古代ローマ〜中世初期ヨーロッパとは? わかりやすく解説

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古代ローマ〜中世初期ヨーロッパ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 20:04 UTC 版)

言語哲学」の記事における「古代ローマ〜中世初期ヨーロッパ」の解説

上記流れローマ帝国において、一方で法廷弁論術として、他方ではストア派中期プラトン学派哲学思考法として継承されたものの、東西の分裂機にギリシャ語圏の東ローマ帝国では観想聖書霊的解釈学とを重んじたビザンティン・キリスト教思想において次第弱体化する。他方早く西ローマ帝国滅亡いわゆる蛮族」の横行をみたラテン語圏の西ヨーロッパでは、ヒッポのアウグスティヌスという古代末期最大哲学者生まれ命題論としては名辞名辞連接意味論としては名辞とその対象物('Fido'-Fido theoryという揶揄的名称がある)のように、フレーゲ以前決定付ける言語哲学確立したアウグスティヌス言葉(verbum)を記号(signum)の一種みなして考察行ったまた、『嘘について (De mendacio)』、『嘘に反対して (Contra mendacium)』、『エンキリディオン (Enchiridion)』などで、アウグスティヌスは、人間の言語活動における文脈話し手聞き手意図重要性着目している。彼は他に、『三位一体論』では、「外的語り(locutio foris)」、「心の語り(locutio cordis)」もしくは内的語り(locutio interior)」、「音声似姿において思考されるもの(cognitativium in similitudine soni)」の三者区別した音声伴った言葉である「外的語り」に先行してギリシア語ラテン語のような自然言語には属しない思考(cogitatio)」である「内的語り」が存在している。そして、「外的言葉」を声に出さず考えている場合アウグスティヌスは「音声似姿において思考されるもの」と呼んだが、同様の概念が「内言」と呼ばれて発達心理学認知言語学分野20世紀以降注目されているギリシア論理言語の哲学ボエティウスによって西方ラテン世界紹介された。彼はアリストテレスの『オルガノン全編ポルピュリオスエイサゴーゲー』をラテン語翻訳した(ただし『オルガノン』のうち『分析論後書』は散逸し、『分析論前書』や『詭弁論駁論』は中世初期には読まれなかった)。ボエティウス翻訳不備があるとして非難する声もあるが、文献学的な研究によれば、むしろボエティウス先行するガイウス・マリウス・ウィクトリヌスの翻訳などより優れたのであるという。また、ボエティウスは『エイサゴーゲー』および『命題論』にはそれぞれ初歩的なものと高等なものの二つ注釈書を、『範疇論』、『トピカ』、キケロの『トピカ』にはそれぞれ一つ注釈書著した(アリストテレスの『トピカ』に対す注釈書散逸した)。ボエティウスは『区分について(De divisione)』『様々なトピカについて(De topicis differentiis)』、『仮言的三段論法について(De syllogismo hypothetico)』といった研究論文書いたが、注釈書共々独創性低くボエティウス努めて論理言語の哲学紹介であろうとしたのだとされるアウグスティヌス記号(signum)という表現用いて言葉考察したに対してボエティウス表示(significatio)という表現用いたボエティウス言語哲学は以下のような特徴を持つ: .mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}(1)話し言葉第一に心の中思惟(intellectus)を表示(significare)し、第二思惟を介して思惟によって捉えられる事物表示する(24.12-13;33.27-31)。(2)話し言葉書き言葉の文があり、文の中で名詞動詞区別されるように、心の中にも文(いわゆる思考文」)があり、名詞動詞区別される(30.3-10)。(3)心の中名詞動詞複合、つまり思惟複合と、その結果として思惟の内に生じ真理値は、話し言葉名詞動詞複合真理値派生する(49.27-32)。 (4)書き言葉話し言葉規約によって設定され多様性を持つのに対し思惟思惟によって把握される事物自然的であって全ての人にとって同じである(24.27-25.5)。 (1)に関してボエティウス思惟形成されるためには外界事物必要だ考えていた。上記(2)~(4)ジェリー・フォーダーの「思考言語」説の主張共通する部分がある。 ボエティウス文法家プリスキアヌス以降西欧では言語の哲学限らず哲学全体がしばしの停滞期をむかえ、カロリング朝ルネサンス時代復興する。これ以降中世論理学は、12世紀ルネサンス時代境目に旧論理学(logica vetus)と新論理学(logica nova)に二分される。旧論理学時代には、前述のようにアリストテレスオルガノンのうち『分析論後書』、『分析論前書』、『詭弁論駁論』などは読まれなかったし、カロリング朝ルネサンス時代には『範疇論』に関してボエティウスラテン語訳したものではなく、『範疇論について』の梗概注釈書である偽アウグスティヌス『十の範疇について』が読まれた。したがって言語哲学テキストとしては、ポルピュリオスの『エイサゴーゲー』(ボエティウス訳・註解)、アリストテレス命題論』(ボエティウス訳・註解)、『範疇論』(ボエティウス訳・註解)または偽アウグスティヌス『十の範疇について』、キケロートピカ』(ボエティウス註解)、ボエティウス様々なトピカについて』『区分論』などがこの時代読まれた。文法学ではカロリング朝ルネサンス時代にはドナトゥス文法学(Ars grammaticae)』が、時代が下るとプリスキアヌス文法学教程(Institutiones grammatice)』がテキストとして利用された。また、現代形式論理学対象としないような哲学的考察をも中世には論理学領域となっており、中世論理学言語哲学表現されるのが実情合っているとされる(ただし、中世にも論理学対象今日形式論理学同じよう範囲限定すべきだ考える者もいた。この時期には論理学神学形而上学分けて論じ学者混同して論じ学者混在していた)。 カロリング朝ルネサンス中心人物アルクィヌスは『弁証学(Dialectica)』を著した本書五つ普遍(類、種、種差付帯性固有性)、範疇三段論法定義・区分トポス論命題論といったものを扱っており、アリストテレスからボエティウスカッシオドルスに至るまでの流れ扱ったに過ぎなかった。ただ、独自の思想唱えるには至らなかったものの言語研究史上におけるアルクィヌス功績決し小さくないアルクィヌスの後をついで宮廷学校長となったヨアンネース・スコートゥス・エリウゲナ(主著『自然位階論』)は偽ディオニシォース・ホ・アレオパギテース(主著神名論』『神秘神学』)の諸文書ラテン語訳紹介することを通じてネオプラトニズム再導入した。

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