すみだ河
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 15:14 UTC 版)
嘉元百首歌の中に、旅ことゝへど こたへぬ月の すみだ河 都の友と 見るかひもなし(大意:せっかく東国の隅田川に来たので、あの在原業平の有名な歌の真似をしたいと思ったところ、夜だから歌に言う「みやこ鳥」はいなかったので、都にいる私の想い人は無事かどうか、月に訊いてみました。けれども何も答えてくれず、ただ澄んだ月が川の上に輝くばかり。これでは都の友だちと一緒に見物しに来た甲斐もないのですが……) —後二条院権大納言典侍、『玉葉和歌集』旅歌・1149 江戸時代前期の歌学者である戸田茂睡は、あるとき、隅田川から9月13夜の名月を見て、「角田川 月も今宵の 名にし負はば いざこと問はん 古の秋」と詠んだ。すると、親友の陶々斎が、それは為子の歌(と在原業平の「名にし負はば(略)」)の真似だろう、古人の糟を食らってまで生きるのかと馬鹿にした。茂睡は怒って、今夜は名月だから、それを「名にし負ふ」という詞で表したんじゃないか、そんなこともわからないのか、と反論したという(以上、『紫の一本』巻2「川」)。 当時、この為子の歌は江戸っ子の間で有名で、江戸ではじめて作られた観光案内書『江戸雀』の11巻や、『名所和歌百人一首』(貞享3年(1686年)9月)、斎藤月岑による江戸後期の代表的な地誌『江戸名所図会』(天保7年(1836年))などにも引用された。
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