空中給油ポッド。他にも各種カメラセンサー等を内蔵する偵察ポッド大気中の核爆発証跡を探るための集塵ポッド変わったところでは主に搭乗者のための貨物用トラベルポッド等がある。 ドロップタンク ハードポイント取り付けられ飛行中切り離し可能になっている増槽のこと。普通は両端尖った円柱形状あるいは紡錘形をしており、一見したところ爆弾ミサイルのようにも見える。それ自体飛翔目的としないので、ほとんどの物は安定板持たないが、投下時に機体ぶつからないように安定させるために付いているものもある。堀越二郎考案により日本九六式艦上戦闘機採用されたものを皮切りに第二次世界大戦ごろから各国使用される様になった。この時期機関銃機関砲によるドッグファイト機会多かったため、空気抵抗重量低減弾着による引火爆発防止のため、残量かかわらず会敵時に投棄されることが多かった。そのため、飛行時には先にドロップタンク燃料から消費し機内タンク燃料温存した。 ドロップタンク海上投棄した場合回収容易ではないが、イギリスドイツフィンランドなどは、主に戦略物資であるアルミニウム合金節約目的として、陸上投棄され増槽回収していたという事例もある(ドイツ場合発見した民間人対し礼金を出すので届けよ」と、回収促す注意書き増槽貼ってあったほどである)。反対にイギリス駐留アメリカ第8航空軍では、敵に資源として回収されないように紙で作られ燃料注入一定時間経過すると使用不能になるタンク使用された。第二次大戦時日本軍でも竹製枠組みに紙を貼ったり、ベニヤ板曲げ加工し、防水処理したドロップタンク使われたが、これは回収されないようにと言うより自国資源不足が原因であった大戦後戦闘機大型化ともなって増槽大容量化しており、自衛隊運用するF-15やF-2(F-16と同等品)で容量2000リットル超にもなり、空のタンクであっても高高度から落着すれば相応被害もたらしうるため、緊急時除き空中投棄しないのが一般的になっている。 また、スペースシャトル巨大な外部燃料タンクも、一種ドロップタンクであると言えるコンフォーマル・フューエル・タンク 機体側面上部密着するように装備される増槽のこと。飛行中切り離しできないが、ドロップタンク比べ空気抵抗小さいため燃費優れハードポイント要しないのでより多く兵装搭載できるという有利な面があるF-15Eでは標準装備されている。F-16 ブロック60と(ポーランド空軍採用している)ブロック52+も採用している。ほかには、サーブ 39 グリペン・ラファール・タイフーンでも利用検討されている。 翼端増槽(チップタンク) 左右翼端取り付けられ増槽取り外し不可能な固定式と、駐機中に限り取り外し可能(飛行中切り離し不可能)な半固定式がある。主に、初期ジェット戦闘機用いられたが、戦闘任務考慮しない練習機およびCOIN機では現在でも用いられている。採用した機種P-80T-33F9FF-5A/BF-104L-39A-37、SF-260など。 後方乱気流視界の関係で密集編隊組みにくくなるため曲技飛行の際は取り外す場合がある(例:フレッチェ・トリコローリMB-339PAN)。 ヘリコプター用 一部機種は、パイロン増槽取り付けることができる。従来機内燃料タンク増設する方式比べて機内スペース犠牲にすることなく航続距離飛行時間伸ばせるというメリットがある。UH-60CH-53AH-64OH-1などで採用されている。一般に中身が空になって平時切り離さず帰投する。 なお、固定翼機主翼内部空間無く速度的に空気抵抗もあまり大きな問題とならないヘリコプター場合は主燃料タンクMi-8のように外装型ないしCH-47のようにコンフォーマルタンクである場合がある。

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