制度に対する発言の要所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 02:00 UTC 版)
「貸金業務取扱主任者」の記事における「制度に対する発言の要所」の解説
違反業者の代表者の年齢をみると、登録時の年齢が20代の者が約半数。30代も多いがほとんどが30代前半で、非常に若い者が多い。違反業者の代表者の経歴をみると、高等学校卒業あるいは中退者が数種類の職の経験を経て、貸金業を始めている。開業の動機も、「以前から興味を持っていた」、「金儲けができると思った」と安易。開業資金は300~500万円程度のため、元々営業は成り立たない。従業員は知人の紹介又はアルバイト雑誌等で募集し、代表者の他に主に20代の若者を3名程度雇っている。 代表的な悪質業者について言うと、貸金業に関する十分な知識と経営能力を備えていない比較的年齢の若い代表者が、安易に開業し、経営に行き詰まる。または、当初から不正な意図を持って登録し、開業後すぐに違法行為を行う。貸金業への安易な参入の後、業者が悪質化するのを受けて行政処分を行うが、また新たな参入が行われるというような状況が繰り返されている。 今後の指導監督上の課題の1点目は、貸金業を営もうとする者に対し、安易な参入を許さず充分な法令知識とその遵法意識を求めるべき。貸金業務取扱主任者資格をより厳格化すべき。悪質行為を行う若者の最大のウィークポイントは資格試験のため、現状の登録要件を改め、統一の資格試験を実施すべき。 参入規制については、前回改正(平成16年1月施行)で貸金業務取扱主任者制度を設けたが、それすら置けない業者が廃業することになった。主任者制度は研修を受ければいいのであるから、あまり高いハードルではないと考えている。試験制度を取り入れるという提案についてだが、いつの世にも存在する「弱い者を食い物にすることに何ら良心の呵責を感じない人達」は、それぐらいの障壁は乗り越えようとするかもしれない。ただ、例えば証券外務員試験などをみると一定のスクリーニング効果は期待できる。およそ「試験」と名のつくものが嫌いな人達が安易で乱暴な商売に走りがちであるのなら、「試験があるから止めよう」という抑止力が働くのではないか。また、仮に証券外務員試験や外務員登録制度と同様の仕組みにすれば、貸金業協会のプレステージも高まるのではないか。 埼玉県貸金業協会の例だが、ヤミ金融対策法により貸金業務取扱主任者を1店舗に1名置かなければならないことになり、それまでは40%前後だった協会加入率が現在は約65%まで上がった。貸金業務取扱主任者の置けない業者が廃業に追い込まれたことによるもの。貸金業務取扱主任者を置いていないと登録できないようになっており、コンプライアンスを向上させるためには、貸金業務取扱主任者のレベルを上げる必要があると思う。 大阪府の登録貸金業者件数は、平成16年1月の法改正以降大きく減少。主な理由として考えられるのは、法改正による本人確認、営業所の確認、財産的基礎要件等の登録審査の強化、登録手数料の増額、貸金業務取扱主任者の設置及び研修修了の義務付けなどの業務規制の強化。 貸金業取扱主任者の資格試験を制度化することによって参入規制を強化してはどうか、貸金業協会の自主規制機能を強化してはどうか、現在、業務停止、登録取消ししかないツールに業務改善命令といった監督ツールを充実させてはどうかという論点については前回報告したところ。また、ヤミ金融取締りという視点も含めて罰則強化などが必要ではないかということが重要な論点だと思う。 ヤミ金融まがいの若い人達に対する警告的な意味合いもある貸金業務取扱主任者による試験資格制度を設けることにより、自主規制機関としての貸金業協会の機能も向上するだろうと思われる。行政による規制と、行政による規制の外縁をなす自主規制と、個々の業者によるコンプライアンス体制という3段階になっている中で、規制のあり方としては業者のコンプライアンス体制などが確立している場合に限り参入を認めた上で、違法行為を行わない体制を実際に作っているかどうかを監視する監督体制に、ある程度重点を移行させる必要があるという意見があった。 参入規制のあり方の中で、「貸金業務取扱主任者」について記載されているが、貸金の取立業務に従事する人については全員国家試験のような試験に合格して、そういうレベルの高い人が営業所に一人くらいいなければならないと思う。会社として登録するのではなく、個人登録して従事する人が何らかの厳しい規制を受けるようにしたほうがよいのではないか。取立規制については、取立の記録を残すことを義務づけそれを開示するようなルールを設けて、金融庁が検査などで確認できるようにすることも必要ではないか。参入規制については、これまでも議論があったが厳しくしていく方向だと思う。また、個人情報の保護と情報の交流についてはセットで考える必要があると思う。 与党の「基本的考え方」には、参入適正化による我々貸金業者のレベルアップ、自主規制機関である貸金業協会のガバナンス強化、信用情報センターのガバナンス強化、貸金業協会への加入義務づけ、信用情報機関の加入義務づけ、人的要件として貸金業務取扱主任者制度の試験化と登録の事前要件が記載されている。これらは我々が当懇談会で意見したことであり賛同する。 参入規制については、法令遵守体制の整備を参入条件に加えてはどうかという議論が確かあったと思う。これに関しては、貸金業務取扱主任者を人的要件とし、事前に合格した者を選任することを登録要件とすることを予定している。この資格試験がどういう内容になるか分からないが、試験・講習等に関しても内容を見直して、コンプライアンスや法令遵守の意識をより一層業者に高めてもらうような方向で考えていただきたいと思う。
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