聖霊院の仏像とは? わかりやすく解説

聖霊院の仏像

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 23:24 UTC 版)

法隆寺の仏像」の記事における「聖霊院の仏像」の解説

聖霊院(しょうりょういん)は、西院伽藍回廊東方に建つ、南北棟の建物。もとは僧房である東室(ひがしむろ)の一部であったが、鎌倉時代聖徳太子祀る仏堂改築された。内陣には三間大型厨子があり、聖徳太子及び眷属像(5躯)、如意輪観音像地蔵菩薩立像安置する。これらの諸仏秘仏で、毎年3月21日から24日お逮夜法要お会式法要のときのみ開扉される。ただし、一般拝観者が内陣入って拝観できるのは3月21日お逮夜法要終了後のみ。 木造聖徳太子及び眷属像 国宝平安時代像高聖徳太子84.2センチ山背王64.0センチ殖栗王(えぐりおう)53.9センチ、卒末呂王(そまろおう)52.4センチ恵慈法師63.9センチ国宝指定名称は以下のとおり木造聖徳太子 山背大兄王 殖栗王 卒末呂王 恵慈法師坐像 5躯 附 銅造観音菩薩立像 木造蓬莱山及亀座付紙本墨書妙法蓮華経維摩経勝鬘経3巻木製経筒入) 奥に筆師法隆寺僧隆暹敬白とある 聖霊院内陣には間口三間厨子があり、中央間に聖徳太子像を、左右の間には3躯ずつ計6躯の像を安置する。すなわち、厨子の西の間は、奥に如意輪観音像手前向かって左山背王像、右に殖栗王像を安置、東の間は、奥に地蔵菩薩像手前向かって左に卒末呂王像、右に恵慈法師像を安置する。『法隆寺別当次第』という記録に、保安2年1121年)、東室南端改造して聖霊院を設けたことが記され聖徳太子眷属像もこの時に造られたものとみられる礼拝対象としての聖徳太子像には二歳像(南無仏太子像)、七歳像、十六歳像(孝養像)、勝鬘経講讃像などがあり、鎌倉時代の顕信著『聖徳太子伝私記』は本像を34歳勝鬘経講讃像としている。しかし、絵画作品表され聖徳太子勝鬘経講讃像との比較から、聖霊院像は勝鬘経講讃像ではなく摂政像であるとする説もある。像は冕冠べんかん)を被り朱色の袍(ほう)を着し両手に笏(しゃく)を持って坐す。冠の正面には毘沙門天像を表す。この毘沙門天像は後補で、他に冠上の冕板、持物の笏、左袖口の一部、裳先の一部を後補とする。4躯の眷属像のうち、山背王山背大兄王)は聖徳太子厩戸王の子殖栗王と卒末呂王異母兄弟恵慈法師法の師にあたる高句麗僧である。山背王殖栗王、卒末呂王恵慈法師それぞれ如意、筥(はこ)、大刀柄香炉を持つ。これらのうち恵慈法師の持つ柄香炉以外は当初のものである如意、筥、大刀勝鬘経講讃聴聞者の持物としては不審で、この点も本像を勝鬘経講讃像ではないとする説の根拠になっている太子像の謹厳な面持ち対し眷属4躯の面相対照的に親しみやすくユーモラスな表現になっており、そのことによって太子像の聖性をより強調する効果上げている。太子像の像内には法華経維摩経勝鬘経の三経と造の観音菩薩像とが納入されている。これらの納入品は1905年明治38年)に一度確認され1985年昭和60年)の調査でもあらため確認撮影が行われているが、その概要以下のとおりである。一番下には巻物3巻並べた形を模した木製容器がある。この容器と身に分かれ中に3巻経巻法華経2巻維摩経勝鬘経合わせて1巻)を納めるその上に木彫りの亀が乗り、その背には自然木組み合わせて制作した蓬莱山乗せその上に観音菩薩像が立つ。観音菩薩像については聖徳太子像の像内にあるものなので詳細不明だが、像高は約24センチ胸前両手宝珠捧持する形の像で、奈良時代作品とみられる木造如意輪観音半跏像 重要文化財平安時代像高126.3センチ聖霊院の厨子の西の間に安置される如意輪観音は六臂の坐像に表すものが多いが、本像は二臂の半跏像で、左脚を踏み下げ右手を頬に近付けて思惟ポーズを示す。通常の菩薩像異なり、衣は胸の部分覆っている。図像集『別尊雑記』に四天王寺救世観音像として収録される像と図像的に近い。穏やかな像容から平安後期11・12世紀の作とみられる木造地蔵菩薩立像 重要文化財平安時代像高76.7センチ聖霊院の厨子の東の間、前出如意輪観音像対になる位置安置されるが、制作年代異なる。カヤ材の一木から本体及び蓮肉までを彫出する一木造である。両手先は別材を矧ぐが、後補のものに替わっている。作風から平安時代初期9世紀の作とみられる。もと金堂安置(現・大宝蔵院)の地蔵菩薩立像服制印相共通し制作年代も同じ頃であるが、本像の方がなで肩である点が異なる。

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