摩利と新吾の実家での関係者
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「摩利と新吾」の記事における「摩利と新吾の実家での関係者」の解説
鷹塔 思音(たかとう もね) 摩利の父親で、世界的な貿易商人で伯爵家の当主でもある。1888年、留学時代にエリザベート・ナハチガルに想いを寄せ、「小野小町と深草少将」の如くに百夜通いの如く100夜の間通ってくれれば受け入れてくれるという彼女の許に通い続けて99夜目、ウンター・デン・リンデンの路上で急病に苦しむマレーネを介抱し、百夜を通うことに失敗して諦めてしまう。人づてにエリザベートも自身を愛してくれており、許しを乞い戻って来るのを待っていたと知った時にはマレーネを愛していたため、そのままマレーネと結婚し、摩利が産まれる。折悪く心労により危篤状態に陥り、助かるもエリザベートと娘ベルタが訪れたことを知らないままだった。活動拠点は主に欧州のため、摩利を日本のばあやや新吾の両親に面倒を見てもらってはいるが、摩利とは深い絆で結ばれており、離れていてもひたすら摩利を思っており、摩利も父親には絶大な信頼を置いている。時々摩利と妻を混同して摩利にドレスを送ったりすることもある。 容姿は日本人ばなれした長身に堂々とした風格で、性格も世界を相手にする職業のせいか器が大きく、堂々としている。 マレーネ 摩利の母親で、元はドイツのメーリンク子爵令嬢だが、摩利の父親とドイツで大恋愛の後、親の反対を押し切り、日本に嫁ぐも、元から体が丈夫でないので、気候風土の違う日本で摩利を産んでから病死する。独身のころは春風とよばれており、美しくはかなげで優しい女性。 印南 隼人(いんなみ はやと) 新吾の父親で、摩利の父親とは親友の間柄。新吾と摩利がおみきどっくりと呼ばれる親友になったのも、父親二人の影響が大きい。診療所を経営する医者で、患者から絶大な信頼を置かれている。 新吾が三年の時に、馬車で妻しずと旅行中事故に遭い死亡。その後、友人の借金の保証人になってたことが発覚して、借金のかたに家と診療所を取られ新吾を愕然とさせる(のちに新吾は家と診療所を取り返す) 容姿は新吾のようにきりっとした日本男児で、性格も新吾同様さっぱりはしており、お人よしな面もある。 印南 しず(いんなみ しず) 新吾の母親で、絵に描いたような良妻賢母で差別を受けていた摩利のことも親戚からかばったりもしていた。夫隼人とともに馬車で事故に遭い死亡。容姿は日本的な美人で、性格もしっかりしていて非の打ちどころがない女性。 ばあや 鷹塔家に仕えるばあやで、摩利の母親代わりをしている。小柄で品のある婦人で、一見おっとりはしているが、摩利や新吾に言いたいことは言う(特に同性愛のことを知ってからは苦言が多い)。 ささめ 鷹塔家の隣の富豪の家の女中で、親はいない。主にそこの意地悪な三男の文太郎に仕えているが、実は摩利のことを子供のころから好きだった。文太郎に愛を告白され、欧州に絵の留学にいった文太郎の元に嫁がされる。 結婚後、文太郎はささめが実は摩利を好きなのを知り、ささめを邪険に扱い、絵で成功するとささめを捨て大使令嬢と結婚する。その後、偶然欧州の摩利と再会し、離縁され苦労していることを知った摩利から女中に雇われる。 再会してからも摩利のことを愛しており、欧州を活動拠点にして新吾や夢殿と帰国しない摩利と一緒に欧州にとどまる。 いつもは控えめだが一度だけ摩利恋しさに、摩利に告白して、一夜だけ結ばれ子供ができるも、持ち前の謙虚さから身分が低いという理由で正夫人の座を断り、一生鷹塔家の女中として家のために尽くす。 新吾と結ばれないことを知った摩利を立ち直らせた、女性では最も摩利に影響を与えた人物である。 容姿は小柄で目のぱっちりした丸顔の童顔で、苦労をあまり感じさせない。性格は非常に控えめで謙虚で、女中としての身分をいつもわきまえている。 つむじ風の吉三(きちざ) 新吾の昔の幼馴染で、新吾より3つ年上だが、子供の頃は新吾と仲が良く新吾からは「吉ちゃん」と呼ばれており、性格も良かったが、成人すると、親を流行病で亡くして苦労したことから、スリや詐欺の常習犯に変貌していて再会した新吾を落胆させる。新吾は吉三を真人間に戻そうと努力するが、吉三はそんな新吾をうっとうしく思い、親がまだ生きていて苦労しているからと、新吾に金をせびるようになる。 後に美吉という吉三の恋人から、吉三が嘘をついていることを聞かされるが、それでもお金を工面する新吾に対して「プライドをズタズタにした」と罵倒する。しかし本心では新伍を懐かしがっており、やがて寺に修行に入る。新吾はのちにそのことを美吉から告げられ安心する。 松平 蓉姫(まつだいら ようひめ) 摩利が余興での女装姿で帰宅途中に暴漢に襲われた際、助けてくれた品の良い老婆。65歳。以後、摩利から慕われ何かと相談される。 新吾への同性愛に苦悩する摩利に「どんなことでも貫き通せば本物になる」と助言を託し、数日後に風邪を拗らせて亡くなる。新選組をモチーフとした作者の先行作品『天まであがれ!』のメインヒロインの後年の姿。彼女が息を引き取る直前に家を訪れようとしていた摩利と新吾が、新選組隊士(誰という特定はない)と思われる男性の亡霊に遭遇し、嫌な予感して駆け付けるという描写があった。 ベルタ 昔、摩利の父・思音が好きだったエリザベート・ナハチガルの娘。その敵打ちにベルタが日本に摩利を殺しにやってくるも摩利の人柄に惚れ、少女の直感で摩利が同性の親友・新吾を好きだと察して「貴方をこれ以上好きになる前に帰国する」と言って帰国。去り際、馬車から「イッヒ・リーベ・ディッヒ(愛してます!)」と叫んだ。その後、母エリザベートと共に消息不明である。 エリザベート・ナハチガル 思音の昔の恋人。ナハチガルは「夜鳴鶯」の意。伯林・オペラ劇場一の歌姫であり、社交界の女王だった。絶交状を送っても求めてくれることを期待した思音が諦めてマレーネを選んでしまい、彼を失った後は熱心なとりまきの1人であるハンスと結婚した。夫を愛していたものの思音を忘れられずにいたため、夫ハンスは完全にその心を我が物にしようと思音の会社を狙い、事業に失敗して自殺したことを自身の罪だと苦しんでいた。復讐に日本に向かった娘を迎えに鷹塔家を訪れ、思音と顔を合わせることなく去った。
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