市民社会と暴力・恐怖政治とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 市民社会と暴力・恐怖政治の意味・解説 

市民社会と暴力・恐怖政治

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 16:28 UTC 版)

マルクス主義批判」の記事における「市民社会と暴力・恐怖政治」の解説

ドイツ思想研究者神田順司は、マルクス市民社会論はヘーゲル歪曲して既存制度の歴史文脈否定したのであるが、これがレーニンらによる暴力行使理論的素地となった指摘するソ連崩壊後公開されマルクス・レーニン主義研究所中央文書館KGB中央文書館極秘文書によればレーニンをはじめとしたボリシェヴィキ指導者たちの多くは、生活のために働いた経験もなく、党の資金寄生して暮らす「労働者階級」とは無縁存在であった。しかもその資金のほとんどは、銀行強盗現金輸送車強奪詐欺などで略奪されたもので、ボリシェヴィキ強盗団頭目スターリンだった。こうした手法1906年ロシア社会民主労働党第四回党大会メンシェヴィキから批判され否決されたが、その後レーニン指示続けられた。また、テロルによる恐怖支配は、レーニン権力強化するために用い強制収容所大量虐殺は、ボリシェヴィキ経済政策破綻するなか、農民労働者反乱戦慄したレーニン独裁支配維持するために導入したのだったマルクス革命論では、革命後の社会については不明瞭で、「プロレタリア権利宣言」があっても、実効性のある制度としての法も人権もなく、権力正当性について制度的保証責任規定もなかった。レーニンはこうしたマルクス主義粗暴な側面明け透け表明し大衆動員して人民の敵」と決めつけ、暴力行使していった。レーニン1917年12月に「革命利益憲法制定会議形式的権利優る」と宣言して革命ロシアにおける民主主義可能性暴力によって粉砕したマルクスは、ヘーゲル法哲学批判において、ヘーゲルが「国家市民社会対立」を前提していると批判するが、実際にヘーゲルそのような主張をしていないヘーゲル市民社会利害闘争の場であるが、職業団体同業者組合)は共通利益国家提示する一方で官僚はそうした利害調整することで、「近代国家原理」の実現目指す考える。マルクスは、ヘーゲルによる市民社会国家との媒介ダイナミズム論を理解しようとせずに、「ヘーゲル普遍的なものを独立させておいて、私的利害という経験的存在混ぜこぜにし、それを無批判理念表現見做す」と批判するが、これは外在的批判にすぎず、その後マルクスヘーゲル行政権論を論評ぬきで書き写している事実は、マルクスヘーゲル理解できないままに理論破綻していることを示すと神田順司は指摘するマルクスヘーゲル国家市民社会の「分離」から出発し官僚制この分離に基礎置いているとし、「職業団体官僚制唯物論であり、官僚制職業団体精神論である」「職業団体市民社会官僚制であり、官僚制国家職業団体である」「官僚制国家市民社会として、職業団体という市民社会国家対峙する」と論じるが、これらは「屁理屈としかいいようのない論理」であると神田批判するマルクスフォイエルバッハ批判用いてヘーゲルは「国家市民社会対立」という「二元論」を前提しているとして批判したが、マルクスのいうこの二元論ヘーゲル主張していないのであり、これは捏造にもとづく批判である。 ヘーゲル歴史的文脈踏まえて近代市民社会矛盾考察し既存制度の改革によってドイツをいかに近代化するかに腐心した。これに対してマルクス憲法を「政治的国家と非政治的国家との妥協」とみたり、議会を「市民社会政治的幻想」として否定し批判するが、制度的規定欠いた民主制」という現実から乖離した夢想をもって理論破綻している、と神田はいう。さらにヘーゲルは、国家悪意前提するような見方は、「市民生活政治生活とを相互に切り離し政治生活をいわば宙に浮かしてしまう」立場であると批判していたが、まさにマルクスは、このヘーゲル批判する立場にいたのであり、マルクスがこの箇所以降書き写し乱れをみせていることがマルクス草稿残っており、マルクス当惑し理論破綻していることを示すと神田はいう。なお、現行のマルクス・エンゲルス全集では、こうした草稿における論評抜き書き写しなどを削除しているが、これは史料への加工であり、問題である、と神田批判している。 こうした市民社会論以外でも、たとえばヘーゲル哲学における「理念」は、空虚な構想ではなく、「概念とその現実態」としてヘーゲル説明しているが、マルクスはこれを「抽象的ないし論理的な理念」として取り違え、その取り違え基づいてヘーゲル批判するなど、マルクスヘーゲル理解稚拙であると神田はいう。 このようにマルクスプロレタリア革命論は、その市民社会論を前提としているが、それはヘーゲル法哲学曲解一面化して近代的な法・政治的カテゴリー排除するものであり、したがってまた、歴史的に形成されてきた法・政制度規範モラルなどをまったく意に介さないレーニン恐怖政治政策生まれ理論的素地用意するものとなっていった。

※この「市民社会と暴力・恐怖政治」の解説は、「マルクス主義批判」の解説の一部です。
「市民社会と暴力・恐怖政治」を含む「マルクス主義批判」の記事については、「マルクス主義批判」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「市民社会と暴力・恐怖政治」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

市民社会と暴力・恐怖政治のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



市民社会と暴力・恐怖政治のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのマルクス主義批判 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS