日本国内の再処理施設に対する法規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/15 21:25 UTC 版)
「再処理工場」の記事における「日本国内の再処理施設に対する法規制」の解説
日本国内で使用済燃料の再処理を行う場合、原子炉等規制法等により様々な規制を受ける。再処理事業を行うためには国から事業者としての指定を受ける必要がある。この指定の条件は、平和の目的、原子力の開発および利用の計画的な遂行に支障を及ぼさないこと、技術的能力、経理的基礎、位置・構造及び設備が災害の防止上支障がないことについて審査される。 再処理設備の操作は、臨界防止、知識を有するものによる操作、操作に必要な人員がそろっていること、確認事項、非常時の措置、非常用設備、試験時の確認、訓練者の遵守事項が整っているときでなければ行ってはならない。 核燃料物質の貯蔵に関しては、貯蔵施設での貯蔵、注意事項の掲示、立ち入り者については貯蔵事業者の指示に従わせる、使用済燃料の冷却、臨界防止、プルトニウムの漏洩が起こらないように行うことが定められている。 また、火災防止のために、火災報知機、消火器の設置、消火器については異常時にも確実に使用できるようにしておくこと、防火措置(不燃材または難燃材を使用すること)、水の放射分解等によって水素を発生する設備については接地、水素の滞留を防止すること、TBP等の有機溶媒の爆発防止対策、熱的制限値を設けること、燃料棒の切断によって発生するジルコニウム粉の発火防止対策をすることが定められている。 再処理事業者は施設の運転を開始する前に保安規定を定める必要がある。保安規定には、再処理施設の職務組織、放射線業務従事者の保安教育、保安上特に管理を必要とする設備の操作、安全審査に関する事項、管理区域・周辺監視区域の設定および立入制限、線量、線量当量、放射性物質濃度、表面放射性物質密度の監視、汚染の除去、放射線測定器の管理、放射線の測定方法、再処理施設の巡視・点検・検査、施設定期自主検査、核燃料物質の運搬・貯蔵等の取扱い、放射性廃棄物の廃棄、海洋放出口、非常時の措置、保安(保安規定の遵守状況を含む)の記録、施設の経年劣化に対する定期評価、保安活動の品質保証、その他保安に必要な事項について規定を行い、これを遵守することが要求される。 上記の保安教育では関係法令および保安規定に関すること、再処理施設の構造・性能及び操作に関すること、放射線管理に関すること、核燃料物質および核燃料物質によって汚染された物の取扱いに関すること、非常の場合にとるべき措置に関することを教えることとされている。 気密または水密を要する材料または部品に関する事項、設備本体・貯蔵施設または廃棄施設の組み立てに関する事項、建物・放射線管理施設等の組立に関する事項、再処理施設の性能に関する事項については、施設の使用を開始する前に使用前検査を受ける必要がある。なお、性能の技術的基準とは、非常用装置・安全保護回路および連動装置(インターロック)の作動、廃棄施設の処理能力、放射線管理施設の性能、放射線管理を特に必要とする場所における線量等量率、施設内の空気中の放射性物質の濃度、臨界防止能力、核燃料物質の閉じ込め能力、製品中への放射化生成物の含有率、製品(プルトニウム、ウラン)の回収率が規定されている。 運転開始後については、設備本体、貯蔵施設、廃棄施設、放射線管理施設、附属施設(非常用設備、核燃料物質の検査設備、計量設備、主要な実験設備)について、毎年国の定期検査を受ける必要がある。 また、原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力災害の発生防止、(仮に災害が起こった場合の)拡大防止、および復旧が義務付けられている。危険時には、火災が発生した場合には消火または延焼防止、消防吏員への通報、核燃料物質を他の場所に移す余裕がある場合には必要に応じて安全な場所に移し周囲に縄張り・標識・見張り人をつけ関係者以外の者が立ち入ることを禁止する、放射線障害発生防止のために必要があるときには施設内部にいるもの及び付近にいる者に避難するように警告する、放射能汚染が生じたときにはすみやかに広がりの防止及び除去を行う、放射線障害を受けた者または受けた恐れのあるものがいる場合には速やかに救出し避難させる等緊急の措置を講じることが法で定められている。
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