擬装用生体組織
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 19:14 UTC 版)
T-800のボディを生体組織でカバーリングする工程は、専用の大型機械にかけて加工処理される。『T2』予告編では、金属骨格の両脇から、人の形を成した金型状の機械で全身を挟み込み、機械内部で生体組織でカバーされる描写がある。機械内部では、どのような手順で生体組織が形成されるのかは不明だが、劇中にてジョンが発見したT-800に関するデータには、ボディ全体を生体細胞で完全に被覆するには約数十日を要するらしいことが記されている。この事があってか、『ジェニシス』での冒頭シーンにて、生体細胞に被覆された状態のT-800が多数収容されている保管庫が登場している。なお、この生体組織は基本的な生理機能が人間とほぼ同じであり、時間の経過に伴い老化する。この生体組織の被覆は全てのT-800ではなく、あくまでも『潜入』『暗殺』という任務を与えられた特定の機体にしか施されていないため、地上戦にて実戦投入されている個体は全て金属骨格(エンドスケルトン)の状態のままである。 ただ、この生体組織はあくまでもロボットである事を秘匿するために被せられているに過ぎないため、仮に損傷しても本体の動作にはほとんど影響しない。むしろ損傷箇所が邪魔になった場合や、正体を明かすために必要と判断した場合、あるいは損傷箇所の修繕を行なう場合などには、自ら切開したり、剥がし取ることもある。ただし、この生体組織は、ボディの可動部品の動作音を(少なくとも人の耳に入らない程度に)抑える防音効果も兼ねているため、剥落して喪失した場合にはその効果が失われ、小型モーターのような機械音を漏洩させてしまう。その部分を改めて衣服や手袋、サングラスや包帯などでカモフラージュすれば、ある程度カバー出来るようにはなるが、機械部分の損傷が激しい場合はその限りではない。 また、この生体組織には非常に高度な再生能力が備わっており、適切な処置を施せば切創や銃創などのターミネーターにとっては小規模な破損個所であれば数日から数週間、広範囲に欠損した箇所でさえ数年で再生し、傷跡が残ることすらない。だがその半面、放置すれば組織が腐敗し壊疽えそを起こしてしまい、仮に応急処置を施して腐敗を防いでも、完全に再生し切るまでにはある程度の時間を要する。このため、組織を著しく損傷し、喪失した箇所によってはその間ボディを十分に隠しきれず、擬態が成り立たなくなる事もしばしばある。 なお、生物としての痛覚は備えていないため、仮に生体組織へ著しく損傷を受けても行動には全く支障をきたさない。ただし、機能としての痛覚はプログラムされているようで、「痛み」のデータとして記録蓄積されている。また、この生体組織が人間のそれと大きく異なる点は、水分や栄養分などの補給を一切必要とせず、生命活動を完全自力で行っていることである[要出典]。このため、生体組織を有するT-800であっても、人間のように食事から養分や水分などを摂取する必要はなく、食物を消化して栄養分を吸収する機能も搭載されていない。これら生体組織の新陳代謝がどのように行われているかは、詳しく説明されていないため不明であるが、寿命はあると見られ、先述の通り人間同様に年月の経過で徐々に老化が進む。上位型のT-888は食物を摂取してエネルギーに変換することが可能である。 スカイネットが潜入型ターミネーターの開発に着手し始めた2018年時点では、2029年時点で送り込まれた機種とは事情が異なる。『T4』劇中でジョンが交戦したT-800の生体組織は見た目こそ人間のそれと同一ながら、ジョンに銃撃されて損傷しても特に出血した様子が無く、血液や血管などについては人間のそれを模倣するには至っていない模様。 ゲーム『ターミネーター:レジスタンス』では、人類抵抗軍のパシフィック師団を襲撃したT-850が、抵抗軍が初めて遭遇した、生体組織で人間に擬態したターミネーターとされている。また、抵抗軍の南師団に所属する科学者のアルヴィン・スコットが撃破に成功した先述のT-850を分析して、皮膚は顕微鏡で調べても人間のそれと見た目が同じで、毛穴や汗腺も機能しており、末端神経も人間と同じ量が存在し、血液に関しては有機的な心臓が存在しないため血管自体が循環システムを構成し、血液をフィルタリングして浄化する機能も備えているという見解を示している。
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