商用パッケージ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 14:41 UTC 版)
蝋管は厚紙の筒に入れて売られた。筒の両端には厚紙のキャップが被せられ、上側は取り外し可能な蓋になっていた。帽子を収納する筒と同じように、蝋管の筒は単に「ボックス」と呼ばれた。キャリアの長いコレクターは今でもこの名を使っている。最初期の柔らかい蝋管は、筒の中でさらに厚い綿で包まれていた。後の時代の型押しされた硬い蝋管は綿の裏地がついた箱で販売された。セルロイド管は裏地のない箱で売られていた。これらの保護箱は、ふつう購入後も捨てられることはなく、管を保管するために使用されていた。吹奏楽団を率いるジョン・フィリップ・スーザは、音楽が筒に入れて売られる様子を卑下して「缶詰音楽」と呼んだ。ただしこの表現はマーク・トウェインの表現を借用したものであった。いずれにしても、スーザの楽団も蝋管に演奏を吹き込んで利益を得ることはやめられなかった。 最初期の蝋管ボックスは外装が茶色い紙の地のままであり、会社名のゴム印がされていることもあった。1890年代後半になると、ボックスの外側に一律なデザインの印刷されたラベルを貼るのが普通になった。ラベルには鉛筆でカタログ番号が書かれることもあったが、それ以外に録音内容を推し量る情報はなかった。ボックスの中には蝋管とともにタイトルと演奏者を記載した紙片(スリップ)が入れられていた。初めのうち、スリップの文字は1枚ごとに手書きかタイプライターで書かれていたが、植字コストを賄えるほど蝋管の販売量が増えてくると印刷されたものが一般的になった。蝋管の録音内容にも、通常冒頭にタイトルと演奏者、そしてレコード会社名を口頭で読み上げたものが収録されていた。1903年にエジソン・レコーズが生産した典型的なレコード・スリップでは、情報が印刷された部分を切り取ってボックスの蓋に張り付けるよう書かれていた。もしくは、スリップを丸く切り取って、特製の収納ケースやキャビネットの中の、その蝋管レコードを差しておく棒の先端に貼りつけることもできた。しかし、蝋管を買った者の中でそのような収納ユニットを購入するのは少数派であった。少し経つとレコード番号が蓋に刻印されるようになり、さらに後には、タイトルとアーティスト情報が印刷されたラベルも工場の段階で蓋に取り付けられた。20世紀が始まってまもなく、簡略化された情報が管の一端の縁に刻印もしくは印刷されるようになった。
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