神話期ギリシア氏族私有財産制と家族とは? わかりやすく解説

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神話期ギリシア氏族・私有財産制と家族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 15:22 UTC 版)

家族・私有財産・国家の起源」の記事における「神話期ギリシア氏族・私有財産制と家族」の解説

私有財産制家族制度新しい段階へと発展させる集団婚単婚へと移行させ、やがて、単婚制を一夫多妻家父長制から一夫一婦制へと移行させた。それとともに一夫一婦そのもの内部第二対立発展してくる。第二章一節には「(単婚家族という)この新しい家族形態がまったくの過酷さをもって現れるのは、ギリシア場合である」と語り単婚家族における夫婦次のように描写している。 「英雄時代ギリシアの妻は、なるほど文明期の妻よりも尊敬されているが、しかし結局のところ、彼女は夫にとって、彼の相続者である嫡出子の母であり、彼の家政婦長であり、また彼が意のままに妾にすることができるし実際にそうする女奴隷たちの監督官であるに過ぎない単婚に並ぶ奴隷制存在、その身にそなえたすべてをあげて男のものになる若い美しい女奴隷存在、これこそが、単婚はじめから特殊な性格を、すなわち、妻にとってだけの単婚であって、夫にとっての単婚ではないという性格を、押印するのである。そしてこの性格単婚今日でもなお帯びている。」 エンゲルスは、単婚制は財産所有権掌握した男性による支配原則で、女性に対して不平等な支配システム考え、この不平等な婚姻姦通娼婦制度によって補完されるとした。古代文明発展過程と共に女性支配対象となって家財として扱われるようになり、公的社会への参加はく奪されていったエンゲルス史的唯物論の公式に基づき文明社会家族女性あり方を以下のごとく端的に言及した。 「アテナイ代表されるイオニア族では……、娘たちは糸紡ぎ機織り縫い物、それにせいぜいわずかの読み書きならったに過ぎない彼女たち監禁されているも同然であって、ほかの女たちとだけ交際した女部屋家の中隔離され部分であり……、そこには、男、とくに外来者は容易に入れなかった……。そして、子供を産む仕事別にすれば、妻はアテナイ人にとって女中以外の何物でもなかった。男には体操公的な討議があったが、女はそれから排除されていた。そのうえ男は、……国家による大規模な売春制度をもっていた。スパルタ女性市民気品の点でそうであったように、才気芸術的嗜好の点で古代女性一般的水準を抜く、無比ギリシア人婦人気質発達したのは、まさにこの奴隷制度基礎としてのことであった。……単婚決し個人的性愛果実はなった。というのは婚姻依然として便宜婚だったからである。それは、自然的条件ではなく経済的条件に、つまり本源的自然発生的な共同所有対す私的所有勝利にもとづく、最初形態であった家族内での夫の支配と、彼の子であることに疑いがなくて、彼の富の相続者定められている子を産ませること―これだけギリシア人あからさまに宣言した一夫一婦制唯一の目的であった。……アテナイでは、結婚だけでなく、夫の側での最小限いわゆる婚姻上の義務遂行また、法律によって強制されていた。 このように一夫一婦制歴史登場するのは、決し男女和合としてではなくいわんやその和合の最高形態でもない。その反対である。それが登場するのは、一方の性に対す他方の性の圧制としてであり、それまで先史全期つうじて知られることのなかった両性抗争宣言としてである。……。歴史あらわれ最初階級闘争男性による女性抑圧合致する。しかしそれ(男女不平等)は同時に奴隷制および私的な富と並んで、かの今日にまでも続く、すなわち、そこではあらゆる進歩同時に相対的な退歩であり、一方の幸福と発展他方苦痛排撃によって達成される時期を、開くのである。(家族制度)それは文明社会細胞形態であって、われわれはすでにここに、文明社会十全展開する対立矛盾本性研究することができるのである()筆者加筆。」 不貞厳禁され厳罰処されはするが、姦通婚姻制度不可避な社会制度になった。本来平等であるべき両性原理私有財産制によって捻じ曲げられ男性による女性対す支配という不自然な婚姻制度解きえない矛盾を解くために、婚姻制度邪悪な内面性を制度的に反響させる、対象物として娼婦制度発明された。 「財産の差が生じにつれて、したがって未開の上段階で、賃労働奴隷労働並んで散発的に現われ、そして同時に、その必然的な相関物として自由人女子職業的な売春が、奴隷強制され肉体提供ととならんで現れるうになるこのように集団婚残した遺産二面的であるが、それは文明うみだしたものがすべて二面的であり、二枚舌的であり、自己分裂的であり、対立的であるのと同様である。すなわち、一方には単婚があり、他方には売春という極端な形態を含む娼婦制がある。娼婦性もまた、他のすべてのものと同様に一つ社会的制度であり、それは、昔の性的自由を相続する男性有利なように。……。しかし、これとともに単婚そのもの内部第二対立発展する自分存在娼婦制によって飾る夫のかたわらには放置された妻がいる。……。一夫一婦制ともに、以前には道の二人登場人物現れる。妻のおきまりの情夫と、妻に姦通された夫とが。……。一夫一婦制および娼婦制とならんで姦通一つ不可避的な社会的制度となった厳禁され厳罰処されるが、しかし抑制することはできない。この不正の確実さ依然としてせいぜい道徳的信念に基づくだけである。そして、この解決できない矛盾解決するために、ナポレオン法典312条は布告した。「仏: L'enfant conçu pendant le mariage a pourre le mari. 婚姻中に受胎された子の父は ── 夫である」。これが、三千年にわたる一夫一婦制最後帰結である。」 一夫一婦制娼婦制は相互補完通じて強化され圧倒的に男性有利な形ではあるが、男性女性両性対す性的支配権力を強化し続けていく。私有財産制根幹にある財産継承原則支えるべく登場するのが民法である。一夫一婦婚型家族制度根本をなす民法典ナポレオン法典312条に引き続き日本国民法第772条が規定する嫡出推定」すなわち「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子推定する」へと継承されている。 法務省は、民法第772条の源流が、ナポレオン法典312条にあるとは、説明していない。 しかし、産業革命によって資本主義成熟するプロレタリアート階級における単婚家族崩壊が始まる。そして、エンゲルス社会主義革命によって資本主義崩壊すると、私有財産主要部分、すなわち、生産手段私的所有廃止されることで、財産相続目的にした一夫一婦制基礎消滅するのだと主張した

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