花の構造と種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/13 16:16 UTC 版)
被子植物の花は、有性生殖を行う器官であると同時に、花粉の送粉者を誘引する機能を持つ器官である。最も一般的な花の構造は、外側から萼片、花弁、雄しべ、雌しべが輪生するが、それらの数や形、機能は種によって様々である。 被子植物が有性繁殖を行うために用いる繁殖器官やその生殖システムは非常に複雑であるため、植物学者と進化生物学者はその構造や生殖戦略についての膨大な用語を使用することとなった。Dellaporta and Calderon-Urrea (1993) では、被子植物の性についての多様な用語をリストアップして定義した。その中でも、植物体上に雌雄の器官がどう配置されているかによって、花のタイプを大別したものを性型(Sex type)という以下に、花の種類と主な性型を示す。ただし無性花など有性生殖を行わないものは除く。 花のタイプ 両性花(bisexual flowers, perfect flowers) - 雄性器官と雌性器官を両方もつ花。1つの花に雄しべ、雌しべ、子房をもつ。ユリ科、バラ科など多くの花がこの両性花となる。また、完全花という場合もあるが、これは雄しべ、雌しべに加え、花弁と萼をもつ両性花のことを指す。 単性花(unisexual flowers) - 雄性器官、または雌性器官のどちらかのみをもつ花のこと。 性型 雌雄両全株 (Hermaphrodite) - 両性花のみをもつ植物のこと。 雌雄異花同株 (Monoecious) - 雌雄両方の単性花をひとつの個体群にもつ植物のこと。雌雄同株ともいう。雌雄異花同株の植物の例としては、トウモロコシ、カバノキやマツ、イチジク属のほとんどの種などがあげられる。 雌雄異株 (Dioecious) - 雌雄どちらかの単性花のみをもつ植物集団のこと。植物の各個体は雄性器官、または雌性器官のみを有しており、ひとつの個体に雌雄の器官をつけていることはない。雌性型(Gynoecious) - 雌性器官を持つ個体。種子を生産できるが、花粉は生産できない。 雄性型(Androecious) - 雄性器官を持つ個体。花粉を生産できるが、種子を生産できない。 雌雄混株 (Subdioecious) - 基本的には雌雄異株植物として振舞うが、時として雌花に雄性器官が発生する(あるいは逆に、雄花に雌性器官が発生する)ことで、雌雄同株の状態となる植物。 ある調査では、調査対象とされた約12万種の被子植物のうち11%が、厳密に雌雄異花同株、または雌雄異株となることが判明した。その調査において、雌性型や雄性型を含む性的二型の中間的な構造は、被子植物のうち7%で確認された。また同じ調査において、被子植物の10%の種が単性花と両性花を同時に持っていることが明らかとなった 。
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