女性のマスターベーション教育
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「日立マジックワンド」の記事における「女性のマスターベーション教育」の解説
アメリカ合衆国で、マジックワンドは女性がマスターベーションの時に使うバイブレーターとして大ヒットした。この用途でこれだけ人気が出たのは、アメリカ人のアーティストで性教育者のベティ・ドッドソン(英語版)が、マジックワンドを使って女性向けにオナニーの技法を伝える講習を開いて、宣伝したからである。 ドッドソンは、1960年代後半にセックス・ポジティヴ運動(英語版)で存在感を発揮した人物でもある。彼女はマッサージ機に小さなタオルをまいてオーガズムを得ることを女性に推奨していたが、これはバイブレーターの刺激を抑え、快感を得る時間を持続させるためだった。 彼女が開発したテクニックは、「ベティ・ドッドソン・メソッド(英語版)」として有名になった。彼女が開いたセッションも「ボディセックス」講座として有名で、15人の裸の女性が仰向けになり、1人1人がマジックワンドを使って同時にマスターベーションをするというものだった。この2時間のマスターベーション講座のために、ドッドソンは女性たちの人数分のマジックワンドを用意していた。彼女は、自分のテクニックを駆使して何千人もの女性にオーガズムに達する方法をレクチャーしている。 アメリカ合衆国で最初のフェミニスト向けセックストイ専門店Eve's Gardenを創業したデル・ウィリアムズが、自分の店を開いたきっかけも、1970年代はじめにドッドソンの講義に参加してマジックワンドに触れたことだった。ウィリアムズによると、マジックワンドというセックストイが気に入った理由は、クリトリスに力がかかるときのパワーと信頼感である。1974年にドッドソンは『マスターベーションを自由に』(Liberating Masturbation)という本を書き、そのなかでこの器具を推薦している(ただし彼女は1975年にセックストイを宣伝するときはマジックワンドにかわって松下電工のパナソニック・パナブレイターを使っている)。 1977年、ドッドソンはLeg ShowやJuggsといった男性向け雑誌の元編集者であるダイアン・ハンソンにマジックワンドを薦めている。ハンソンはドッドソンから薦められた器具を初めて使ってみた時のことについて回想しているが、ドッドソンからマジックワンドのことを教えられて購入したが、同時にくせになってしまう依存性があるから心と体への影響には注意するようにというアドバイスも受けたのだという。彼女が前に使っていた単一電池で動くバイブレーターより、マジックワンドのほうがずっと効く、とハンソンは言っている。 マジックワンドは、アダルトグッズショップのGood Vibrationsでは1977年のオープン以来のベストセラー商品である。この店では、女性向けにクリトリスに刺激を与えるのによいと宣伝していた。マジックワンドの人気はこの店に限らず、アメリカのアダルトグッズショップでは継続的なヒットとなっている。マジックワンドは女性同士の会話では「ビッグ・バジィ」(Big Buzz)と呼ばれたり、あるいは単に「ヒタチ」と呼ばれている。 1980年代の雑誌『Mother Jones』は、背表紙にこのマジックワンドの広告が載っていた。ジョアニ・ブランクが書いた『グッド・バイブレーションズ』(1976年)の表紙にこの器具が描かれていたことも、女性の知名度アップにつながった。この本が1989年と1998年に版を重ねたときも、表紙にはマジック・ワンドが使われていた。1992年はGood Vibrationsのオープン15周年にあわせ、この店の社長がマジックワンド型のチョコレートをつくって皆で食べるイベントを手配しているが、日立製作所の本社から来た営業社員も、自分たちのマッサージ機型のチョコをつくるために募金している。日立の役員はこのマッサージ機型チョコをさらに500個購入し、この年の営業会議でふるまった。 『グッド・バイブ・ガゼット』誌は1995年にアダルトグッズショップの客を対象にアンケートをとり、セックストイのランキングを集計しているが、マジックワンドは圧倒的な評価だった。カナダにおける検閲を論じた1995年の『禁じられた章句』(Forbidden Passages)によると、この器具が「わいせつ」であるという理由からカナダ当局に器具を押収されたことがあり、痛みの軽減のためマジックワンドを使っていた女性からも報告が寄せられていた。 1997年、カリフォルニア州のGood Vibrationsバークレー店でクリスマスプレゼントとして一番よく売れたのがマジックワンドだった。雑誌『Out』によると、マジックワンドは1998年に最も売れたセックストイでもある。カナダでは、1999年に、女性誌の『Chatelaine』が、女性のあいだでマジックワンドなどのセックストイが浸透しているという記事を掲載して、保守系の雑誌『Alberta Report』から批判されている。 この年に、マジックワンドは「個人用マッサージ機」として消費者向けの広告が出されていた。『The Village Voice』の1999年の記事を読むと、この器具を日立は「日立マジックワンド、家庭用電気マッサージ機」として宣伝していることがわかる。そして同じ記事によると、マジックワンドはこの時期も後発の商品に抜かれることなくベストセラーを継続している。『The Village Voice』が日立に取材を申し入れたところ、同社の広報部長ゲリー・コルベットから「断言しますが〔マジックワンドは〕あの通りの製品です。仕様通りヘルスケア用途以外に、どういった裏の使い方もありません」とその健全性を強調する回答があった。
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