構造と種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 07:30 UTC 版)
聴診器の基本的な仕組みは、皮膚に直接あてる部分(チェストピース)で音を拾い、その音を分岐したゴム管を通じて両耳に伝えるというものである。近年では、集められた音を電気的に増幅する聴診器も開発されている。以下は、聴診器を構成する各部分の名称と機能である。 チェストピース 皮膚に当てる部分。最近は2分割されたステレオ式のものがある。通常のダイヤフラムは直径45 mmないし50 mmだが、もっと小さい小児用のものがある。 ベル ラッパ状になった集音部分。聴診器の形の原点で全ての周波数の音が聞こえるので心音、過剰心音、心雑音、血管音などの低音を聴くのに適する。皮膚に接触する際に冷たくないように、ゴムのリングが金属製の円形部を囲んでいるものが多い。 ダイアフラム 集音のためにチェストピースに張られた膜。ダイヤフラムが低音域をカットするので、高音域がよく聞こえるようになっている。呼吸音、心音、心雑音、血管雑音など、高調音を聴くのに適する。チェストピースを押さえる圧を調節することで、高調音と低調音を聞き分ける機能をもたせたダイアフラムもある。 ゴム管 チェストピースと耳管をつなぐ管。チェストピースから左右の耳管に分岐するまでの間が、1本の管のもの、1本の管で内部に隔壁があるもの、2本の管のものがある。塩化ビニール製のものが多い。内ばね式では分岐部付近にばねが内蔵されている。 耳管 左右の耳に当てる屈曲した金属管。耳管、外ばね、ゴム管が一体化しているものが多く、「バイノーラル」と呼ばれる。 イヤピース 耳管の先端に付く耳に挿入する部分。取り外して洗浄が可能。各種のサイズや硬さのものがある。 以上のうち、シングルタイプはダイアフラム面のみで、ダブルタイプはダイアフラム面とベル面がリバーシブルになっている。チューブの中にばねが入っているものが「内ばね式」、スプリングが外付けのものが「外ばね式」と呼ばれており、一般には外ばね式が旧式のもの、あるいは廉価なものによく見られる。 循環器や呼吸器を専門とする医師が診断に用いる高級機種はベルの材質が硬質であり、チューブは太く肉厚で短く、よりかすかな音がより良く聞こえるように音響性能が調節されているが、普及品と比べて絶対的な性能が格段に優れているわけではなく、あくまで医師の技量が重要である。
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