「都鳥」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 07:40 UTC 版)
日本の古典文学に登場する「都鳥」は、現在の和名がミヤコドリ (Haematopus ostralegus) である鳥ではなく、ユリカモメを指すとする説が有力である。その根拠として、『伊勢物語』の「九段 東下り」が示される。 なほゆきゆきて、武蔵の国と下つ総の国との中に、いと大きなる河あり。それをすみだ河といふ。(中略)さるをりしも、白き鳥の嘴と脚と赤き、しぎの大きさなる、水の上に遊びつつ魚を食ふ。京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。渡しもりに問ひければ、「これなむ都鳥。」と言ふを聞きて、『名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと』とよめりければ、舟こぞりて泣きにけり。 このように、「都鳥」は「隅田川にいる鳥で、体が白く、嘴と脚が赤い、シギ程度の大きさ、魚を食べる水鳥」とされているが、この条件に当てはまる鳥としてはユリカモメが最も近い。そのため、「都鳥=ユリカモメ」と推定されている。なお、ミヤコドリは嘴と脚が赤いものの体色は黒(腹部を除く)であり、英語名(Oystercatcher)の通り、食性はカキなどの貝類を食べる。このように両者は異なる。 なお、現在の京都ではユリカモメは鴨川などで普通に見られるありふれた鳥であるが、鴨川に姿を見せるようになったのは、1974年のことである。それ以前は「京には見えぬ鳥」であった。
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