現代の対外関係
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国際機関 1956年に日本は国際連合に加盟し、1957年に国連女性の地位委員会に初当選した。委員を務めた谷野せつは、最初期の女性行政官であり、厚生省労働局、労働省婦人少年局などを歴任した経験があった。 国際連合に加盟した1956年に、女性団体が共同で外務省に交渉し、政府代表団に女性を1人含めることで合意した。外交史と政治学の研究者である緒方貞子は1968年に代表団メンバーに選ばれ、1976年に女性初の日本の特命全権大使となり、1991年には国連難民高等弁務官に着任した。緒方の着任は、初の女性であるとともに初の日本人、初の学者出身者でもあった。緒方の任期だった1991年から2000年は冷戦終了後の激動の10年間とも呼ばれ、緒方は問題解決のためにそれまでの枠組みを越えて活動し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の組織改革にもつとめた。 移民・難民 日本政府は、外国人登録令(1947年)によって外国人に登録証の常時携帯と提示義務を課した。これにより、外国人を日本に暮らす住人としてよりも治安維持の対象とすることを優先した。「出入国管理令」(1951年)が制定され、のちに「出入国管理及び難民認定法」(入管法)となった。日本政府は入管法によって、日本国籍を有するものとその子孫、それぞれの配偶者に日本での就労に制限のない入国を認めた。これにより、特に日系ブラジル人や日系ペルー人の女性が増加した。日本での定住は、工場労働者が住む地域を中心に増え、ブラジルでは「Dekassegui」(デカセギ)と呼ばれた。国勢調査では、2010年時点の外国人人口の上位は27.9%が中国、25.7%が韓国・朝鮮、9.3%がブラジル、8.9%がフィリピンとなっている。このうち女性は30.8%が中国、25.8%が韓国・朝鮮、12.7%がフィリピン、7.8%がブラジルとなっている。 現行法の立法から60年以上たつが、退去強制手続と行政的身分拘束について改正がされていない。外国人であれば令状なしで身体拘束が可能な点などが問題とされている。このため国連は、日本政府に対する改善勧告を出している。出入国在留管理庁には、2020年5月時点で女性125人が収容されている。2021年3月には女性が死亡し、医師の診療記録と入管側の主張が食い違う事態も起きている。 開発援助 日本政府は、政府開発援助(ODA)で女性やジェンダーに配慮すると閣議決定や国際会議で発表した。「政府開発援助大綱」(1992年)では女性への配慮が書かれており、世界女性会議(1995年)ではODAにおいて女性の地位向上と男女格差の是正を発表した。しかしODAとジェンダー平等の関係を評価する手法が確立されておらず、効果は不明となっている。 持続可能な開発 2015年に国連では、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(2030アジェンダ)と、「持続可能な開発目標」(SDGs)が採択された。SDGsの目標5番には、ジェンダー平等と女性と女児のエンパワーメントがある。日本政府は2016年にSDGs推進本部を設立し、ジェンダー平等とジェンダー視点の主流化を原則の一つとした。しかし、推進本部の民間構成員は14名のうち女性は4名(29%)であり、推進本部の優先課題8つのうち7つではジェンダー平等に触れておらず、原則が反映されていない。 2017年、日本政府はSDGsの実施にあたって各国が出す自発的国家レビュー(VNR)を提出し、官民連携をうたっている。しかし、女性の労働問題は企業が取り組み、教育・健康・女性への暴力はNGOとNPOが取り組むとしており、政府の問題意識や取り組みには記述がない。
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