性的暴行容疑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 10:00 UTC 版)
「ジュリアン・アサンジ」の記事における「性的暴行容疑」の解説
2010年8月20日、スウェーデンで26歳と31歳の2人の女性と彼の4件の性的関係に関連して、アサンジに対する捜査が開始され、逮捕状が発布された。女性たちのうち、一人はヨンショーピング市、もう一人はストックホルムに住んでいるという。捜査開始から間もなくして、主任検察官Eva Finnéは逮捕状を取り下げ、「彼がレイプをはたらいたと疑う理由があるとは思わない」と語った。アサンジは女性たちとの性的関係は合法であったとして、容疑を否定した。その上で彼と支援者は告発を組織的な中傷目的の攻撃だとした。8月31日、彼は約1時間の警察による取調べを受け、9月1日には、スウェーデンの幹部検察官Marianne Nyが新たな情報を引証して捜査を再開した。スウェーデンの政治家で、女性たちの弁護士を務めるClaes Borgströmは、手続き停止の決定に対し以前から異議申し立てを行っていた。アサンジは彼に対する非難を、ウィキリークスの敵対者たちによる「でっち上げ」だとしている。 10月下旬、スウェーデン当局はアサンジのスウェーデンにおける居住および労働の許可申請を斥けた。11月4日、アサンジはスイスに対して政治亡命者の保護を正式に要請することを「現実の可能性」として検討していることを明かした。11月18日、ストックホルム地方裁判所はアサンジの勾留申請を承認した。11月20日、スウェーデンの刑事警察は、国際刑事警察機構 (ICPO) を通じてアサンジを国際指名手配した。また、シェンゲン情報システムからは「ヨーロッパ逮捕手配」が発布された。 11月30日、ICPOはスウェーデンからの要請により、「セックスに関する犯罪」の容疑でアサンジを国際逮捕手配した。スウェーデンが出した要請の理由には、「寝ている相手に性行為をした」という性的虐待や「体重をかけ抑えつけて性行為を強要」という非合法な無理強いが含まれていたが、アサンジや一部の報道によると紛争の原因は合意に反してコンドームによる避妊を行わなかったことだという。アサンジの弁護士は「アサンジ氏は検察の質問に自ら応じることに合意しており、にもかかわらず国際逮捕手配を発布するのは、スウェーデンにおける判例からしても極めて異例かつ異常である」と語り、またスウェーデンが彼に対しアメリカへの身柄送還を行う可能性についても争う構えを見せている。 12月7日、アサンジはロンドン警視庁に出頭し逮捕された。同日、保釈を却下され再勾留された。12月14日、保証金24万ポンド(約3000万円)やパスポートの没収を条件に保釈が許可されたが、スウェーデン検察の要請により勾留は続けられた。12月16日、要請は退けられ、再び保釈が許可された。保釈中はノーフォークの「エリンガム・ホール」で過ごす。外出は制限され、発信器を付けられるほか、警察に対する一日の報告も義務付けられる 。 アサンジの弁護士マーク・スティーヴンスはこれらの手続きを見せしめ捜査とみている。アサンジの弁護団には人権派の英国王室顧問弁護士ジェフリー・ロバートソンや事務弁護士ジェニファー・ロビンソンらが名を連ねている。イギリスにおけるスウェーデン移送に関する審理は2011年2月から始まり、2012年6月にイギリス最高裁は移送を決定したがエクアドル大使館に逃げ込んだ。7年間大使館で暮らしたのち、2019年4月11日にエクアドル大使館がイギリス警察を招き入れて逮捕された。 2019年11月19日、スウェーデンの検察当局はアサンジの性的暴行容疑に対する捜査を打ち切ると発表した。 2021年6月26日付のアイスランドの新聞であるスタンディン(英語版)は、ジュリアン・アサンジに対するアメリカ合衆国司法長官による告発及び2019年4月の逮捕を導いた重要証人であったアイスランド国籍男性シガードル・ソーダーソン(英語版)が、自らの金融詐欺、未成年者性的虐待などの免責のために嘘の証言をしたことを認めたと報じた。
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