名阪直通運転開始から新幹線開通まで
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「近鉄特急史」の記事における「名阪直通運転開始から新幹線開通まで」の解説
1959年(昭和34年)9月26日 「伊勢湾台風」が中部・東海地方を直撃し、名古屋線の愛知県内路線はほぼ全線に渡り流出・浸水・車両水没等の被害を受け、特に桑名駅 - 近畿日本蟹江駅間は約2か月間水没したままの状態となった。 もともと、名古屋線は名阪間直通に向けて軌間を1,067mmから1,435mmに広軌化することが決まっており、1960年(昭和35年)2月完成を目標として同年1月より工事を開始する予定だったが、複線架け替え工事を行なっていた木曽川橋梁、揖斐・長良川橋梁の被害がほぼゼロだったこともあって(木曾川橋梁の竣工日は伊勢湾台風襲来日の9月26日の午前中であった)、当時の佐伯勇社長の指示でこれを前倒しし、復旧工事に続いて改軌工事を実施することになり、同年11月27日に完成。これにより、名古屋 - 大阪・伊勢間の直通運転が可能となった。 12月12日 近畿日本名古屋駅 - 上本町駅間直通特急(「名阪特急」)を運転開始(伊勢中川駅でスイッチバック運転)。同時に同列車で、(2代目)「ビスタカー」と称される10100系電車の営業運転が開始された。名阪間の所要時間は近畿日本名古屋行が2時間27分、上本町行が2時間30分に短縮。 1960年(昭和35年)1月20日 名阪特急が安定運行に入ったのを受け、ダイヤが白紙変更される。名阪間無停車の特急(ノンストップ特急と呼ばれた。しかしながら、伊勢中川駅では方向転換のため運転停車した)を9往復設定。また同時に名阪間に1往復、阪伊間に5往復、そして新たに設定された系統である近畿日本名古屋駅 - 宇治山田駅(名伊)間に5往復の、主要駅に停車する「準特急」を設定(停車駅は鶴橋駅・大和八木駅・伊勢中川駅・津駅・近畿日本四日市駅・桑名駅・松阪駅・伊勢市駅(宇治山田行のみ))。これを受け、「かつらぎ」・「おわり」などの列車愛称を廃止。 2月 「かもしか」、不定期の有料特急に格上げ。 3月26日 専用機による特急座席予約システム使用開始。この時は(オンライン)端末機に発券機能は無く、確保できた座席の号車番号を表示するだけであった。窓口の係員が表示された番号を特急券に転記していた。 6月15日 準特急と特急とに分かれていた列車種別を「特急」に統一。それ以来、近鉄の特急列車には派生種別を設定していないが、内部では「準特急」の名称を「乙特急」と呼ばれるようになり、同時に「ノンストップ特急」は「甲特急」と呼ばれるようになる。 1961年(昭和36年)3月29日 伊勢中川駅の大阪方、名古屋方各々約500m地点で分岐して大阪線 - 名古屋線間をスイッチバック(折り返し)なしで直通できる短絡線を設置。名阪甲特急は同線を通過するようになった。 4月25日 大阪環状線開業にあわせ、全特急列車を鶴橋駅に停車。 9月21日 この年10月に行われる国鉄の白紙ダイヤ改正(サンロクトオ)を前にして、それへの対策とでもいうべく、近鉄でもダイヤ改正がその10日前に行われた。名阪甲特急は名阪間の所要時間を2時間18分とし、国鉄のダイヤ改正後の準急列車・急行列車の水準を引き離し、特急列車「こだま」号や「つばめ」・「はと」号などの同区間の所要時間、2時間14分にあと一歩と迫った。名阪甲特急は一部時間帯を除き1時間間隔となる。また、特急「かもしか」は再び料金不要の快速列車に格下げとなった(この時点での停車駅は橿原神宮駅・壺阪山駅・吉野口駅・下市口駅・大和上市駅・吉野神宮駅)。 1963年(昭和38年)3月21日 ダイヤ変更より名阪乙特急も中川短絡線を使用することになった(これ以降、特急車両の方向の定位は従来の山田線基準から名古屋線基準に変更された)。 9月21日 この日3年ぶりの白紙改正を実施。大阪線の複線化の進捗に伴い、名阪間の甲特急の所要時間を2時間13分(鶴橋駅 - 名古屋駅間では2時間10分)とし、ついに国鉄の特急列車の水準も追い越した。また、2往復増発され、完全1時間間隔運転が実施された。 この年の名阪間輸送の占有率は近鉄:国鉄が7:3となり、近鉄の独擅場となった。 10月1日 現在の近鉄京都線の前身である奈良電気鉄道(奈良電)が近鉄に合併される。 奈良電は1928年(昭和3年)11月に京都駅 - 大和西大寺駅間全線を開通させたあと、1954年(昭和29年)10月から近鉄線に乗り入れて京都駅 - 近畿日本奈良駅(現、近鉄奈良駅)間を結ぶ料金不要の「特急」の運転を開始し、この年1月からは京都駅 - 橿原神宮駅駅間を結ぶ「特急」の運転も開始していた(奈良電気鉄道#特急電車も参照のこと)。これら特急の運転は近鉄に引き継がれた。
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