国際人道法による文民の保護
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国際人道法に属する諸条約では、調印国に国家間の戦争時における文民の保護を強制している。調印していない国であっても、この国際法に従う必要があるというのが慣例的な認識である。また国際人道法では、distinction、比例原則、緊急避難の原則が戦闘時の文民保護と結びついている。しかし国際連合は文民保護のために軍事組織を配置しているにもかかわらず、その運用における公式な方針を定めていない。国連安全保障理事会報告書4では、戦闘時の文民保護がさらなる文民保護の必要性の証拠をもたらすとしている。国連は文民の安全が大規模に脅かされることは国際的な平和と安定に対する脅威となることを認識しており、文民保護と地域的安定化の手段を構築しようとしている。2008年に最初に発表された安全保障理事会報告書4があるにもかかわらず、国連は各地域の諸国が地域内の戦争・内戦を調停し文民を保護するよう求めている(アフリカにおける紛争をアフリカ連合が取り締まるように)。国連事務総長コフィー・アナンは国連の諸国に対し、「人類の安全を約束し、平和と安全が不可分とみなす」認識を共有することを通して、アフリカの文民を守ることが各国の利益になるのだと説いた。 国際連合安全保障理事会は、数々の決議 (1265、1296、1502、1674、1738)や議長声明を通じて、以下の事項に触れている。 国際人権法や関連する人権法の順守、人道への侵害についての説明責任の存在。 平和維持活動をはじめとする任務における国連の役割。 特定集団の保護。 小規模な軍隊の影響力。 地域間の協力。 安全保障理事会は5つの方法を通して文民保護に携わっている。 一般的な規準、特に国際人権法の水準を底上げする。 第8章に基づく強制力により、国連平和維持軍、各地域の組織、国連加盟国のグループに、その軍事力を文民保護を含む方策に用いさせる。 第5、6、8章に基づき、紛争を起こしている勢力を監視し保護活動を行わせることができる。 第6章に基づき、対立組織間の仲裁などを通して武力衝突の勃発を阻止あるいは最低限にとどめる。 理事会は、特定の対象に圧力を加え国際人権法違反の責任がある組織を抑え、審議会を設置し、特別な裁定機関に権限を与えたり国際刑事裁判所 (ICC)に問題を持ち込んだりすることができる。 議長声明や事前の小委員会での議論に応じて、国連安全保障理事会は2009年1月に国際人権法に基づく文民保護に関する会議を行った。この会議では明確な結論が出なかったものの、1999年に通過した決議1265以降の安全保障理事会の評価が実施された。 国際連合の協定に加え、各地域内でも文民保護に関する取り決めが生まれている。例えばアフリカ連合設立法第4条(h)は、文民の保護と「加盟国における『重大な状況』、すなわち戦争犯罪、ジェノサイド、人道に対する罪に対し、連合は強制力を持った介入を行う権利を持つ」ことを定めている。これはアフリカ連合が連合内における残虐行為によって立つことを否定したものである。2004年に平和安全理事のSaid Djinnitは「アフリカ人は……大陸で起きている悲劇を傍観し、それが国際連合やその他の者の責任であるということは出来ない。我々は非介入主義から非無関心主義に移行したのだ。我々は、アフリカ人として、我らの人々の悲劇に無関心であり続けることは出来ない。」 (IRIN News 2004)と述べている。ただ第4条(h)は実際に発動されたことが無く、本当にアフリカ連合に「重大な状況」へ介入する意思があるのか疑義が呈されている。 国際連合やアフリカ連合、その他の主導的な組織であるか否かにかかわらず、「国際組織には、文民保護などの込み入った安全保障上の役回りを負うと、一般的に、高い水準の戦力、全面的なプロフェッショナリズム、そして長期的に対峙し続ける忍耐力によって支えられた、包括的な政治要素としての大規模な平和維持作戦でさえ実現できないような不相応な期待が地元民の間で高まるリスクが明白に存在している。アフリカやいたるところで見られる残念な結果は、分権化政策が履行されてきた道のりに対するいくらかの批判をもたらしてきた(MacFarlane and Weiss 1992; Berman 1998; Boulden 2003)。」
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