対艦戦闘を目的としたモニター艦とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 対艦戦闘を目的としたモニター艦の意味・解説 

対艦戦闘を目的としたモニター艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/22 15:56 UTC 版)

モニター艦」の記事における「対艦戦闘を目的としたモニター艦」の解説

アメリカ南北戦争において北軍モニター (USS Monitor) 級を、水路封鎖対地攻撃用いた(→ハンプトンローズ海戦)のが、一般に歴史上最初モニター艦と言われる。これは軍艦砲塔搭載され最初期の例でもある。 南北戦争一定の成功収めたことをきっかけに、建造費用のわりに強力な沿岸防衛軍艦としてモニター艦世界広まった初代モニター設計者であるジョン・エリクソン自身も、スウェーデン海軍向けにモニター艦設計している。これらのモニター艦共通する特徴としては、強力な主砲塔装甲のほかに、マストなどの帆走設備持たないことと、極端に低い乾舷としていることである。この特徴は、砲塔射界確保して少数大口径砲で高い攻撃力実現し標的面積減少させ、装甲集中することで防御力も向上でき、帆装操作人員削減できるメリットがある。 当時実用化されていた艦船用の最新動力蒸気レシプロエンジンであった。しかし、直立シリンダー形では低いシルエット重心を得ることは難しくさりとて平形推進軸を船体中心線付近とするには配置重量左右不均衡を招く。そこで左右対称構造で、ピストン両側コネクティングロッドコンロッド)を持つ平還動式の「トランクエンジン」に着目し、これを改良することとなった。トランクエンジンはピストン棒無く小型化には適するが、コンロッド動作角度制限トランク径の限界)から大きなストローク大きなトルク)が得られない欠点があった。そこで、エリクソンコンロッドクランク直付けすることを止め、軸の両端長短2本のレバー(てこ棒)を持つレバー軸を新たに設け、短いレバーピストンからのコンロッド連結し長いレバーストローク増幅した上でクランクを回すレイアウト考案した。このレバー軸はトランクエンジンを挟んで左右に1組ずつあり、左右長いレバーからのコンロッド中央のクランクでつながるため左右対称となり、船体中心線上への配置と低い甲板両立が可能となり、さらに必要なトルク確保できるようになった。これはバイブレーティングレバーエンジンと呼ばれる一方低く小さな船体は、燃料用石炭搭載限界による航続力低下居住環境悪化、耐波性の低下というデメリットもたらしたデメリット沿岸防御用いる分には一応許容できるが、それでもしばしば海難事故生じ原因となった作業滞在空間の不足を補うためには、砲塔上や甲板テント張ることがよく行われたが、不便は否めなかった。 イギリスでは、対艦戦闘用モニター艦一種として、ブレストワーク・モニターと呼ばれる系列軍艦建造された。これは船体中央部にブレストワーク(breastwork、胸壁の意)と称する上部構造物を載せその上に砲塔配置したモニター艦である。上甲板砲塔設置用の開口部持たないため、船体水密性高まり作業居住空間広がるメリットがあった。その代わり被弾しやすいブレストワーク部には強力な装甲を施す必要が生じ重量増加重心上昇を招くデメリットもあった。オーストラリア向けに建造されサーベラス代表例である。艦の前後中心線上に砲塔を置くデザインは、航洋装甲艦融合し前弩級戦艦へと発展する通過点となった急激な技術発展が進む中で、19世紀末には早くも上記のような典型的モニター艦建造されなくなった砲戦距離が伸び砲弾落下角度増大したことは、低乾舷有していた標的面積減少メリットを失わせた。また、上記などの戦訓により、モニター艦主兵装とする少数大口径砲よりも、新型速射砲実用的であることが判明した上、新たに出現した水雷艇対策にも小口径の速射砲装備不可欠であり、モニター艦にはそのような改良余地乏しかった。さらに機関技術の進歩は、航洋型の軍艦でも帆走設備縮小・廃止できる状況を生み、モニター艦よりもバランスのとれた設計可能になっていたのである。もっとも、モニター艦持っていた小さな装甲船体相対的に強力な火砲という性格は、一般的な海防戦艦継承されていく。

※この「対艦戦闘を目的としたモニター艦」の解説は、「モニター艦」の解説の一部です。
「対艦戦闘を目的としたモニター艦」を含む「モニター艦」の記事については、「モニター艦」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「対艦戦闘を目的としたモニター艦」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「対艦戦闘を目的としたモニター艦」の関連用語

対艦戦闘を目的としたモニター艦のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



対艦戦闘を目的としたモニター艦のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのモニター艦 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS