昭和天皇の訴追問題とは? わかりやすく解説

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昭和天皇の訴追問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 09:06 UTC 版)

極東国際軍事裁判」の記事における「昭和天皇の訴追問題」の解説

オーストラリアなど連合国中には昭和天皇訴追に対して積極的な国もあった。白豪主義国是としていたオーストラリアは、人種差別感情に基づく対日恐怖および対日嫌悪感情が強い上に、差別していた対象日本軍から繰り返し本土へ攻撃受けたこともあり、日本への懲罰に最も熱心だった。また太平洋へ覇権利権獲得のためには、日本徹底的に無力化することで自国の安全を確保しようとしていた。エヴァット外相1945年9月10日、「天皇含めて日本人戦犯全員撲滅することがオーストラリア責務」と述べている。1945年8月14日連合国戦争犯罪委員会 (UNWCC) で昭和天皇戦犯に加えかどうか協議されたが、アメリカ政府戦犯に加えるべきではないという意見伝達した1946年1月オーストラリア代表昭和天皇含めた46人の戦犯リスト提出したが、アメリカ、イギリスフランス中華民国ニュージーランドはこのリスト決定するための証拠委員会所在地ロンドンに無いとして反対し、このリスト対日理事会国際検察局参考として送られるとどまった8月17日には、イギリスから占領コスト削減観点から、天皇起訴政治的誤りとする意見オーストラリア届いていたが、オーストラリア日本旧体制を完全に破壊するためには天皇有罪にしなければならないとの立場貫き10月にはUNWCCへの採択迫ったが、米英阻止された。 アメリカ陸軍省でも天皇起訴論と不起訴論の対立があったが、マッカーサーによる昭和天皇との会見経て天皇不可欠性が重視された。さらに1946年昭和21年1月25日マッカーサーアイゼンハワー参謀総長電報において、天皇起訴場合は、占領軍大幅増強が必要と主張したこのようなアメリカの立場からするとオーストラリア積極起訴論は邪魔なものでしかなかった。 なお、オーストラリア同様イギリス連邦構成国であるニュージーランド捜査結果次第では天皇起訴すべしとしていたが、GHQによる天皇利用について冷静な対応をとるべきとカール・ベレンセン駐米大使はピーター・フレイザー首相に進言首相同意した。またソ連天皇問題提起しないことをソ連共産党中央委員会決定した同年4月3日、最高意思決定機関である極東委員会 (FEC) はFEC007/3政策決定により、「了解事項」として天皇不起訴合意され、「戦争犯罪人としての起訴から日本国天皇免除する」ことが合意された。4月8日オーストラリア代表検事マンスフィールド天皇訴追正式に提議した却下され以降天皇訴追行われなかった。 海軍から改組した第二復員省では、裁判開廷半年前から昭和天皇訴追回避量刑減刑目的旧軍令部のスタッフ中心に秘密裏裁判対策が行われ、総長だった永野修身以下の幹部たち想定問答制作している。また、BC級戦犯関係する捕虜処刑等では、軍中央への責任天皇訴追つながりかねないことを避けるという名分で、出来るだけ下の者に負わせ、最悪でも現場司令官責任とどめる弁護方針策定などが成された。このような合意容易に形成されたことには、階級社会の英海軍を範として生まれた日本海軍体質淵源求め考え方がある。さらに、陸軍戦争首謀者であることにする方針掲げられていた。 同年3月6日にはGHQとの事前折衝にあたっていた米内光政マッカーサー意向として天皇訴追回避と、東條下陸軍の責任重く問う旨が伝えられたという。また、敗戦時の首相である鈴木貫太郎弁護側証人として出廷させる動きもあったが、天皇への訴追恐れた周囲反対で、立ち消えとなっている。 なお昭和天皇は「私が退位し責任を取ることで収めてもらえないものだろうかと言ったとされる

※この「昭和天皇の訴追問題」の解説は、「極東国際軍事裁判」の解説の一部です。
「昭和天皇の訴追問題」を含む「極東国際軍事裁判」の記事については、「極東国際軍事裁判」の概要を参照ください。

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