初期の城柵とは? わかりやすく解説

初期の城柵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 07:22 UTC 版)

城柵」の記事における「初期の城柵」の解説

城柵は、大化3年647年)の渟足柵現在の新潟県新潟市沼垂付近比定される)設置記録上の初出である。翌大化4年648年)には同じく越後国磐舟柵現在の新潟県村上市岩船付近比定される)が設置された。これに先立つ斉明天皇元年642年)に当地蝦夷数千人が服属申し出ており、この2つの柵は政治的軍事的な役割のほかに蝦夷との交易交流拠点という役割担ったものと考えられるまた、『日本書紀』の記述からは渟足柵磐舟柵設置にあたって柵戸置かれたことが記されており、城柵設置移民扶植は、当初からの一体的政策であったことがわかる。この2つ城柵はともに海岸沿いの砂丘河川交点付近に築かれたと推測され海上交通便益図られとみられることも共通するしかしながら両柵とも正確な場所が不明で、文献上の存在となっている。皇極天皇4年658年)には都岐沙羅柵という名も『日本書紀』見えるが、これもいつどこに設置されたのか不明である。 考古学的な調査から様相が明らかとなっている初期の城柵としては、宮城県仙台市太白区発見され郡山遺跡挙げられる現在の長町駅JR東北本線仙台市地下鉄南北線東方にあり、広瀬川名取川挟まれ自然堤防後背湿地上に位置する。この城柵日本海側渟足柵磐舟柵対応する太平洋側拠点であった郡山遺跡ではI期II期二つ時期にわたる官衙遺構発見されI期遺構東西300m南北約600mの広がりを持つ。建築方向真北から西に約60度傾いており、材木塀や板塀囲まれ政庁工房倉庫などの区画連なっていた(ブロック連結構造城柵)。この施設構成同時期の評家郡家遺跡共通するのであるが、一方で武器工房有し設けるなど、一定の軍事的緊張窺わせるものでもあった。 7世紀末頃、郡山遺跡I期官衙廃棄し、その跡地第II期官衙造営された。II期遺構東西約428m、南北約423mのほぼ正方形一辺が約4町にあたることから、方四町官衙呼ばれる)で、建築方位はほぼ真北を向く。敷地のほぼ中央政庁たる正殿を置き、左右対照脇殿配された。また、外周の塀から約9m離れて大溝が、さらに48mほど離れて外溝開削されており、大溝外溝の間は空き地である。外溝含めた全体規模一辺約535mの方形となり、これは初め条坊制採用した藤原京の一坊の長さ相当した政庁施設配置及び正殿南面する様式や、正殿北側石敷き広場設けられたこと、大溝外溝の間を空閑地とするなどの構成は、飛鳥宮藤原京の強い影響を受けたもの考えられている。一方で敷地広大さ比して施設全体的に希薄で、倉庫官人邸宅などの実務的施設郭外置かれた。官衙内に倉庫置かない構成は、秋田城除いて後の城柵でも通例となっている。その他特筆すべき事項として、南西側寺院創建(郡山廃寺)されたことが挙げられ城柵周囲寺院を置く構成後代多賀城秋田城でも引き継がれた。 郡山遺跡II期官衙ではI期ブロック連結構造城柵脱却し、都の朝堂直接的に模倣した儀礼的な空間志向され、後の城柵もこれに倣うこととなった。その一方郡山遺跡では外周材木塀は一重(単郭式)で、主な実施設郭外に置くことになるなど、防御性乏しい。郡山遺跡には陸奥国府が置かれていたと考えられており、多賀城直接前身と言える存在であった7世紀中葉から8世紀初頭にかけての時期城柵は、主に河川隣接した平地段丘上に築かれ郡山遺跡II期官衙脱却するまで、郡家に倣うブロック連結構造取っていたのが特徴である。

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