仕事における成功
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 09:48 UTC 版)
「ビッグファイブ (心理学)」の記事における「仕事における成功」の解説
組織内のコミュニケーションにおいて、性格は職場でその人がどのように振る舞うのかを説明するものとして取り入れられている。五因子性格理論は5つの違った性格――開放性、誠実性、外向性、協調性、そして神経症傾向――を網羅する。開放性はオリジナルであることと、想像力があることであり、誠実性は物事を達成しようという目的志向であることであり、外向性は社交的であることと感情的にポジティブな人であることであり、協調性は適応できることとリーダーとして調整ができることであり、最後の性格特性は神経症傾向は、ネガティブな感情になりやすいリーダーであることと安定的になる必要があることを表す。 ビッグファイブは将来の仕事の成果を予測するとされている。仕事での成果の測定は、仕事とトレーニングの熟練度と、個人データを含んでいる。しかし、そのような予測を示そうとする研究は批判されてきた。一つには性格と仕事での仕事での成果(英語版)を特徴づけようとする相関係数が明らかに低かったためである。2007年の論文で、過去現在6人のpsychological journalsの編集者による共著で、ペンシルバニア州立大学の心理学教授であり、Journal of Applied Psychologyの編集者である (1996–2002)ケビン・マーフィーは以下のように述べた。 性格テストの問題は…仕事におけるパフォーマンスの予測に関して、その妥当性はがっかりするくらい低いことが多いことだ。仕事での成果を予測するために性格テストを使おうとする議論はそもそもその説得力が低いので、感心できない。 このような批判がウォルター・ミシェル(英語版)によってされ、ミシェルの本は20年にわたって性格心理統計学に危機をもたらした。しかし、後の研究において(1)精神測定の性格研究者によって得られた相関は相対的基準に照らすと実際かなり信頼でき、(2)予測の正確性は徐々に増しているものであっても、複雑な仕事のポジションについている人々のパフォーマンスの違いを考えると、経済的価値は非常に大きいことを明らかにした。 国家的なイノベーションと、経験への開放性と誠実性を関連させる研究がある。開放性と誠実性の特性を表す人は出身国に対してリーダーシップと有益なアイデアを示した。 企業や組織や面接官の中にはビッグファイブ性格特性に基づいて個人を査定する場合がある。ビッグファイブの研究によると、リーダーとされる人々は通常は神経症の特性を見せず、高い開放性を維持し(成功を想像し)、バランスの良い誠実性(きちんとしている)を維持し、バランスのよい外向性(社交的だが過剰ではない)を維持していることを示している。さらなる研究によって、職業での燃え尽き症候群と神経症傾向は関連しており、外向性とポジティブな職歴に関連していたことが明らかになった。お金を稼ぐことに関して研究によると、協調性の高い人物(特に男性)は収入をうまく蓄積できていないことがわかった。 いくつかの研究は仕事の成果がビッグファイブ性格特性と相関していることを示している。一般的に[誠実性]は仕事での成果を予測する。さらに、研究によると協調性(英語版)は給与とマイナスの関係があることがわかった。協調性(英語版)の高い人は協調性の低い人に比べて平均して給与が低かった。神経症傾向もまた給与とマイナスの関係があり、[誠実性]と外向性 は給与とプラスの関係があった。職業上の自己効力感もまた[誠実性] と正の相関があり、神経症傾向と負の相関があった。出世を果たす優位な予測因子は、外向性と[誠実性]と協調性(英語版)だった。管理職に就いている人物の誠実性は、被雇用者を虐待的に管理することに関する認識と正の相関があることが示唆されている。一方、協調性が低く神経症的傾向が強い人は、被雇用者を虐待的に管理をすることに関連した特徴であると示唆する研究者もいる。 従業員が果たした調査と管理職の仕事の実績の評価を通して、ビッグファイブの性格特性が仕事の実績に及ぼす個々の影響を調査することを目的とした研究は、いくつかの異なる仕事の役割の実績に個人の特性を関連付けている。「仕事の役割」とは、仕事をしている際に個人が持つ責任と定義される。仕事の役割としては、熟練度(仕事を効果的に遂行する労働者の能力)、順応性(作業環境の変化に応じて作業戦略を変更する労働者の能力)、積極性(労働者が自発的に作業環境を変える努力をする程度)の三つに大別される。これらの3つのカテゴリの行動は、3つの異なるレベル (個人、チーム、または組織レベル) でそれぞれあり、9つの異なる仕事の役割におけるパフォーマンスの可能性につながる。 開放性(英語版)は個人の次元においても組織の次元においても積極性とプラスの関係があり、チームと組織における熟練度とマイナスの関係がある。この2つの効果はそれぞれ完全に独立であると判明している。 協調性は個人の仕事における積極性とマイナスの関係がある。 外向性は個人の仕事における熟練度とマイナスの関係がある。 [誠実性]はあらゆる仕事のパフォーマンスとプラスの関係がある。 神経症傾向はあらゆる仕事のパフォーマンスとマイナスの関係がある。 仕事の役割のパフォーマンスにおけるこれらの違いを説明するために、2つの理論が統合された。特性活性化理論(英語版)は、個人の特性レベルが将来の行動を予測すること、特性レベルが人によって異なること、仕事に関連した手がかりが仕事に関連した行動(英語版)につながる特性を活性化することを仮定する。役割理論は、役割送信者が望ましい行動を引き出すための手がかりを提供することを示唆する。この文脈において、役割送信者(監督者、管理者等)は、予想される行動に対する手がかりを労働者に提供し、それは次に人格特性と仕事に関連する行動を活性化する。要するに、送信者の役割に対する期待は、個々の労働者の特性レベルに応じて異なる行動結果をもたらすが、人々は特性レベルが異なるため、これらの手がかりに対する反応は普遍的ではない。
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