没後の再評価
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1968年に桃源社が「大ロマンの復活」シリーズの1冊として『人外魔境』を刊行したことから再評価が始まった。桃源社では1971年までに小栗虫太郎作品のほとんどを再刊、のちに再編集して『小栗虫太郎全作品』全9巻(1979年)を刊行した。 現代教養文庫版『小栗虫太郎傑作選』全5巻(1976年 - 1982年)を編纂した松山俊太郎は、桃源社版について、「はじめて網羅的な「虫太郎作品集」を形成した」ことを高く評価しながらも、その校訂に杜撰な点が多いことを批判している。なお、現代教養文庫版は、当初は種村季弘が担当するはずだったが、種村が桃源社の仕事も引き受けていたために遠慮し、その口利きで松山のもとに回ってきたものという。現代教養文庫版では厳密な校訂を行うとともに、小栗自身による語句の誤りについても修正が施されているが、これについて松山は、後に「校定というものからいえばまったく邪道」で、「本来なら注記はしてもそれを残さなければならないのを直してしまったというのは、私の犯罪になってくるわけですよ」と自己批判している。 2021年、二松學舎大学教授の山口直孝が、1941年(昭和16年)3月から11月にかけて『九州新聞』(『熊本日日新聞』の前身の一つ)などの地方紙に連載されたまま単行本化されずにいた、小栗の長編小説『亜細亜の旗』を発見した。日本と中国・上海を舞台とする家庭小説で、小栗作品の特徴である非現実的な場面設定や難解な専門用語などは見られないという。あまりに作風が異なるために代作ではないかとも疑われたが、山口は「作者の言葉が予告に載っている。また、当時の小栗の知名度から考えても、あえて代作をさせるメリットがない」として、小栗作品だと断定した。2021年3月に春陽堂書店より小栗虫太郎生誕120年・没後75年記念出版として刊行された。
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没後の再評価
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死去の直前、奄美在住だった友人の紹介で一村と会った写真家・田辺周一によると、田中は千葉にいた頃に写真を学んで造詣が深く、自ら撮影もしており、写実的な画風にも影響を与えていたとみられる。田辺は散逸しそうだった一村の遺品を預かり、現在まで保管。さらに2015年には、一村の写真集『海神の首飾り』(リーブル出版)を刊行した。 没後にNHKの『日曜美術館』「黒潮の画譜~異端の画家・田中一村」(1984年12月16日放映)や『南日本新聞』に連載された「アダンの画帖~田中一村伝」でその独特の画風が注目を集め、全国巡回展が開催され、一躍脚光を浴びる。南を目指したことから、「日本のゴーギャン」などと呼ばれることもある。評伝や画集も複数が刊行されているほか、以下のように記念美術館が開館したり、各地の美術館で展示会が開かれたりするようになっている。 2001年 - 鹿児島県は奄美大島北部・笠利町(現・奄美市)の旧空港跡地にある「奄美パーク」の一角に「田中一村記念美術館」がオープンした(館長・宮崎緑)。 2008年 - 生誕100年にあたり、奈良県高市郡明日香村の奈良県立万葉文化館(館長・中西進)で「生誕100年記念特別展 田中一村展-原初へのまなざし-」が開催された(10月18日~11月24日)。入場者は25,000人。 2010年 - 千葉市美術館で「田中一村 新たなる全貌」を開催(8月21日~9月26日)。一村ゆかりの地(栃木、千葉、石川、鹿児島)にある美術館が共同で取り組む初めての回顧展で、近年新たに発見された資料を多数含む約250点の出品作による、現時点で最大規模の展覧会となっている。入場者は61,166人。その後、鹿児島市立美術館(10月5日~11月7日)、田中一村記念美術館(11月14日~12月14日)に巡回。 2012年 - 沖縄県立博物館・美術館で、本土復帰40周年記念「田中一村展~琉球弧で開花した美の世界」を開催(3月30日~5月6日)。同年、石川県立美術館では「孤高の画家・田中一村展」を開催(7月28日~8月26日)。 一村が1955年、石川県羽咋郡宝達志水町にある「やわらぎの郷」で制作した「聖徳太子殿天井画」の修復が完了したことに伴い企画された。 2018年 - 岡田美術館が「田中一村の絵画-奄美を愛した孤高の画家」(4月6日~9月24日)、佐川美術館が「生誕110年 田中一村展」(7月14日~9月17日)を開催。 2021年 - 千葉市美術館で「田中一村展 ― 千葉市美術館収蔵全作品」(1月5日~2月28日)。 毎年9月11日の命日に「一村忌」が「一村終焉の家」で行われている。一村の絵『奄美の杜』は黒糖焼酎のラベルにもなっている。
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