多忙な人気作家へとは? わかりやすく解説

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多忙な人気作家へ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:20 UTC 版)

坂口安吾」の記事における「多忙な人気作家へ」の解説

1947年昭和22年1月に独特の歴史観による歴史小説道鏡」を『改造』に発表道鏡孝謙天皇の恋の道程描いた作品である。戦前史観では悪逆非道とされていた人物取り上げた安吾らしい作品としてセンセーショナルに迎えられたが、内容はむしろ女帝としての孝謙天皇描いたのだった同月には、「恋をしに行く」(「女体」の続編)を『新潮』、「私は海を抱きしめてゐたい」を『婦人画報』、徳川家康題材にした歴史小説家康」を『新世代』、自伝小説「風と光と二十の私と」を『文藝』に発表20代青春期精神遍歴描いた小説は、3月の「二十七歳」もあり、それに続く連作的な「三十歳」(翌年5月発表)では当時新進女流作家であった矢田津世子との恋愛について描かれ安吾自身年代記眼目としている。人気作家となった安吾は、太宰治織田作之助石川淳とともに新戯作派」「無頼派」と呼ばれて時代の寵児となり注目される反面、「痴情作家」とレッテルを貼られることもあった。 2月随筆特攻隊に捧ぐ」を『ホープ』に寄稿したが、GHQ検閲全文削除となり未発表作となる。同月には初の新聞連載小説「花妖」を、岡本太郎挿絵で『東京新聞』に連載開始するが、新聞小説としては型破りであったために読者評判悪く連載中断となってしまい5月未完となった6月には虚無極北絶対孤独凝視した桜の森の満開の下」を『肉体』、自伝小説「暗い青春」を『潮流』、評論教祖の文学」を『新潮』、ファルス的な連作金銭無情」「失恋難」「夜の王様」「王様失脚」(のちに長編金銭無情』)を『別冊文藝春秋』他各誌発表するなど旺盛な活動見せた作品の反響大きく執筆ペース大幅に増え次々と作品発表しヒロポン服用しながら4日一睡もしないこともあった。安吾には強気反面神経の弱い面が多分にあったという。 9月からは推理小説不連続殺人事件」を雑誌日本小説』に連載し始める(挿絵高野三三男)。作中登場する巨勢博士短編選挙殺人事件」(1953年)、「正午殺人」(1953年)でも活躍させている。安吾少年時代から推理小説探偵小説愛好し推理作家としてはアガサ・クリスティを最高の作家として挙げ横溝正史好んでいる。飲みに行くこともままならなかった戦争中には、平野謙荒正人檀一雄埴谷雄高らと大井広介邸に集まり犯人あてのゲーム興じていたが、推理に一番熱心であったが一番当らなかったという。大井広介は、「彼(安吾)の推理不可思議な飛躍をする」ことが多かった回想している。安吾推理小説を、パズル魅力ゲームとして楽しむ理知的な娯楽捉えているが、それを成立させるためには、「作家的、文学的洞察造型力」が必須であり、「いやしくも犯罪を扱う以上、何をおいても第一に人間性についてその秘奥を見つめ」ていなければならない語りトリック先にありきで後から登場人物当てはめたような、「有りべからざる人間心理デッチあげ」、「人間性不当にゆがめている」作品には批判的である。10月に「青鬼の褌を洗う女」を『愛と美』(『週刊朝日25周年記念号)に発表するが、この作品のモデル自称する三千代とは、3月新宿酒場チトセ知り合い毎週水曜日秘書として手伝いをしてもらうようになり、9月から結婚生活入った正式な婚姻届はのちの1953年8月24日)。なお、安吾自身は「青鬼の褌を洗う女」について、〈特別のモデルといふやうなものはない。書かれ事実部分的に背負つてゐる数人男女はゐるけれども、あの宿命歩いてゐる女は、あの作品の上だけしか実在しない〉としている。

※この「多忙な人気作家へ」の解説は、「坂口安吾」の解説の一部です。
「多忙な人気作家へ」を含む「坂口安吾」の記事については、「坂口安吾」の概要を参照ください。

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