吉田定房とは? わかりやすく解説

よしだ‐さだふさ【吉田定房】

読み方:よしださだふさ

[1274〜1338]鎌倉後期南北朝時代公卿後宇多天皇後醍醐天皇信任厚くまた、幕府とも親しく元弘の変では事前に通報しその後南朝北朝の間を出入りした北畠親房藤原宣房とともに「後(のち)の三房」と称された。日記「吉槐記」がある。


吉田定房

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/17 04:34 UTC 版)

 
吉田定房
吉田定房像(栗原信充『先進繍像玉石雑誌』より)
時代 鎌倉時代後期 - 南北朝時代
生誕 文永11年(1274年
死没 延元3年/暦応元年1月23日1338年2月13日
官位 従一位内大臣
主君 亀山上皇後宇多天皇伏見天皇後伏見天皇後二条天皇花園天皇後醍醐天皇
氏族 藤原北家勧修寺流吉田家
父母 父:吉田経長、母:葉室定嗣の娘
兄弟 定房隆長冬方、頼国、清閑寺資房、経雅、経耀、大炊御門冬氏室、大炊御門冬氏室、二条為藤
四条隆顕の娘、亀山院堀川
宗房、守房、大炊御門冬信
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吉田 定房(よしだ さだふさ)は、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけての公卿藤原北家勧修寺流吉田家権大納言吉田経長の長男。官位従一位内大臣

経歴

父・経長は大覚寺統に仕え、亀山上皇後宇多上皇の院政において院執権を務め、権大納言に昇った。こうした経緯から定房も早くから亀山上皇に仕えてその信任を得た。

正安3年(1301年)に後二条天皇の即位で皇位が大覚寺統に戻ると院評定衆及び伝奏に任ぜられて重用され、徳治元年(1306年)には後宇多上皇の院使として鎌倉へ派遣されている。また、後宇多上皇の子である尊治親王の乳父を務め(『増鏡』)、文保2年(1318年)に親王が後醍醐天皇として即位すると側近として仕え、北畠親房万里小路宣房と合わせて「後の三房」と呼ばれた。その信任は後醍醐天皇の子である尊良親王の乳父を引き続き務めたほか、元応2年(1320年)には後宇多法皇、続いて元亨2年(1322年)には後醍醐天皇が定房の邸宅に行幸していることからも窺える。更に、元亨元年(1321年)に後宇多法皇が院政を停止して後醍醐天皇が親政を行うことを鎌倉幕府に申し入れる使者として鎌倉に派遣され、幕府の了承を得ることに成功している。

元弘元年/元徳3年(1331年)4月29日、元弘の乱では討幕の密議を六波羅探題に密告し、後醍醐天皇が隠岐に流された後に持明院統後伏見上皇に請われて院評定衆に加わっている。しかし、元弘3年/正慶2年(1333年)3月に各地で発生している討幕の動きを鎮めるために後醍醐天皇の京都帰還を求める意見書を幕府に対して提出していることや、鎌倉幕府滅亡後の建武の新政においても後醍醐天皇に重用されている事などから、これは後醍醐天皇の身を案じた行動であると解釈されている。

建武政権においては定房は内大臣民部卿に任ぜられて恩賞方雑訴決断所の頭人を任されるなど、要職を歴任した。だが、延元元年/建武3年(1336年)に建武政権は足利尊氏によって倒され、後醍醐天皇は同年暮れに吉野に逃れる。後醍醐天皇の吉野行きから半年余り後の延元2年/建武4年(1337年)7月、北朝では定房が吉野の南朝へ出奔したことを理由に民部卿を解官されているが、この間の経緯に関しては一旦北朝に仕えた後に南朝に出奔したとする考えと、後醍醐天皇の吉野行きに同行もしくは直後に天皇の後を追って吉野に向かったもので解官は定房が南朝に仕えて京都に戻る見込みが無い現状の追認に過ぎないとする考えがある。同年9月に後醍醐天皇が吉野行宮で開いた賞月歌会に定房が参加してその和歌が『新葉和歌集』に採録されている。だが、この歌会から4ヶ月後に吉野にて65歳の生涯を閉じた。

定房の死の2ヶ月後には、同じく後醍醐天皇の側近であった坊門清忠も薨去しており、相次ぐ古参の腹心の死に、豪快さで知られる帝でさえ打ちひしがれ、定房と清忠の死を悼んだ次の御製を詠んだ。「ことゝはむ 人さへまれに 成にけり 我世のすゑの 程ぞしらるゝ」(『新葉和歌集』哀傷・1370)(大意:親しく言葉を交わせる人も少なくなってしまった。我が人生も終わりに近づいてきたことが知れるものだ)。翌年、自身の予見通り後醍醐天皇もまた崩御した。

著作に日記『吉槐記』がある。また、弟・隆長が兄の言動を記した『吉口伝』を残している。

伝「吉田定房奏上」

醍醐寺三宝院に所蔵されていた文書の1つに、後醍醐天皇に時期尚早な討幕運動を諌める文書が残っており、『吉口伝』との対応から、吉田定房の文なのではないかとする見解が通説だった。しかし、2000年代以降、別人の文とする説も出てきている。詳細は正中の変#伝「吉田定房奏上」

官歴

※ 日付=旧暦

系譜

出典




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