二条為子
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二条 為子(にじょう いし/ためこ)は、鎌倉時代後期、二条派の代表的歌人。贈従三位為子(ぞうじゅさんみいし/ためこ)とも[注釈 1]。歌聖藤原定家の嫡系子孫で、歌壇の大御所二条為世の娘。皇太子尊治親王(のちの後醍醐天皇)の妃。
注釈
- ^ なお、「贈」が付かない「従三位為子」は、「従二位為子」と同一人物、つまり同時代の京極派の代表的歌人である京極為子のことなので、混同しやすい。
- ^ 天皇に皇后・中宮や女御が立てられなくなるにつれ、女官であるはずの典侍が天皇の事実上の側室になっていく傾向が見られるが、当時はまだ官僚としての典侍と側室としての典侍が存在した。
- ^ この為子の没年正和3年(1314年)説は、『為理集』が3部構成と考えられ、為子の一周忌に詠まれたとされる歌の部分が、正和4年(1315年)成立と推測されることからのようである。その議論は冷泉家時雨亭叢書 第74巻『中世私家集 10』 p. 44にあるようだが、要確認。
- ^ テキストは深津睦夫の校訂版[33]による(ただし句の切れ目に半角スペースを挿入した)。
- ^ 通常は、霜が降りた「後」に、花は色変わりする[33]。
- ^ 従二位家隆「さえわたる 光を霜に まがへてや 月にうつろふ 白菊の花」(『千載和歌集』秋下)[33]
凡河内躬恒「心あてに 折らばや折らむ 初霜のおきまどはせる 白菊の花」(『古今和歌集』秋下・277、『小倉百人一首』29)
宇多天皇「行きて見ぬ 人のためにと 思はずば たれか折らまし 庭の白菊」(『続古今和歌集』秋下・496)
藤原時光「うつろはで いく千世までも にほはなむ 君がかざしの 庭の白菊」(『延文百首』菊)
按察使公通「月かげに かをるばかりを しるしにて いろはまがひぬ しらぎくの花」(『新勅撰和歌集』秋歌下・315)
「初霜も 置きあへぬものを 白菊の 早くもうつる 色を見すらむ」(『兵部卿物語』) - ^ 在原業平「名にし負はば いざ言問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと」(『伊勢物語』第9段(東下り)・『古今和歌集』羇旅歌・411)
- ^ 読人しらず「明日香河 淵は瀬になる 世なりとも 思ひそめてむ 人は忘れじ」(『古今和歌集』恋歌四・687)
- ^ 「玉かづら 絶えぬものから さ
寝 らくは 年の渡りに ただ一夜のみ」(『万葉集』10・2078) - ^ 「(本云)本書此和歌は。昭慶門院の御屏風に。為世卿女の筆にて。色紙にかきて押給しを写し侍なり。口一首は色紙のちらしのやう子にうつしぬ。奥はいそき写しなり。各先年の百首の内歟。徳治元年十一月三日」[29]
- ^ 「(又云)為世卿女于時権大納言局役。後入撰集贈従三位。為子。歌人云。文才云。能書云。名誉之女房也。応安四月六日〔元ノ〕判有」[29]
出典
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