構造と組成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 22:13 UTC 版)
太陽系の主成分は全質量の99.86パーセントを占める太陽で、太陽系内のすべての天体を重力的に留めている。残りの質量のうち、99パーセントは4つの巨大惑星が占めている。残りの天体(4つの岩石惑星、衛星、小惑星、彗星など)は全体の0.002パーセントにも満たない。 太陽系の惑星は、地球とほぼ同じ軌道平面上を公転しているが、彗星や太陽系外縁天体は、黄道面に対して大きく傾いた軌道を描くことが多い。太陽を公転するほぼすべての天体は、北極から見て反時計回りで公転しているが、ハレー彗星のような例外も存在する。 太陽系の全体構造は時折、小惑星帯以内の4つの岩石惑星が公転している領域と、カイパーベルト以内の4つの巨大惑星が公転している領域に区別されることがあり、岩石惑星と小惑星帯を含む領域は内太陽系(英語: The inner Solar System)、小惑星帯を超えた、4つの巨大惑星を含む領域は外太陽系(英語: The outer Solar System)と呼ばれる。カイパーベルトが発見されるようになってからは、カイパーベルトはそれらとは異なる、新たな領域として認識されるようになった。 太陽系内の多くの惑星は、周囲を公転している衛星を持ち、太陽系において二次的な構造をなす。また、4つの巨大惑星は周囲を公転する小天体からなる環を持っている。大きな衛星のほとんどは自転と公転が同期(潮汐固定)しており、片方の面を常に惑星に向けている。 太陽系の惑星はほぼ黄道面上を公転している。太陽に近いほど、公転速度は速くなる。(左は内太陽系、右は海王星を除くすべての惑星) ケプラーの法則では、太陽を公転する物体の軌道について示されている。この法則によると、太陽を公転している物体は太陽をひとつの焦点として、楕円で公転している。太陽に近い(軌道長半径が小さい)物体は、より太陽の重力の影響を受けるため、高速で公転するようになる。楕円軌道では、公転するたびに軌道が変化し、太陽にもっとも接近する位置は近日点、もっとも離れる位置は遠日点と呼ばれる。惑星の軌道はほぼ円形だが、小惑星や彗星、太陽系外縁天体は極端な楕円軌道になっていることが多い。こうした天体の軌道は数値モデルを用いて予測することができる。 太陽は太陽系全体の質量のほとんどを占めているが、角運動量については約2パーセントしか占めていない。木星をはじめとする惑星の質量、軌道、太陽からの距離の組み合わせが、太陽系全体の角運動量の大部分を占め、彗星もそれに貢献しているとされている。 太陽系のほぼ全体を構成する太陽は、約98パーセントが水素とヘリウムからできている。それ以外の構成のほとんどを占めている木星と土星も、おもに水素とヘリウムからできている。太陽系内では、太陽からの熱と光圧によって組成に差が生じており、原則、太陽に近い天体は融点の高い物質、遠い天体は融点が低い物質から構成されている。これらの物質が凝固する可能性のある境界線を雪線(フロストライン)という。たとえば、太陽系での水の雪線は、火星軌道と木星軌道の間になる。 内太陽系の天体は、先述の通りおもに岩石で構成されており、主成分はケイ素、鉄、ニッケルなどの原始惑星系円盤内でも、固体として存在していた高融点化合物である。木星型惑星の木星と土星は、原始惑星系円盤内では気体として存在していた水素、ヘリウム、ネオンなどの低融点で蒸気圧の高い物質で構成されている。よって現在では、太陽系内の位置によって、物質の形態が固体か液体か気体かは変化するが、原始惑星系円盤が存在していたころは、固体と気体の物質しか存在しなかったとされている。それに対して、多くの衛星や天王星、海王星、そして太陽系外縁天体には氷が多く含まれている。この氷と気体が混ざったものを揮発性物質(英語版)と呼ぶ。
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