平安期以後とは? わかりやすく解説

平安期以後

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 08:00 UTC 版)

日本庭園」の記事における「平安期以後」の解説

8世紀になって都が平安京に遷されたが、京都三方が山に囲まれた濃い緑に囲まれる山紫水明の、清流めぐまれた景勝の地である。いたるところや池や泉があった。三方山々古生層属してゆるやかな起伏をもち、また盆地縁辺はいくつかの独立した小山点在していた。この古生層山河からは、美し庭石白砂がとれたがこうした自然環境樹木・石・・砂など良質作庭材料供給し地形からも材料からも、庭園をつくるのに好適の地であったといえる。 京には東西2町南北4町に及ぶとされる神泉苑冷泉院朱雀院淳和院などの庭園があったとされているが、わずかにその一部を残す神泉苑当時豊富な湧水貯えて巧みに利用した往時の姿をしのぶことができる。また郊外景勝地選び離宮別荘営んで庭園をつくることはこの頃から始まっているとされ、京都市右京区嵯峨にある大覚寺大沢池は、嵯峨天皇離宮苑池として作ったものの遺構とされ、平安時代初期庭園貴重な遺構である。その庭園主要部である大沢の池北岸に近い大小二つ中島池中立石、また北側の名古曽の滝跡とともに平安時代初期おおらかな面影今日しのばせている。 平安時代貴族邸宅形式寝殿造呼ばれ、その建築様式普遍化し、それに伴って庭園様式寝殿造り庭園としてその形式整えていった。寝殿正面南側)には遣水から中島のある池に流し込む庭園設けられた。また右大臣源融邸宅河原院庭園奥州塩釜海景松島浮島六条院丹後天の橋立模写などがそれであり、これらは前時代からの自然風景の縮景手法延長線上に行われたことが伺える。奈良時代から受け継がれてきた海景の縮景庭園はこの時代にも広く用いられているが、然とした海景模写から特定の海景模写へと変化していった。またこれらを主題歌合せ催しが行われていることから日本庭園文学的情緒的であることも一つ特色といえるが、このころは「古めかしきもの」から「今めかしきもの」への変換期で、生活形式変わりつつあったといわれる中国から伝来した中国絵画がようやく日本化され、いわゆる大和絵」の成立したのもこの時期であり、漢詩文対し仮名書き文学作品書かれるうになるのもこの時代である。 また平安時代中期から浄土教影響西方浄土極楽見たて浄土庭園流行した参拝者南門くぐって大池かった反り橋渡り中島経て御堂達するようになっていた。なお池庭園がやや整形になっているのが多いのは、浄土曼荼羅構図がもとになっているためと推測されている。例:旧大乗院庭園奈良市)、円成寺庭園奈良市)、平等院京都府宇治市)、浄瑠璃寺庭園京都府木津川市)、毛越寺岩手県平泉町)など。 この時代の庭がとくに詳しくわかっているのは、当時公家橘俊綱書いたといわれる作庭記』が残されいるからである。平安時代後期庭園地割石組、滝・遣水植栽等の技法について著された秘伝書作庭記』には自然の風景からモチーフを得るという主張貫かれている。また自然と作者との対応のしかたが<乞はんに従う>という言葉表現されている。これは自然の地形岩石が、人間要求してくるというもので、自然が人間要求するという感じ方に、日本人独特の自然観みられる。自然が人間対立し克服すべき対象となるのではなく、自然の中にとけこみ自然に従いながら作庭ようとする意味である。また<池なき所の遣水は、事外にひろくながして>とあるよう見せ方を種々述べているが、その見せ方の記述に、後に展開される日本作庭手法先駆的表現示されている。四季折々を歌に詠む情緒的な文学世界建物近く配される滝・遣水野筋前栽については日本人の好む作庭感が述べられている。『作庭記』が公家自身の手書かれたように当時公家一流作庭家でもあった。この著者の父は、平等院つくった藤原頼通である。藤原頼通庭園をつくろうとしたとき、気に入った専門家がなく、みずから作庭したといわれる

※この「平安期以後」の解説は、「日本庭園」の解説の一部です。
「平安期以後」を含む「日本庭園」の記事については、「日本庭園」の概要を参照ください。

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