商用タイトル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/18 08:43 UTC 版)
商用のオンラインゲームにおけるゲームマスターは、名称や個人運営のオンラインゲームでの印象からゲームの管理者と取られがちだが、実際にはゲームの管理者ではなく、主にゲームサーバで「GMコール」システムなどサポート業務に直接従事するスタッフのことを指す。 一般的なゲームマスターの仕事内容は他業種でいうところのヘルプデスクに近いものであり、サポートする内容はゲーム内に関係する事柄に限定されているのが特徴である。場合によってはゲームマスター専用のコマンドを駆使してプレイヤーやNPCを意のままにすることができるゲームもあるため、ゲーム内では絶対の存在に見られることが多いが、あくまでも一介のサポートスタッフに過ぎず、ゲーム全般の管理者ではない。そのため、ゲーム内容を1ゲームマスターの権限で変更するなどということは無い。この様な意味では、課金をしてプレイするプレイヤーからは隔絶された、状況次第でプレイヤーにとって神にも悪魔にも石ころ以下にもなる、ある種独特の存在である。 さらにゲームに関連する事柄であっても、ハードウェアについてなどの第一義的にはゲーム外になる質問に答えることは基本的に無い。この場合はテクニカル・サポートなど別に配置されている専門スタッフがサポートの担当になる。 しかし、実際の仕事内容は運営会社によってまちまちで、極論すればタイトル毎に異なると言っても過言ではない。ゲームマスター専用のコマンドを駆使してインイベントを実行、テクニカル・サポート相当のゲーム外の質問に答える、メールマガジンの制作、アップデート時のデバッグ作業、実際にキャラクターとしてゲームにログインしパトロールや公式イベントの誘導、海外製のゲームではNPCなどの会話の二次・三次翻訳や校正などのローカライズ、ゲーム公式WEBサイトの更新・翻訳作業、公式ウェブサイト掲示板のモデレータ、など非常に多岐におよぶこともある。特に外国製のタイトルを小規模なベンチャー企業が日本国内で運営するパターンのオンラインゲームでは、ゲームマスターが上記のようなサポートスタッフ以外の仕事を多数兼務する傾向が強い。また、一部タイトルではプレイヤーへのサービスの一環として通常のプレイに参加し、一般のプレイヤーのパーティに混じって共にプレイしながらチャットで意見・要望を聞いたりする場合もある。 このようにタイトルによって仕事内容や権限が大幅に異なることがあるためか、大半のオンラインゲームの公式ウェブサイトには、ゲームマスターのキャラクターの紹介と共に、ゲームマスターはどのような仕事をするかや、GMコールの対応範囲、逆に対応しない内容などについて掲載されている。 他方で、大半のタイトルでは非公表であるが、ゲームマスター職と一口に入っても、それを務める担当者個々に与えられる権限と能力がランク分けされている状況が多くのオンラインゲームで見られる。具体的には、ゲームマスターとしての勤務期間や能力の他に、管理職や正社員などの正規雇用か、派遣社員やアルバイトなどの非正規雇用であるかなどによって分類されることになる。この場合、正規雇用のゲームマスターにのみ大きな責任を伴う強力な権限が与えられ、非正規雇用のゲームマスターには責任の軽い事務処理的な雑務などの極めて限定された範囲の権限しか与えられないことも多い。また、ゲーム世界にプレイヤーと同様のキャラクターや特定のモンスターの姿で姿を現し、ゲームチャット機能でプレイヤーと直接会話をして要望を聞いたり、プレイヤーに一時的に強化スキルを付与するなど、ゲームマスターが直接ゲーム世界に出向いてイベント的に活動・サービスを行うこともあるが、この様な形でゲーム世界に姿を表すGMは、万一のトラブル発生時などへの責任や権限の関係などもあって、大きな権限を持つ正社員や管理職のGMにほぼ限られている。また、運営チームスタッフの一員としてGM職がゲーム専門のマスコミやニュースサイト、ガイドブック類の取材対象となってメディアに登場することが見られるが、その様な場合にマスコミ対応を行う人物は、同様の理由から基本的には管理職など発言に相応の責任を負う職位の人物である。 だが、GMコールを通じて直接プレイヤーと応対するゲームマスター職については、他方ではプレイ中のユーザーの「GMコール」の問い合わせに所定のテンプレートから一言一句もはみ出さない文面で対応するだけで、その場で具体的に目に見える対処を行わない(あるいは権限の不足で行えない)者も見られている。その結果、RMTやBOTなど、ゲームで不正と規定されている行為の横行が著しく、通常のプレイに支障をきたす程の状況になっている一部タイトルの中には、本来ならばゲームを円滑に運営し、プレイヤーを満足させる為に存在している筈のゲームマスターが、プレイヤーの目には「GMが不正プレイヤー対処の仕事をしていない」と映り、かえってゲーム運営会社の運営姿勢に対する不信感や疑念をより大きく煽る一因となってしまっている状況も見られる。また、最高レベル帯のプレイヤーによる組織的なプレイヤーキラーや「PvPギルド・血盟」の跳梁跋扈など、規約違反ではないとしてもゲーム内の秩序・モラルが崩壊している状況のゲームでも、ゲームマスターに対しての不満などでは同種の傾向が見られることがある。
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